Story 取材記事

本当に満足できる家のつくり方

「本当に満足できる家」「自分の予算でもできるこだわりの家」を探している多くの方にとって、きっと参考になる取材が今回できました。札幌市東区のSさんの体験をレポートします。設計は、「あ~すくらふつ 住・空間研究室」の奥島憲晶さん、施工はヨシケンさんです。※画像クリックで大きな画像が見られます。

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片流れ屋根なりに天井を低くおさえた「茶の間」、 階段ホールと吹抜をはさんで食堂・厨房へとつながる

「妥協はしない、納得のいくものをつくりたい」

「家を建てよう」と決意してから、Sさん夫婦はたくさんのモデルハウスを見て回りましたが、限られた予算でピンとくる家がつくれそうな会社には出会えませんでした。
そんな時、家づくりセミナーに参加し、数人の講師の中で1人だけ、奥島さんが見せてくれたこれまでの施工例を見て「素敵だな」と興味を引かれました。

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厨房から食卓テーブルを見る

セミナー終了後に「工夫一杯の満足できる家を建てたいが、かけれるお金は少ない。どうしたらいいでしょうか?」と直球で質問をぶつけました。内心「できない」と言われるかもしれないと思っていましたが、奥島さんは「面白いですね、こだわりがあればあるほど良い家ができますよ」と言って話を聞いてくれました。
Sさんの希望とは、「自分が家に合わせて暮らすのではなく、自分の動きに合う家」。家事や生活の動線に合わせて、必要な収納が配置してあること。さらに、「友達や親戚を呼ぶのが好きなので、みんなで集える家」が理想でした。

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1F PLAN 郊外の閑静な住宅地のはずれ、永遠に残るであろう「林」を眺める生活・・・

Sさんは、「家事を最小限の動きで済ませるためには、これとこれが近くにあれば...」というイメージは明確に持っていましたが、専門家ではないので言葉や図では表現できません。そこで、家事をジェスチャーで表し、奥島さんがそのイメージを具体的な「絵=かたち」にしながら打合せが続いていきました。
「妥協はしない。納得のいくものをつくりたい」というSさんの熱意から、土地を取得してから家が完成するまでには、結果的に5年の歳月がかかりました。

2012okushima05.jpg奥様の要望は、毎日繰り返される「家事仕事」の内容を、ひとつひとつ見直し、使いやすさをとことん考えたい。できれば「1歩」も歩かず調理や洗濯を、まかないたいというものでした。
話を聞き取りながら、家事毎の動作や収納の要望を、具体的に「箇条書き」にしてもらいました。これは、要望が互いに矛盾していても構いません。全体と部分=要素が見えてくれば、具体的な空間として「解決」案を提案していく。その繰り返しで「使いやすさ」が見つかります。

奥様が、書き込んだ「物」の配置が、びっしりと書き込まれた図面

自分の家事に合わせた家をつくる

例えば、キッチン。鍋や調理器具はもちろん、ティッシュペーパーやゴミ箱など、食事の支度に必要な物は、歩かなくてもよい位置に配置されています。

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自然とみんなが集まる、アイランドキッチン 

奥様の身長に合わせているので、姿勢に無理がかかりません。
友達が集まると、女性たちがキッチンのまわりでおしゃべりをしながら好きなものを作り、男性たちはリビングの長いテーブルでお酒を飲んでくつろぎます。
また、洗濯場にも工夫が。洗濯機と物干し台は、移動しないで干せる位置関係に。乾いた洗濯物は、下の階のタンスのある部屋に落とせるようにしました。
家全体の段差を少なくし、掃除のしやすさにも気を配っています。
ダイニングテーブルの後ろ側は棚になっており、ここに奥様の仕事や趣味に必要なものが入っています。

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洗面:洗濯→物干→取込・・・衣類を一階へ落とせる「開き扉」

薪ストーブ1台だけで暖める

奥様のもう一つの希望が薪ストーブ。スイッチ一つの暖房とは違った、独特のぬくもりや、手間を楽しむ生活に憧れ、薪ストーブ1台で家じゅうを暖めること。
1階玄関ホールを広く取り、ここに薪ストーブを置くことで、建物全体に均一な暖気が届くように計画されています。
遊びに来た友人には、「仕切りがなくて寒くないのか」と言われるそうですが、高気密・高断熱の施工:ヨシケンさんの実績が保証しています。

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1階の玄関ホール、これ1台であったかい家が可能なつくり

おおらかにつくる、予算を抑えて欲しい家を実現

肝心な予算を抑えるために、知恵を出して引き締めるところは引き締めました。
まず、「自分でできることは自分でする」。ご主人が建築関係の仕事をしているので、薪小屋とリビングのテーブルはご主人が制作。また、造り付けの棚に合わせて、奥様が引き出しをクラフト紙や籐で手作り。
白木のダイニングテーブルは大工さんが構造用の木材でつくったもので、かなり安価に抑えることができました。

2012_1124okushimaex.jpg「テーブルに限らず、構造材を家具や仕上げ材に使うと、時間とともに隙間があいたり反ったりすることもあります。
しかし、これらの短所は度を越さなければ、逆に個性や味わいという無垢材の良さとなる、だから予算を抑えながら木を使うことができます」と奥島さん。

 大工さん製作の「無垢材」の食卓テーブルとタタミ椅子

記者の目

手を伸ばせば、求めるものがそこにある。簡単なようでなかなか難しいことです。形のないところから住み手の要望をしっかり引き出し、実現していただくことが、満足できる家のつくりかたですね。
あと、延べ7日の打ち合わせを1週間で終わらせるスピードが必要な場合もあるでしょうが、注文住宅の打ち合わせについてはそれを例えば10日おきに2ヵ月かける「ゆっくりな時間」がじつは大切なんだと、今回思いました。

2012年11月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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