Column いえズーム コラム

札幌の住宅リノベーション事例まとめ【2020年版】

札幌は住宅が余っている


札幌市内には100万戸を超える住宅があります。
そして札幌の世帯数は93万世帯くらいです。

住宅=100万戸。
世帯= 93万世帯。
そうなんです。世帯数より家の方が多いんです。ですが毎年、年間で15000戸くらい、新築戸建て住宅が建っていますし分譲マンションも、アパートも、高齢者用の住宅関連施設も足したら、住宅はどんどん増えています。

札幌は、年間8000人位、人口が増え続けていますが、それでも新築の住宅供給の方が多くて、空き家率は15%近くあります。住宅戸数的には十分あるわけです。でも、その中には老朽化が進んで寒さや使い勝手の悪さなどの課題を抱える家や、所有者の事情で活用されていない住宅も少なくありません。

これまでは、膨大な中古住宅を補修・修繕し、快適な住環境を取り戻す「リフォーム」が主流でしたが、ここ数年は、新築戸建て住宅や分譲マンションの価格高騰もあって、中古住宅を購入し、大規模改修を経て、そこに住む人の生活にあった付加価値を生み出す「リノベーション」が、子育て世代を中心に人気を集めています。札幌の住宅市場にとって最も重要な課題は、既存住宅の活用ではないでしょうか。

今回は、いえズーム(iezoom)に掲載されている「札幌圏の住宅リノベーション」の記事から、リノベーションに関心のある方に参考になりそうな事例を集めました。

なおリフォームは、既存住宅の問題点を直して、新築時のような品質に近づけること、リノベーションは、大規模な工事を行って、新築時よりも価値を高めたり、新たな機能や用途を付加したりすることを指します。

事例集のあとには、札幌の住宅事情と、札幌の人気「リノベーション」会社を総力取材した際のお話も載せています。

それでは、さっそく事例からご紹介します。


目次

辻野建設工業・築47年の住宅を薪ストーブのある快適な住まいにリノベーション


築47年の住宅を薪ストーブのある快適な住まいにリノベーション 辻野建設工業/札幌市K邸

取材記事 築47年の住宅を薪ストーブのある快適な住まいにリノベーション 辻野建設工業/札幌市K邸

札幌市のKさんは、辻野建設工業で11年前にフル・リノベーションし、理想の我が家を手に入れました。Kさんの家づくりや、...

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「そろそろリフォームをしたいと考え、WEBで数社に予算を打診した中に、辻野建設さんがありました。その後、出してもらった見積もりやプランが気に入り、辻野建設さんへの依頼を決めたんです」とご主人。

当時で築47年。老朽化による寒さの問題や、子育てを終え、ご夫婦二人が暮らしやすい間取りの変更も希望していました。


薪ストーブはダッチウエスト社のエンライト。サイズはスモール


「古い住宅で天井がとても低かったので、床を10数㎝下げて天井を高くしています。防湿や防蟻などに優れた土間コンクリート仕上げ。蓄熱効果も期待できます」と辻野社長。

断熱改修は手が込んでいて、1階は外壁をすべて取り払い、30㎝ほど外側に張り出し、中からウレタンを吹き付けた内断熱仕様。2階は内壁を残し、外からスタイロホームを張り付けた外断熱仕様になっています。

プランを進めるうち、「せっかくリフォームをするなら、暖炉にしたい」という希望が出てきたKさんご夫婦。「暖炉はなかなか難しいので、薪ストーブにしようということになりました」とご主人。薪ストーブは料理にも活用していて、薪の上に五徳を置き、その上にアルミホイルで包んだ鶏肉を置いてローストチキンを作ったり、ピザを焼いたりしているそう。遠赤外線でじっくり焼けたローストチキンは特に美味しいと言います。

リノベーションで快適になった住まいと、薪ストーブのある暮らしを手に入れたKさん。「スパーンとキレイに薪が割れた時は、とても気持ちがいいんですよ」とも話してくれました。

リーベンホーム・建築家が考えた欠陥住宅?ストレス満載の家を大改造


建築家が考えた欠陥住宅?ストレス満載の家を大改造/札幌・S邸

取材記事 建築家が考えた欠陥住宅?ストレス満載の家を大改造/札幌・S邸

欠陥住宅?信じられない問題が続々と! 「一級建築士に頼めば、オンリーワンの個性的なマイホームが建てられるはず!」 ...

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札幌市在住のSさんご夫妻が、家づくりでどんな目にあったのか。そしてその後、どのように克服したのか。
家づくりで失敗する方が少しでも減るように、その経緯を教えていただけるということでいえズーム編集部、さっそくお邪魔しました。



入居して数回リフォームを行いましたが、どうしても使い勝手が悪く、今回の大改造に至ったSさん邸。リーベンホームの野村社長と、もうひとり、アーキテクトノエルの稲村さんという建築家にも相談し、1年半くらい綿密に打ち合わせを重ねて、現在のプランに決定。

稲村氏はSさん一家がいかに快適に暮らせるかを重視してプランを4案考え、野村社長も施工面でたくさんのアイディアを出して解決策を一緒に考えてくれました。2棟の建物を1棟にするのは耐震構造上とても難しいことでしたが、「どうしてもできないものか」と稲村氏が建物構造の専門家に相談し、2棟をつなげるプランが実現したのです。

「同じ建物なのに、住み心地が全く違うんです。別の家に引っ越したのかなと思うくらい住み心地が良くなりました。とてもうれしいです。家具やインテリアなどもリニューアル後に買いそろえて暮らしを楽しんでいます」とご主人。

キクザワ・リノベで実現!使いやすい動線と自然素材の心地よい家


リノベで実現!使いやすい動線と自然素材の心地よい家/恵庭市Sさん キクザワ

取材記事 リノベで実現!使いやすい動線と自然素材の心地よい家/恵庭市Sさん キクザワ

家族構成が変化し、思った以上に広く感じられる住み慣れたわが家。2階を使っていると、階段の上り下りが億劫だし、トイレ...

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Sさんは、築19年の2階建て注文住宅を減築して平屋にし、さらに一部増築してしてシンプルモダンな住宅にリノベーションしました。掃除やメンテナンスをこまめに行い、大切にお使いだったお住まい。

50代を機に大規模なリノベーションを決意した夫妻。他社も含めて検討したそうですが、「自由設計が可能で、自然素材を多用するキクザワさんの家づくりの考え方が私の好みにピッタリ合いました」と奥さま。


リビングから玄関側を見ると、大きく変わったことがわかります


リノベーションにより、2階建てから平屋建てになったSさん邸。高さ4mを超える吹き抜けのあるLDKを中心に、明るく開放的な住空間が広がっています。リノベーションの際のコンセプトや提案内容などについて担当の金谷さんにうかがいます。

「1階だけで完結できる住まいは、私自身が暮らしやすさを実感しており、ご提案しました。ご高齢になるにつれて階段での上り下りは大変ですし、掃除などメンテナンスの面でも平屋は効率が良くおすすめです。また日差しを取り込むためにLDKには三面採光の吹き抜け天井を提案しました。この吹き抜けがあることで、伸びやかな空間が生まれています」

ブレイン札幌・中古住宅リノベで広々&暖かなマイホームを実現


中古住宅リノベで広々&暖かなマイホームを実現/札幌市・Iさん

取材記事 中古住宅リノベで広々&暖かなマイホームを実現/札幌市・Iさん

「限られた予算の中で理想の家を手に入れることができました」と笑顔で話すIさん。今回取材したお施主様です。今回は省エ...

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「限られた予算の中で理想の家を手に入れることができました」と笑顔で話すIさん。今回取材したお施主様です。今回は省エネ住宅の設計・施工で定評のあるブレイン札幌さんが中古住宅をリノベーションすることで、立地も住み心地もご予算も全て要望がかなう住まいになりました。



Iさん:築47年の古い住宅がほんとに住みやすくなるの?と考えたこともありました。でも、ブレインさんは高断熱・高気密をはじめとした住宅性能がしっかりしており、中古住宅の改修・増築についても確かな実績があると社長から説明を受けました。

誠実そうな人柄と、中古物件探しからリノベーションの工事内容までまるごとお願いできたことが依頼の決め手になりました。この建物も、リノベーションで性能が新築並みに向上したことで省エネリフォームと耐震リフォーム減税の対象になり、助かりました。

リビングワーク・中古戸建をリノベして、大好きな自転車と暮らす


中古戸建をリノベして、大好きな自転車と暮らす/札幌市Tさん/リビングワーク

取材記事 中古戸建をリノベして、大好きな自転車と暮らす/札幌市Tさん/リビングワーク

マイホームを持ちたかった Tさん夫婦は結婚が決まってからどこに住むか、どのように住むかを話し合い、ふたりの出会いと...

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Tさん夫婦は結婚が決まってからどこに住むか、どのように住むかを話し合い、ふたりの出会いとなった自転車を楽しむ暮らし、夢だったマイホームを実現するため、新築と並行して中古住宅を購入してリノベーションすることも候補の一つにしたそう。そして実現したのが自転車と暮らすリノベーション住宅です。

リノベーションしたTさんのおうちは、複数の自転車を家の中に保管したいという要望がありました。そこで、玄関を広めに取って愛車をディスプレイするスペースをデザイン。どんなときも、家に帰ってドアを開けるとそこには大好きな愛車が目の前に。整備はもちろん、ローラーも。

「何も分からないところからの住宅会社探しでした」と奥さん。「リビングワークさんは、家づくりについて1+1は2になりますよ、という説明に加えて、どうして2になるのかを説明してくれました。家という、大きな買い物をするならここが安心できるな」と感じたそう。



リノベ前の住宅は北海道で大手の住宅会社が建てたものでした。工法が少し独特なので、リノベーションには技術が必要といわれています。今回のリノベを担当したリビングワークさんは、Tさんが中古住宅を購入する前にいっしょに物件を見て「これなら大丈夫」とアドバイスしてくれたそう。

完成した住宅は、間取りが大きく変わっただけでなく、断熱・気密・耐震性能は現行の省エネ基準を上回るレベルだそう。断熱性能・UA値(外皮平均熱貫流率)は、0.31W(基準は0.46)、気密性能・C値は0.6cm2/m2と新築住宅を上回るレベルになっています。

シノザキ建築事務所・円山公園へ住み替え。中古マンションを戸建て感覚で上質リノベ「うつろいの、こばこ」


円山公園へ住み替え。中古マンションを戸建て感覚で上質リノベ「うつろいの、こばこ」

取材記事 円山公園へ住み替え。中古マンションを戸建て感覚で上質リノベ「うつろいの、こばこ」

自然素材を取り入れた家づくりに定評のあるシノザキ建築事務所が、 中古マンションのフルリノベーションを手がけました。...

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内装以外は建築当時とほとんど変わらなかった築31年の3LDKマンションをスケルトン状態にし、2LDKに変更するなど、大変身した今回のリノベーション。

依頼主は40代の女性と80代のお母さまの二人家族。数年前にお父さまが亡くなり、娘さんが仕事に出ている日中はお母さまがおひとりになるため、冬場の除雪や広い家の管理は難しいということで、マンションへの住み替えを希望されたそうです。

「リノベーションのポイントは水回りと収納です。奥まった場所で壁を向いていた暗いキッチンを、バルコニーに近い場所に移し、リビングに向き合った明るく開放的な対面キッチンにしました。トイレは広くしてカウンターを造作。また、玄関にはシューズクロゼット、二つある洋室にもそれぞれにウォークインクロゼットを設けました」(篠崎正子さん)

玄関ホールのシューズクロゼットは、注文住宅によく見られるウォークインタイプのたっぷりサイズ。雨具などもすっきり収納できそうです。キッチンは、通常のI型タイプに対面カウンターを職人が造作したもの。収納はほとんどが造作で、上質な空間作りへのこだわりが感じられます。



もとは個性のない画一的なマンションでも、自然の素材と職人の造作をたっぷり使ってリノベーションすれば、注文住宅のような居心地のいい空間が可能になる−−。見学会でリアルに体感することができました。

今回のリノベーションでは、ご高齢のお母さまの安全面に配慮した工夫が随所に施されていました。廊下の手すりはもちろん、トイレは広くして引き戸に、お風呂はまたぎの低い浴槽に...。このあたりは当然かもしれませんが、篠崎さんのアイデアが光るのは、たとえばトイレ収納の取っ手部分。よく見るとリスとウサギのかわいいモチーフになっています。女性の二人暮らしだからこそ、こういう小さなアイテムが、暮らしを豊かに彩るポイントしれません。

北一タカハシ建設・札幌の宮大工がなぜ断熱リフォーム/リノベーションを手掛けるのか!?


札幌の宮大工がなぜ断熱リフォーム/リノベーションを手掛けるのか!?

取材記事 札幌の宮大工がなぜ断熱リフォーム/リノベーションを手掛けるのか!?

うその説明で必要のないリフォーム工事を何100件も契約させた福岡市のリフォーム会社「愛建ホーム」に対し、消費者庁が20...

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宮大工集団だから、家も純和風のリフォームになるかといえば、答えはNo!

もちろん、和風はお手のものですが、実は洋風を採り入れた住宅建築・リフォームも手掛けているのです。これが、またひと味違った重厚感のある洋風テイスト。

築30年で家が寒かったのと、3人兄弟の長男が小学1年生になったのを機に、北一さんにリノベーションを依頼。奥さんが希望されたのは、和室だった50坪のワンフロアを、すべて洋風スタイルにすること。奥さんが明確な好みをお持ちだったので、一つ一つ相談しながら設計やインテリアを決めていきました。



和室の段差はすべてフラットにし、元のリビングと床の間のある和室を一つの開放的なリビングルームにしました。区切られていたキッチンもオープンカウンターに。間接照明を効果的に施したことで、高級感が漂うシックモダンな空間に変身しました。

もちろん、断熱性能も大幅に強化。冬の寒さから解放されて、家じゅうの暖かさをご家族で実感しているそうです。

サンケイ建匠・新築の技術力を生かしたリノベーション提案


新築の技術力を生かしたリノベーション提案/サンケイ建匠・入山俊文さん

取材記事 新築の技術力を生かしたリノベーション提案/サンケイ建匠・入山俊文さん

今や家づくりのスタイルとしてすっかり定着した「リノベーション」。新築住宅で培った施工技術と提案力をベースに、暮ら...

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今や家づくりのスタイルとしてすっかり定着した「リノベーション」。新築住宅で培った施工技術と提案力をベースに、暮らしにマッチした美しく機能的なリノベーションを提案するサンケイ建匠(株)リノベーション室長の入山俊文さんにお話を伺いました。


造作家具も配置するなど、デザイン良く使い勝手の良い現代的な空間に生まれ変わりました


入山俊文さん:プランニングで心がけていることは、「その人が何を1番望んでいるか」を見きわめて優先順位を決めること。その上で「予算の範囲内でどういうプランが可能なのか」を3Dパースなどを使い、わかりやすくプレゼンします。  

またリノベーションでは、想定外の問題が発生することがあります。築20~30年の住宅の場合「水廻りの腐食が相当進んでいる」と見越した上で見積もりをしますが、建物が想像以上に傷んでいたり、お客様とのやり取りの中で予算が増減したりすることも。説明不足から誤解が生じるのを未然に防ぐため、新築以上に打ち合わせを密にする必要があります。

要望があれば遠慮せず担当者にどんどん伝えるべき。提案する側としては「お任せします」と言われるよりプランニングを進めやすいのです。住まい手と造り手の情報の共有が大事なのは新築と同じ。「お客様と一緒に1つの家を造る」というスタンスを忘れずにいたいですね。

北海道住宅新聞が札幌のリノベーション会社を取材

北海道住宅新聞社は、札幌で活躍するリノベーション会社数社にインタビューを行い、札幌のリノベーション市場の現状と、各社の取組、展望などを伺いました。お話を伺ったのは札幌のリノベーション業界でも活躍が目立っている

1 リノベーションでライフスタイルを応援 札幌 スロウル
2 デザインも性能も重視 高いコストパフォーマンスを追求 札幌 アルティザン建築工房 
3 不動産業と建築家がリノベで連携 札幌 トキメキデザイン・アトリエ

の3社です。では早速・・・


リノベーションでライフスタイルを応援 

札幌 スロウル

「同じ値段で新築を建てられるのは分かっていたけど、スロウルのリノベーションの方が自分の望むライフスタイルを実現できると思いました」自社のOB客が、テレビ番組の取材で話すのを聞いて「リノベーション=新築より安い」という価値観をくつがえせる可能性を感じたと話すのは㈱スロウルの平賀丈士社長だ。

同社は2010年に、札幌圏で一戸建て中古住宅を再生させるリノベーション事業を開始。オーナーのライフスタイルを踏まえた間取りなどを実現するため、多くはスケルトンに近い状態までの大規模改修を行う。木やブロック、漆喰など、素材の質感を重視しながら、家庭菜園や薪ストーブなど、自然とつながる北海道らしいライフスタイルを提案している。
slowl3.JPGその結果、新築に迫る価格帯のリノベーションになることもあるが、特に市街地に住み、日頃は仕事や家事に追われている子育て世代の反応が良いという。「道民でも野山を駆けまわる本格的なアウトドアライフをしている人はわずか。限られた時間しかないからこそ、庭や公園の自然に触れたり、冬には薪ストーブを焚いて家族で過ごす、自然素材に囲まれた暮らしに憧れる人は多い」と話す。そうした提案が評価され、7年間で約40棟のリノベーションを実現している。
slowl1.JPG同社は、北海道住宅供給公社が1960年代以降に道内各地で建てた「ブロック造三角屋根の家」のリノベーションもこれまで6棟手がけ、うち1棟は現在、札幌市清田区でモデルハウス公開中だ。1階リビングから天井までの吹き抜け空間で空間の広がりを演出。断熱強化や自然素材活用など大幅な改修を図る一方で、集合煙突を活かした薪ストーブ導入や、ブロックの風合いを活かすように現しで仕上げるなど、年数を経た住宅のビンテージ感もうまく活かす。チラシや雑誌広告などはしていないにもかかわらず、ウェブサイト経由で週末などの見学予約が複数入る人気ぶりだ。
slowl5.JPG

施主側の立場でリノベーション


平賀社長は広島県出身。IT企業勤務やオーストラリア滞在の経験から北海道らしいライフスタイルへの憧れが強まり札幌に移住。中古住宅の賃貸業も経験した。賃貸業で高利回りを上げるには、住宅改修にコストはかけられないため快適な住環境の提供は難しい。そこで一念発起、7年前にリノベーションで起業した異色の存在だ。
slowl4.jpg平賀社長は「4年位前からリノベーションという言葉が市民権を得て住宅取得者層の選択肢に入った。ブームというほどの実感はないが、追い風は感じる」と話す。平賀社長のポリシーは「素人感覚を忘れず、常に施主側の立場に立ってライフスタイルを応援すること」。「オーストラリアの人たちは、芝生に寝転んだりジョギングしたりと、暮らしを上手に楽しんでいる。ライフスタイルを楽しみたい施主を応援するには、設計・施工面の事情があったとしても、簡単には『できない』と言わず、家での過ごし方を一緒に、真剣に考える姿勢が大事だと思う」と話す。
スロウル公式サイト 

デザインも性能も重視 高いコストパフォーマンスを追求

札幌 アルティザン建築工房

「中古住宅を利用すれば、利便性の良い場所でコストを抑えて、お客様が望む住まいを届けられる」―。こう語るのは、㈱アルティザン建築工房(札幌市)の新谷孝秀社長。同社は2011年の設立以来、コストパフォーマンスの高さを追求することで累計150棟を超えるリノベーションを手がけてきた会社だ。
arute1.jpg新谷社長は会社設立前、別の住宅会社に勤務し、新築もリノベーションも手がけていたが、景気が悪化し、若い子育て世代が住宅取得資金を十分借りることができなくなる中、コストを抑えつつ、ユーザーの希望を反映できる家づくりを提供していこうと、中古住宅のリノベーションを専門とする同社を立ち上げた。「新築市場は今後、年間90万戸から60万戸に減ると言われているが、リノベーションはその数に含まれていない新しい市場。新築は無理と思っているユーザーや、賃貸しか考えていなかったユーザーを取り込める可能性もある」(新家社長)。

現在では、"アルティザンカフェ"と呼ぶオープンハウスと、中古住宅探しから現況検査、資金計画、デザイン・プラン作成、施工、アフターまで自社で行うワンストップサービス、施工前後の状況がわかる事例を数多く掲載したホームページ、セミナー・相談会などのイベント開催を集客の柱とし、今年は40棟に迫る受注を見込む。
arute2.jpg同社が行うリノベーションは、性能もデザインも妥協せずに高いコストパフォーマンスを目指すのが特徴。基本的に木造戸建住宅を対象とし、長期優良住宅仕様を標準としたうえで、塗り壁材や無垢材、造作家具などを採用したデザインを提案している。デザインについては仕様のリニューアルを検討中で、現在の標準的な仕様よりワンランク上の"アルティザンスーペリア"、コスト重視の"アルティザンベーシック"を用意し、より幅広いユーザー層に対応する考え。

また、コストパフォーマンスを高めるために、少ないスタッフ数で効率的に仕事を行うほか、モデルハウスを持たない、広告宣伝費をかけない、利益率を同業他社より低く抑える―ということも重視している。

VC展開で市場拡大を図る

今後のリノベーション市場について新谷社長は、「20年後になるか30年後になるかわからないが、高耐久な新築住宅が増え、既存ストックも改修による性能向上が進めば、リノベーション市場は新築とともになくなり、後はリフォーム市場しか残らないはず」と言う。

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その一方で、現在拡大傾向にあるリノベーション市場をしぼませないためには、プレーヤー(リノベーション業者)を増やすことが必要と考え、今年からリノベーション事業を支援するボランタリーチェーン(VC)『アルティザン倶楽部』をスタート。加盟会社に対し、プレゼンテーションやオープンハウスのノウハウ、見積実行予算書や工程表、実例集などのデータを提供するとともに、補助金申請サポートなども行っていく。

新谷社長は「1社単独でできるリノベーションの仕事にも限界がある。リノベーションを手がけてみたいと思う会社があればサポートを行い、一緒に市場を広げていきたい」と話している。
アルティザン建築工房の公式サイト

不動産業と建築家がリノベで連携

札幌 トキメキデザイン・アトリエ

㈱トキメキデザイン・アトリエの天道涼子社長は、以前は札幌の不動産会社に勤めていた。2014年に同社を起業したのは、学生時代の同級生で、設計事務所を運営する石原英祐さんが行うリノベーションに衝撃を受けたのがきっかけだった。
不動産会社の新築住宅は土地の大きさや家族構成などに基づいて間取りを決め、画一的にプランすることが多い。中古住宅の販売でも、壁紙を貼り替えたりする程度の、いわゆる『表面補修』で、できるだけコストを掛けずに利益率確保を目指す傾向がある。
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ところが石原さんは、オーナーとのヒアリングを重視。奥様が料理をする時に、棚や調理器具をどう使うか、ご主人が冷蔵庫からビールを取り出す際に奥様とストレスなくすれ違えるか、テレビやソファーの配置など家族の動線も緻密に検討し、プランに落とし込んでいた。天道さんは「石原さんは男性とは思えないほど女子力が高く、暮らしの組み立てやインテリアコーディネートなども徹底的に考えている。こんな丁寧な家づくりがあるのかと驚きました」と振り返る。
tokimeki2.jpg(写真撮影:光写真事務所)

一方、石原英祐専務は、30代の大半をリフォーム業界で有名な工務店で勤務しスキルと経験を磨いた。設計事務所として独立後は、マイホームの取得コストを抑えたい子育て世代によるリノベーションのニーズが増える一方、不動産会社が物件の建物状況調査(インスペクション)を拒む、明らかに雨漏りしているのに告知しない、仲介手数料とは別のバックマージンを要求するといった商習慣に不満を感じていた。自身の事業については、オーナーの要望を実現しようと頑張るあまり、利益率が下がってしまう課題も抱えていたという。

物件紹介と住まい提案で差別化

そこで天道さんと石原さんはお互いの長所を活かし、既存の会社を社名変更する形で㈱トキメキデザイン・アトリエを2014年に起業した。集客・広報戦略の軸はウェブサイト。言葉の意味が浸透しつつある一方、まだ競合が少なかった「リノベーション」というキーワードで、Google検索で上位表示を実現し、集客につなげている。

土地や中古住宅の物件探しから関わるケース、リノベーションの依頼から始まるケース、マンションリノベーションの依頼など要望は様々で、老朽化の進む物件では性能やコストを比較して新築も提案することもある。

同社の特長は不動産業とリノベーションを合体させた事業内容にある。「インスペクションをしたい」と売主に打診するとあら捜しをしようとしていると思われるのか、敬遠されることもあるが、不動産業者の立場で鍵を借りに行くと、じっくり物件のチェックができる。住宅の改修で思わぬ追加工事の発生リスクを減らせるので買主のメリットも大きいという。

リノベーション需要の高まりに合わせ、今後はリノベーション済みの中古物件のモデルハウス展示・再販など新たな事業やウェブサイトの強化などにも取り組む計画だ。
㈱トキメキデザイン・アトリエの公式サイト



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2017年05月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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