Story 取材記事

羊蹄山を望むピクチャーウィンドウの家 

M邸外観。山頂まできれいな姿を現した羊蹄山をバックに、切妻屋根に道南杉の建物が見事に映える


札幌から車で2時間弱。羊蹄山を目前に望む自然豊かな集落に、Mさんのお宅はあります。東京で暮らしていた時分から、来道しては訪れていたというニセコ町が気に入って移住を決意。ドライブの途中、偶然この土地に出合い、家づくりの拠点を得ました。札幌のヨシケン一級建築士事務所で希望の住まいを叶えたMさん夫妻と、担当の吉田専務にお話をうかがいます。


目次

畑や庭、野鳥観察を楽しむスローな暮らし

Mさんはご夫婦の2人暮らし。Mさんは山岳ガイド、奥さまは翻訳や執筆のお仕事をしながら、全部で1000坪という広大な敷地の中で、畑やガーデニングを楽しんでいます。



経年した道南杉の板張りは、自然の風景にもマッチ。2階にはリビングの大きな3連窓が見えます。



庭の桜の木にはバードフィーダー(餌台)が取り付けられていて、ゴジュウカラやシジュウカラ、シメやカケスなどの野鳥が餌を食べにやってくるそう。その他にもアカゲラ、ヤマゲラ、ツグミなど、庭では多くの野鳥を観察することができます。

Mさん「この集落には10数件の家がありますが、そのほとんどが移住組なんです。皆さん親切で温かい方たちばかりで、畑仕事をしていて分からないことがあっても気軽に聞ける間柄。助け合いの精神で、お互いに支えあっています。景色の良さはもちろん、コミュニティーにも恵まれたこの場所に出合えて、本当にラッキーでした」。

羊蹄山を切り取るリビングの大開口

2階には目前に羊蹄山を眺められるLDKがあります。



まるで絵画のよう。真正面に羊蹄山を欠けることなく切り取る大きな窓は、最大サイズのトリプルサッシを3枚連続して設置したものです。

奥さま「夏至の時には山頂から太陽が昇ってくるんです」。
Mさん「庭に来る野鳥を眺めて過ごすのは本当に楽しく、時間を忘れてしまうほどです」。



大きな窓に野鳥がぶつからないよう、窓ガラスにはバードセイバー(鳥よけ防止)のウィンドウフィルムを貼っています。別名、蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山の頂に日の出を拝むことができる場所は、そう多くはないと思うと、ここは本当に恵まれたロケーションです。

具体的な希望をヨシケンがアレンジ

家づくりのコンセプトがしっかり定まっていたというMさん夫妻。奥さまはパソコンで間取り図をつくり、具体的にプランの要望を伝えられたそうです。


三角屋根の構造を現しにしたおおらかな天井


互いの様子がわかるオープンなLDK

「LDKは間仕切りの無いオープンタイプを希望しました。夫婦ともに自宅で仕事をすることが多いので、互いの気配を感じつつ、作業に集中できる環境にしたかったんです」。



ダイニングの奥には、奥さまが愛用しているグランドピアノと、仕事で使うPCカウンター、書棚を設けています。カウンターの左奥に、トイレがあります。



「取り付けには苦労しました」と担当の吉田専務が話すのは、キッチンからリビングの壁際まで一直線に続くキッチンカウンターについて。長さが5mもある分厚い集成材で出来ています。



窓辺に近い壁際はご主人のPCスペースになっています。

二人で並んで使える広々キッチン

Mさんのお宅は普段からご主人も一緒に料理をすることが多いそう。キッチンは広さ、作業効率の良いさ、収納など、奥さまが一番こだわった場所でした。     



キッチンと背面収納の間は、通常よりもかなり広い1.3mを確保。背面の引き出し収納にはキッチンのフロアキャビネットを採用しました。通常の収納は45㎝の奥行きですが、こちらは65㎝の奥行きがあり、広々とした天板は作業もしやすいそう。是非参考にしたいアイデアです。



キッチンの奥にはパントリーがあります。3畳の広さがあり、中には冷凍庫のほか、様々な食品ストックや調味料がきれいに収納されています。向かって左手下部に見えるのは奥さまが「冬の畑」と呼んでいる水耕栽培の水槽です。ルッコラやバジルなどのハーブを育てています。

薪ストーブは必須アイテム 

ニセコの冬にぴったりな薪ストーブも、ご夫婦が希望したアイテムのひとつです。   



薪ストーブはアメリカのバーモントキャスティング社のもの。遮熱壁は石積みで、登別で採掘される凝灰岩を使用しています。
Mさん「現地まで足を運び、現物を見て決めたこだわりポイントです。アウトドアを楽しむためにニセコを訪れる友人や宿泊客が多く、寝袋持参で泊まりに来ます。冬に来客があると、自然とみんな薪ストーブの周りに集まり、ストーブを囲んでお酒を楽しんだ後は、そのままそこで寝てしまうほど、居心地の良い場所になりました」。

奥さま「1階は全床暖房ですが、冬でも最小メモリの1に設定しています。2階は床暖房がありませんが、薪ストーブを朝2時間、夜3時間焚くだけで、十分に暖まります」。断熱・気密に優れたヨシケンの住宅は、床暖房と薪ストーブ1台で快適に過ごせるのも魅力です。

大人数のゲストを迎えられる家に

「とにかく来客が多い家なので、お客さまに心地良く過ごしていただけるよう、色々工夫しています」。 



玄関に入ると真っすぐ先に羊蹄山を映し出す縦長の窓があります。最大で一度に40人が来たこともあったそうで、大人数の靴が置けるよう、洗い出しの土間は6畳の広さがあります。階段には空間の広がりを損なわないよう、奥さまの希望でさらし階段を採用しました。左手には小上がりの和室を設けています。



床の間のある和室は、海外からのゲストにも喜ばれているそう。珪藻土に藁を混ぜた塗壁など、素朴でシンプルな仕上げも素敵です。



スペースを圧迫しないよう、ロフトへの昇り降りには片持ち階段を設置しました。ロフトは大人数の宿泊客があった際に使う予定です。階段下の扉は、来客用の洗面・浴室につながっています。



左/遠くにニセコアンヌプリが見える浴室。壁には抗菌・殺菌作用が高い青森ヒバを使っています。中に入るとヒバの香りが広がります。
右/スッキリと機能的な洗面室。床は石目調のタイルを使っています。

便利な道具部屋とドライルーム 

山岳ガイドの仕事をされているMさんは、たくさんのツールが収納できる道具部屋と、濡れたアウターやスキー靴などを収納できるドライルームを希望していました。    



玄関の右手にある道具部屋には、Mさんがお仕事で使う山岳ツールが有孔ボードにずらりと並びます。便利な作業台も完備しています。



玄関の左手にあるドライルーム。1階は全面が床暖房になっているため、濡れたブーツやスキー靴などがすぐに乾くので重宝しているそう。クローゼットや靴収納は、ゲストの分まですっきり納まる大容量です。暖房用のボイラーもあるため、室内は乾燥に適した状態を保っています。

メーターモジュールの広々階段 

吹抜けの階段はメーターモジュールを用いた幅1000㎜になっています。



通常の尺貫法を用いた909㎜の階段に比べると、かなりゆったりしたサイズです。吹抜けなので1、2階の上下窓から外の景色を縦長に眺めることができるビュー・ポイントでもあります。

エンスイートの寝室 

「寝室はエンスイートタイプ。唯一のプライベートルームです」と奥さま。エンスイートとは、トイレと、シャワーかバスルームがある部屋のことを指します。  



間接照明を施した玄関框が、よりいっそう和の趣を感じさせる玄関ホール。天井までの高さがあるハイスタッドのドアの向こうにご夫婦の寝室があります。



寝室はグレーとうぐいす色のやさしい配色。ドアの向こうはユーティリティにつながっています。床材にはナラの無垢材を使っていて、木の温もりや心地よい足裏の感触は天然木ならではの魅力です。



ホテルライクに仕上がったユーティリティ。向かって右手前からシャワールーム、タオルの奥にトイレがあり、左手奥には洗濯機を収めたランドリー収納があります。

奥さま「生活感が出ないよう、洗濯機を隠してもらいました。シャワールームの扉もハイスタッドにしたかったので、相談したところ、アルミフレームの特注品になりました」。



ユーティリティの直線上にはクローゼットを設けていて、シャワー後の動線にも優れた造りになっています。

家づくりのパートナー選びは直感で

「求めていたのは細かな要望を反映した上で、全体として見た時に調和がとれた美しい住宅。自分でも具体的にプランを描いていたので、完成してみると『やっぱりこういう家が好きだったんだな』と感慨深いです。希望を伝えて、ヨシケンさんから『できません』という言葉は一度もなく、期待以上に仕上げてくださいました」と奥さま。



記者の目



玄関撮影のため、ご主人の道具部屋に避難してお話を伺った時のこと。

「私の仕事はコミュニケーションが一番大切。時に危険でもある自然の中でお客さまをガイドするには、『コミュニケーション』も大切な『道具』の1つになります」とご主人。ニセコの大自然でガイドを務めるご主人のプロ意識の高さとともに、こうした姿勢が、ご夫婦とヨシケンさんの家づくりにもつながっていることを感じた取材でした。

2020年06月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

ヨシケン一級建築士事務所の取材記事

札幌圏の取材記事