Story 取材記事

スモーキーカラーの塗壁に格子窓の輸入住宅 札幌市/プルーデンスの家

はじめに

本物の輸入住宅を、ここ北海道で実現



プルーデンスの家は「北海道の大地に真の輸入住宅を建てたい」という信念の下、1980年に創業された札幌のハウスメーカーです。以来約40年にわたり、北海道の気候風土に合った輸入住宅を忠実に再現し、優雅で重厚感あふれる本格輸入住宅を提供しています。

クラシカルな輸入住宅の魅力をベースにオーナーのライフスタイルを反映させたプラン、経年と共に風格と価値を増す美しいデザイン、高断熱・高気密、プラットフォームフレーミング工法をはじめとする強度・耐震性の高い家づくりは、歴代のオーナーから「暮らすほどに愛着の増す住まい」として高い評価を得ています。

今回拝見するのは、プルーデンスの家で住宅提案の営業をされている井元佳祐(けいすけ)さんのご自宅。これまで約80棟近く携わった家づくりの知識や経験を活かし、30代前半の若夫婦らしい感性で仕上げたヴィクトリアンスタイルの住宅です。井元さんと奥さまに、家づくりについてお話をうかがいます。

切り妻屋根やカバードポーチでヴィクトリアンスタイルを完成

複数の切り妻屋根を配した美しい外観


屋根材には落雪防止屋根材のコロナルーフを、外壁には主に耐久性の高いゼオンサイディングが使われている


井元さんのお宅は札幌市内の閑静な住宅街にあります。外観は隣接する雑木林の緑に彩られ、往来からも目を引く上品で華やかなデザイン。切り妻屋根をバランスよく配し、妻飾りや、飾り雨戸などの装飾も印象的です。

三角屋根と一言で言っても、これだけ切り妻屋根を多用したものはプルーデンスの家ならではと言えます。複雑に入り組んでいますが、まき垂(屋根の雪が屋根の先端から軒に垂れ下がり、壁側に巻き込む現象)などの心配はないのかとお聞きしたところ「そうした心配はなく、意匠性の高いデザインがお客さまからも喜ばれています」と井元さん。



リビングの吹上部も切り妻屋根になっていて、可愛らしいハーフラウンドの採光窓が付いています。

海外ドラマで見かけるカバードポーチも

玄関前のカバードポーチもヴィクトリアンスタイルの特徴の1つです。



井元さん「人気の海外ドラマ『デスパレートな妻たち』に出てくるようなカバードポーチにしたいというお客さまに出会ったことがありました。ドラマでは、ここで近所の主婦たちがお茶やお酒を楽しむ場面がたびたび登場します。デス妻って何?から始まった僕は、何度もこのドラマを観て、使われているものやデザインについて研究したのを覚えています。

自宅はビルトインガレージのため、カバードポーチを小さめにしましたが、ディテールにはこだわりました。デザインピラー(柱)など資材の多くは海外の商社を通じて直接仕入れ、国内で購入する場合の1/3ほどの価格で抑えています。

通常、材料の多くは国内の商社を通じて購入していますが、部分的に直接仕入れることもありますね。常に、品質を保ちながらも安く抑える努力は惜しまないようにしています」。



左手の6角形に突出した部分は独立したダイニング。上部は全面がバルコニーになっています。庭は2匹の愛犬が走り回れるよう、人工芝を敷き詰めフェンスで囲いました。

将来を見据えた居心地の良いゾーニング

井元さんはご夫婦と1歳の娘さん、そして愛犬2匹と暮らしています。2018年5月に新居が完成し、入居して丸2年が過ぎました。

日常を特別なひと時に変えるサロンのようなダイニング



井元さん「LDKは、一般的に間仕切りの無いオープンタイプが人気ですが、ダイニングはLDより高さを下げて床材も雰囲気を変え、空間の違いがはっきりと出る独立型にしています。

一日の中でもダイニングで過ごす時間が意外と長いと感じていて、居心地のよい空間にしたかったのと、来客の際には、お客さまをおもてなしできる別空間として使うことが出来るようにと考えました」。



「両親やお友達を招いた時に、家の中で一番評判が良いのがダイニング。窓越しに緑を眺め、風を感じながら過ごせるダイニングは、私もお気に入りの空間になっています。この形にしてよかったです」と奥さま。

採光窓から月を愛でる吹上のリビング



ハイスタッド(天井高約2700mm)で通常よりも300mmほど天井が高いプルーデンスの家。リビングにはさらに吹上があり、伸びやかな空間が広がっています。



「夜、ソファに座るとハーフラウンドの採光窓から月を眺めることができるリビングが一番気に入っています」と井元さん。

LDを見渡すことが出来るキッチン



キッチンに立つと、リビングを正面に、ダイニングを右手に眺めることが出来ます。奥さまの希望で、キッチンの壁面には名古屋モザイクのタイルを使用しています。このタイルを使った事例を奥さまが見て、一目ぼれしたのだそう。偶然にもブルーグレーの壁とリンクした配色になりました。

トレンドを採り入れた若々しいコーディネート



入社後の数年、プルーデンスの家が手掛ける輸入家具の販売やコーディネートをしていた井元さん。現在、輸入家具販売は行っていませんが、その経験はお客さまへの提案時はもちろん、自宅のコーディネートにも生かされています。

井元さん「室内の壁にはブルーグレーを使いました。スモーキーカラーが流行っていますが、フローリングのカラーを濃いめにしたので、室内が暗い印象にならないよう、明るめの色を選んでいます。家具は求めやすいイケアの商品を中心にコーディネートしています。

2匹の愛犬との快適な暮らしをイメージ



左/玄関ホールの収納下
右/独立したダイニングの一角に2匹のワンちゃんそれぞれのスペースを設けています



左/玄関横のシューズクローゼットに設けた犬の足洗い場
右/シューズクローゼットにはL字型に収納棚が配置されています

広い2階ホールは共有スペースにも



ソファを置いてセカンドリビングとして使うなど、北米の住宅では2階ホールを広くとることが多いそう。井元さんのお宅ではカウンターテーブルと棚を設け、書斎コーナーをつくりました。

2階ホールからつながるバニティ



2階ホールにはバニティと呼ばれるオープンな洗面化粧室があります。日本でもクローゼットの奥など、身支度しやすい動線上に化粧スペースを設けるプランが増えているようです。

洋服を収納している主寝室や個室との行き来を考えると、洗面化粧室も2階にあるほうが効率が良く、就寝前の歯磨きなどにも便利です。オープンにしていることで、キレイに使う習慣にもつながるといいます。

プルーデンスの家ならではの特徴とは?

本物の輸入住宅だから出来るゆとりと内装デザイン



両開きでガラス張りの大きなリビングドアは、これぞ輸入住宅といった趣きです。プルーデンスの家ならではの住宅の特徴について井元さんに伺います。

フィートモジュールの家


広々とした玄関ホールが訪れる人を迎えてくれる


プルーデンスの家は、国産の2×4に海外テイストを盛り込んだ輸入風住宅とは違い、フィートモジュールを用いてつくられます。日本古来の在来工法で用いる尺モジュールが910mmなのに対して、フィートモジュールは1218mmが建物の基本グリッドとなっているため、ホールや廊下、階段、トイレなどの空間にもゆとりが生まれます。

ハイスタッドで天井が高い

リビングのところでもご紹介しましたが、通常の天井高が2400mmなのに対し、プルーデンスの家はハイスタッドの2700mmと、300mmも高い設定になっているので、開放的な空間をつくりだすことができます。

建具やモールディングがきれいに仕上がる


きれいに仕上がった格子窓


建具をはじめ、室内の仕上げに使うフローリングや、装飾に使うモールディングなどもすべて北米から取り寄せていますが、そうした輸入の装飾品や仕上げ材はフィートモジュールになっています。尺モジュールの住宅に輸入装飾を用いると、単位が違うためキレイに納まらないなどの心配がありますが、プルーデンスの家はフィートモジュールを基本にした建物なので納めやすく、美しい仕上がりになります。

上質で滑らかなドライウォール工法



内装壁や天井は石膏ボードの継ぎ目にテーピング処理を施した後、3回に渡ってパテ塗を丁寧に繰り返すドライウォール工法を採用しています。そうすることで平滑でクラック(ひび割れ)が起きにくく、防火、耐火、遮音、気密性能の高い上質で滑らかな壁が仕上ります。

左/壁紙だと切り込みを入れて処理したり、しわが寄ったりしがちなニッチのコーナー部分も滑らかな曲線を描いています。

右/壁に直接釘やねじを打ち付けても、上からパテや塗料を塗ることで簡単に修復することができ、メンテナンスのしやすさも魅力です。そうした手入れを自分で出来ることからも、「住むほどに愛着が増す」と感じているオーナーが多いようです。

夢のガレージライフをスタート

愛車のためにビルトインガレージを希望



車好きの井元さんは愛車を格納する組込み車庫を希望、居住スペースが多少狭くなっても、譲れない条件だったといいます。オーバースライダーのシャッターが付いた広々とした車庫には、キャンプ用品などが収まるロフトや棚も付いています。

DIYを心置きなく楽しめる空間に



入居後新たに始めたのがDIY。作業台や、壁面の見せる収納なども井元さんの手作りで、近々ボックス型の収納棚を取り付ける予定なのだそう。



そして娘さんのために井元さんが作ったのがこちらのおままごとキッチン。奥さまが娘さんのクリスマスプレゼント用にと購入を迷っていたところ、「これなら自分で出来る」と思い、帰宅後や休日を使って少しずつ仕上げていった思い出の作品です。

塗装に使ったブルーグレーの塗料は、壁に使われているものと同じなので、室内の統一感を損なわずインテリアの一部としても楽しめます。

本物の輸入住宅の魅力を再確認



奥さま「外観やガラスのリビングドア、6角形のダイニングを見て、遊びに来たお友達には『豪邸に住んでいるんだね!』と驚かれます。ブルーグレーの塗壁やウィリアム・モリスのカーテンが似合うダイニングなど、日常でありながら心が弾む住まいに大満足です」。

井元さん「本物の輸入住宅の良さは、流行に左右されない普遍性にあります。年月を重ねるにつれて風合いと愛着が増す、次世代に住み継がれる家です。これからも、お客さまのご希望に寄り添い、価値ある家づくりをしていきたいと思います」。

記者の目

家中、すべての場所が絵になるような美しい住まい。「豪邸」と感じるのは、プロによる唯一無二のプランニングと、本場の建材や装飾を用いた丁寧な施工の賜物です。私たち日本人にとってはまだ珍しく、初めて見るような「本物」のエッセンスを隅々まで感じる取材でした。


2020年06月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。