Column いえズーム コラム

ハンドラーが教えるわんちゃんとの幸せな暮らし実現法 JKC公認ハンドラー 湊 毅さん

 ペットブームで量販店が急増、ペット好きとしてはうれしい限りですが、湊さんは「犬種だけでなく購入する店も慎重に選ぶべきだ」とおっしゃいます。ではどんなお店がいいのでしょうか。ドッグショーのチャンピオン犬を育てる"ハンドラー"で、札幌市厚別区で専門店を経営している湊毅(みなと たけし)さんに、わんちゃんとの幸せな暮らしの実現法を聞きました。

生後2カ月間は親元で育てるべき

fattyland01.jpg わんちゃんは生後60日で人間で言えば幼稚園児から小学校1年生くらいにまで成長します。人間は小学校に入学するまでに親兄弟や友達とのコミュニケーション、基本的なルールなどを勉強しますが、それはわんちゃんも同じです。  日本の量販店では生後30日程度のわんちゃんを店頭で展示販売していることがありますが、その大事な時期に店頭で過ごすと親の愛情の授受や兄弟げんかの経験もないので、飼い主の気持ちを理解しにくいわんちゃんになりやすいのです。しつけができない、情緒不安定でお留守番ができないなど様々な問題が出ます。  動物愛護法が改正されたばかりですが、数年後に向けて再改正の動きが見えてきました。生後3ヵ月未満の生体販売を禁止する条文が新たに盛り込まれる見込みです。ペット先進国のイギリスやドイツでは店頭で子犬を販売すること自体を禁止しています。わんちゃんを飼いたい方は、法律施行を待たずに、少なくとも60日間はブリーダーさんのところで親兄弟と過ごせるようにしてくれるペットショップを選んでください。そうするとしつけなどの悩みがほとんどなくなります。 <写真:湊さんもゴールデンレトリーバーの親子、ミニチュアダックスの親子合計5匹と暮らしている>


あなたに合う犬種の選び方

 次に犬種の選び方です。日本ではゴールデンレトリーバー、チワワ、ミニチュアダックスなど、一時的に特定の犬種が大ブームになることがあります。その時期に乱繁殖させて儲けようとする業者が健康や性格に問題のあるわんちゃんをたくさん生産、販売します。例えばチワワブームの後には、わんちゃんが噛みつくとか吠えすぎて困るといった悩み相談が急増しました。乱繁殖で遺伝的に性格の問題が出たということ、そしてチワワと相性の良くない飼い主さんも飼ってしまったというのが原因です。
 狩猟向きの犬種、人に可愛がられることに特化した愛玩犬など、犬種によってそれぞれ性質があります。飼い主さんは自分の飼いたい犬種を決めている方も多いのですが、良心的な専門店なら、その飼い主さんのライフスタイルや、散歩にどの程度連れて行けるかを聞いたりしますし、わんちゃんが社交的なのか大人しいか、どの程度大きくなり、どんな病気にかかりやすいかなど、様々な情報を話してくれるはずです。
 例えば、性格がタフで遊び好きなジャックラッセルテリアは、元気で遊び好きな家族の一員になれば、飼い主さんもわんちゃんも幸せになりやすいのですが、お年寄りだけで飼うと人間のほうが疲れてしまうかもしれません。
 ゴールデンレトリーバーはいわゆる"お人好し"で人間とのコミュニケーションが大好き。わんちゃんと時間をたくさん共有できる飼い主さんには最高ですが、寂しがりやなので飼い主さんに放っておかれたり、外で飼われたりするのには耐えられません。ガンにかかりやすいことも飼い主さんに伝えるべき情報です。
 キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、お城の中で飼われて飼い主や来客に愛想をふりまくために改良された犬種。闘争本能がほとんどないので静かな暮らしを望まれている方にはおすすめです。
 ペットと飼い主さんとの相性は、ストレス無く一緒に、楽しく過ごせるかに関わる重大な要素です。経験と知識があって、飼い主さんとペットの将来に関心があるペットショップの店員なら、とりあえず子犬を抱っこさせて「育てやすいですよ」「散歩はほとんど必要ないですよ」というようなことは言いません。犬種と飼い主さん家族との相性など、重要なことを隠さず話してくれるショップを探してください。アン・ロジャース=クラーク女史執筆、誠文堂発行の「犬の大百科」を読めば愛犬選びやしつけなどの正しい知識が身につきます。

ペット対応の家づくり

 ペットを飼いたいから戸建てのマイホームを新築したい、あるいは家を買ったのでわんちゃんを飼いたいという方が増えています。住宅もペットも、買ってしまった後で問題が発生しても簡単に交換するわけにはいかないので、正しい選び方をよく勉強すべきです。  まず日本犬以外は室内で飼うことが最低条件です。洋犬は長年飼い主と共に生活し、指示を受けながら共同作業を行ってきた歴史を持っているので、家族の一員だと思っているからです。  子犬を飼うときに大事なのは"足を滑らせない"工夫です。子犬の頃に何度も転ぶと後ろ足の骨がゆがんだり、下半身麻痺が発生したりします。ミニチュアダックスなどは段差を行き来すると腰を悪くしやすく、ポメラニアンは割り箸よりも細い骨なので敷居をまたぐだけで骨折することがあります。理想の床はパンチカーペットかコルク。滑らずクッションが効いているからです。価格も安く汚れたら交換できるパンチカーペットが特におすすめです。毛足の長い高級な絨毯は爪がひっかかることがありおすすめできません。  犬はなんでも口に入れようとします。床など低い位置にあるビニールやおもちゃ、電気のコードなどは命に関わる危険を招きます。  温度環境も重要です。性能の良い高断熱高気密の家であれば、室温が一定なのであまり心配はいりませんが、夏に留守にするときは風通しを良くするか、タイルや大理石の床があれば床で身体を冷やすことができます。フレンチブルドックなど、鼻の短い犬種は暑さに弱いので特に注意が必要です。

最後に

fattyland02.jpg わんちゃんと一緒に過ごす時間が長く、いつも愛情を持って接していると、わんちゃんは飼い主を信頼して言うことを聞くようになります。放っておいたり、お互いの暮らしに関わらないように生活空間を分離したりすると、トラブルが発生するのは人間の親子と同じです。  ちなみにわんちゃんと一緒に寝るのは全く問題ありません。逆にわんちゃんがおびえるような厳しい訓練はやめましょう。わんちゃんに信頼されることを優先してください。  当店では子犬の展示販売を行っていません。質の高い「健康」「性格」「容姿」の子犬を育てることに真剣に取り組んでいるブリーダーさんと飼い主さんとの橋渡しと、犬種選びやペットライフに関する専門的なアドバイスをしています。  本物のブリーダーさんは、自分が育てた子犬の将来が心配なので、飼い主とわんちゃんがベストマッチになるようにコーディネートする当店を信頼してくれています。  日本のペット業界には、一般の人が知らない問題があります。皆さんがわんちゃんとの幸せな暮らしについてもっと関心を持っていただけるように願っています。 <写真:ドックショーで表彰される湊さん>


プロフィール

湊毅(みなと たけし)
JKC公認ハンドラー ㈲ファティーランド代表取締役
㈲ファティーランドのホームページはこちら http://www.fattyland.com/

2009年03月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。