Story 取材記事

函館・道南地区でいい家をつくる方法/地元工務店は評判どおり良かったか?

注文住宅オーナー3家族の本音トーク(追分サスティナブルビレッジ)

※この記事はiezoomを運営する北海道住宅新聞社が2007年に取材・編集した記事を再編集して掲載しています。役職等は当時のものです。

函館・道南地区の地元工務店グループ「イーハウジング函館」(e-housing函館)が今春販売を開始した北斗市のニュータウン「追分サスティナブルビレッジ」で住まいを建てたオーナーをお招きし「どうすれば納得の住まいが手にはいるか」をテーマに座談会を企画しました(2007年)。 トークのあちこちに、家選びのヒントが隠れています。



下列右から斉藤広光さん、小野寺俊司さん、恋叶(こか)ちゃん、小野寺真知子さん、徳家知美さん。
上列右からハウザー社長川村伸之さん、マルサ佐藤建設社長佐藤昌博さん、渋谷建設社長渋谷旭さん、徳家武士さん

事前の勉強と出会い、住宅メーカー選び

まずは簡単に自己紹介


小野寺俊司さん

子供ができたのを機に安心して子育てできる住まいが必要だと考えました。

妻の義理の兄がハウスメーカーで家を建てたこともきっかけになりました。  ある日会社の帰りに北斗市の追分サスティナブルビレッジの分譲地を見かけて、まず土地を私も妻も気に入って、その後にイーハウジング函館の存在を知りました。

さらに知人を介してマルサ佐藤建設の評判を知り、最終的にこの住まいを建てることができました。


徳家武士さん

私はイーハウジング函館メンバーの渋谷建設株式会社で約7年働いています。  

自分が大工なので、夫婦の間でも私が30歳になる頃には家を建てようと漠然と考えていて、29歳になった今年、自分を中心に施工チームを組んで、住宅を建てることができました。

仕事の上でも良い経験になって、非常に良かったと思います。


斉藤広光さん

追分サスティナブルビレッジで、ハウザーさんに新築をお願いしましたが、紆余曲折がありました。  実は他のハウスメーカーにお願いすることがほぼ決まっていたのです。  
身近な人のアドバイスやハウザーの川村社長との出会いが重なって納得の住まいを手に入れることができましたが、一歩間違うと一生後悔することになったかもしれませんでした。

▼渋谷建設株式会社:渋谷旭さん
追分サスティナビルビレッジを選んでいただき、ありがとうございました。 今日は皆さんのご意見をうかがったり、ご近所付き合いのきっかけになれればと思っております。

▼マルサ佐藤建設:佐藤昌博さん
今後、この街は人が増えて、21家族が暮らし始める予定です。暮らしやすいまちづくりの応援がしたいと思っております。


断熱性能やバリアフリーの提案力に納得

追分サスティナブルビレッジで建てた経緯


小野寺俊司さん

私たち夫婦は知り合いや親戚が集まるとき、空き地が多くて車を止めるのに不自由しないような田舎で育ちました。 土地が70坪程度あって十分な駐車スペースと居住空間を確保したい。その希望にあった土地を北斗市の追分サスティナブルビレッジに見つけたのです。 日当たりも良く、学校や職場も近かった。販売している佐藤建設さんにこの土地で家を建てたいと連絡。キャンセル待ちして最終的には実現できました。

その後はパソコンで図面を引いてみたり、社長にアドバイスいただきながら間取りを考えたり。 母が車いす生活になったとき実家を1000万円近い費用でスロープを付けたり、床段差を解消した風呂やトイレなどを用意しました。 私たちの家の中も車いすで自由に行き来できるプランにしていただきました。 友人が 22歳のとき事故で車いす生活になったのですが、彼もその後佐藤建設で家を建てています。 彼の家のバリアフリー対応を見て、しっかりした会社だと確信しました。


徳家和美さん

思ったより若いうちに自分たちの家が手に入ったことや、デザインや設備などを選ぶときに意見を聞いてもらったこともあって、満足のいく住まいができました。主人が頑張ってくれたので安心してお任せしていました。

▼渋谷建設:渋谷
徳家君はうちの棟梁候補です。彼はこの家を建てる責任者になってすごく成長したんです。 私自身もそうでしたが自分の家を建てるとお客様にとって何が大事か、施工上の段取りも身をもってわかるのです。 彼は次の現場から全て施工管理を任せられるようになりました。完成した住宅がこの座談会の会場です。


斉藤広光さん

イーハウジング函館のハウザーさんで建てたのは、それまでお願いしようとしていた住宅会社より信頼できると確信したからです。  前の住宅会社と打ち合わせしたとき、私は名前だけ知っていた基礎断熱工法のこと、外断熱工法のことを自分の家に採用したらどうかと聞きました。するとその担当者は「そこまで必要ないんじゃないですか」と言うんです。 当時は私自身もよく知らなかったのでそんなもんかなと思いました。  

ところが兄が仕事の関係でイーハウジング函館の会員企業は仕事が丁寧だとか、いろいろな評判を知っていて、私にイーハウジング函館も検討するように勧めたのです。 そこでこの土地を見にきたら、ハウザーの川村社長に会いました。同じことを聞いてみたら工法や性能、コストなどを私が分かるまで分かりやすく、詳しく教えてくれたのです。ハウザーさんはちょっと違うなと。もし前の会社で決めていたらと思うと・・・。

工務店の強みを磨き、お客さまに喜んでいただく

函館・道南地域工務店の思い


渋谷建設:渋谷

イーハウジング函館は、地元工務店や建材店などが集まって、皆さんに安心して住める高性能な住宅を適正価格で供給することを目的として集まった集団です。 週に1回企業の枠を超えて集まり、施工や設計情報の共有・学習、技能者育成、そして個々の力では実現できないような企画などを話し合っています。いい家づくりが得意な工務店のチカラを伸ばし、お客さまに喜んでいただくとともに、企業の体力強化を図ってきました。  

今回はユーザーのニーズに合った割安で環境の良い立地を提供することを第1に考えました。 不動産会社は土地を販売する際に3割程度の販売利益が必要ですが、我々は土地代から利益を得る必要がありません。 土地造成は土木工事の少ない時期に5社の建設会社から見積もりを取って費用を比較。広告はグループ内の企業が共同負担し、土地は利益なしで販売しています。

「信頼関係ができて、“こうしたい”が間取りになっていった」

理想の住まいができるまで


小野寺真知子さん

主人はもともと住宅のことを考えるのが好き。積極的で住宅雑誌も見ていろいろ考えていました。 佐藤社長も具体的な話をたくさんしてくれました。 私たち家族の意見と佐藤社長のアドバイスがたくさん盛り込まれた家です。

▼小野寺俊司さん  
妻の実家は大工ですし、私も多方面からいろいろな情報を仕入れました。 地元工務店がグループを作って活動できているというのは、お互いを信用できるからだと思います。 個人企業から営業されるよりもイーハウジング函館としての活動に安心感がありました。 棟梁さんとも話しましたが、大工さんもグループ内の他の工務店よりいいものを作りたいと思うそうです。 私の家はこだわりの強い家なので、大工さんも大変苦労されたと思います。


マルサ佐藤建設:佐藤

私たちの仕事はプランを立てるためにお客様のプライバシーに踏み込む必要があります。 小野寺さんは子育ての事などを率直に話してくれました。予算と土地の広さが十分あれば何でもできますが、限られた予算と土地であれば建築プラン作りは選択が重要になります。  

小野寺さんの要望もあるし私もやってあげたいことがある。 私がご夫婦との打ち合わせの場でこういうことができますと提案すると、小野寺さんはいつも夜遅くまで考えてくれる。 ある程度考えをまとめたら奥様に意見を求めるんです。いつも奥様の意見が入って決定されていく。 私も信頼を感じながら進めることができました。

▼小野寺俊司さん
出張のない日は、朝の出社前、昼休み、仕事の後、家に帰ってからまた現場に行って、たばこ吸いながら眺めたり。 大工さんが「今日はここまでやったよー」など気さくに話してくれました。 例えばスイッチの数は図面上大丈夫と思ったけどもう一つあったほうが良かったと現場で言ったら、手間なのに快く応じてくれました。新居にお招きした方々の評判もすごく良くて。

▼徳家武士さん
私は自宅を自分たちで作るという面で特殊でした。 施工管理を学んだりという面で分からないことも多く毎日胃が痛かったです。 でもその仕事を終えて自分の仕事ががらっと変わりました。お客様が自分の家を建てるときにどんなことに不安を感じるか。 家を建てる立場になって良く分かりました。


街並み協定って不自由なもの?


美しい街にするために


▼渋谷建設:渋谷
デザインコードを定めるか、自由にするかはかなり悩みました。
最終的には建築位置指定線や建築境界線の設定と、シンボルツリーや植栽をイーハウジング函館が一部負担により設置することをお願いすることにしました。
サスティナブルビレッジと名付けたのはサスティナブル=持続可能、みんながここに住みたいという街を目指したいという思いです。
自分の家と土地だけを財産と考えるのではなくて、町全体をみんなの財産だと考えると、もっと皆で町を守り付加価値も高まると思うのです。

▼斉藤広光さん
最初は好きなようにプランを考えたいと思いました。
でも先に建てる私が好きなように家を建ててしまうと、後に建てる隣家が私の家に合わせて配慮しなければならない。
実際は壁面後退線があって家を建てられないスペースにはバイク車庫が確保できて不便もなく、デザインコードはあったほうが良かったと思いました。

▼小野寺俊司さん
街並みを意識した団地形成は賛成です。自分たちが住む街がよそから見て、綺麗でおしゃれ、住んでみたいと思われたら嬉しいし誇りに思える。
高額な土地に高級住宅を建てる人もいるなかで、私たちは手頃な価格も大事でしたが、買いやすい価格でも素敵な街になるなら大賛成。
デザインコードを制限とは受け止めませんでした。


「本当に求めているのは暖かくて暖房費が安い家」


暖房費がひと月万単位で違うのに、建てる前に分からないことが課題


▼渋谷建設:渋谷
北方型住宅にすると施工履歴が残り、中古市場でも資産価値が高まります。断熱や工法の話をお客様にしっかりできることは、このメンバーでは当たり前です。 むしろ私がお客様に伺いたいのはそれがお客様にとってどれくらい大事なのかです。

我々は新住協という住宅技術団体のもとで断熱技術を勉強しています。例えば「Q1.0住宅」は現行の省エネルギー基準で建てた住宅と比べ暖房費が半分になる住まいで、熱損失係数(Q値)は1.0前後の超高性能の省エネ住宅ですが、建築費は高くなります。 一方で住宅業界は多くの会社が高断熱高気密住宅を宣言しています。 でも高断熱高気密住宅という言葉には、技術や性能レベルでの定義はありません。我々は本当の高断熱住宅を建てるためにお客様から特別なお金をいただきません。当たり前にできることだからです。 でもお客様はそこまで考えて住宅会社を選定していただいているのか。こうした努力が他社との差別化になるのかということを伺いたいのです。

▼斉藤広光さん
私が最初に検討した会社とハウザーさんは、値段はほとんど変わりませんでした。ただ、少し質問すると断熱性能レベルが違うことが分かりました。最初はその違いが分からなかったのです。 きちんと技術レベルが高いところにお願いしたいのは当然です。 もし前の会社で建てていたら一生後悔していたと思います。 住宅性能が違うこと、暖房費がひと月で万単位で違うことをわかりやすく伝えてほしいです。


わが家が大切なふるさとになっていく


新しい街で新しい暮らし


▼ハウザー:川村
企業は永続するとは限りません。 35年後にはもしかしたらイーハウジング函館のメンバーもどこか欠ける企業が出てくるかもしれません。 でも、一つの事業ですから斉藤さんの家のメンテナンスは渋谷さんにもお願いしやすい。またお客様同士のコミュニケーションもしやすいと思います。私たちはいつもお客様の気持ちを良く知りたいと思っています。

▼渋谷建設:渋谷
追分サスティナブルビレッジをどこにも負けないような素晴らしい街にできればと思います。

▼小野寺真知子さん
今日はこんな機会が出来て良かったと思います。 これから引っ越して来られる方も含めてただ挨拶だけでなくて会話ができて、安心して子育てができるような街にしたいと思います。 佐藤社長には私たちの細かい要望も丁寧に答えていただいて、電気温水器の使い方が分からなくなったときなどもすぐに来てくれるので助かっています。


▼小野寺俊司さん
子供も含めて私たちが住みよい環境になればと思います。夢を実現していただいたということで感謝しております。

▼徳家武士さん
近所づきあいの良いきっかけにもなりました。渋谷社長には家を建てるにあたって迷惑もかけましたしアドバイスもいただきました。

▼徳家和美さん
いつかは建てたいと思っていた家を、渋谷社長に助けていただいてできたこととても感謝しています。 主人も勉強になって、私も初めての経験でしたし、現場に見にくるのも楽しみでした。大切に住んでいきたいと思います。 新しい町なので、皆さんと協力していきたいと思います。


▼斉藤広光さん
新居は春までモデルハウスになるので、入居までもう少しの辛抱。新しい家に住めるのを楽しみにしています。

▼マルサ佐藤建設:佐藤
今日はオーナーさんからたくさん参考になる話を聞かせていただきました。 eハウジングという会は、みんな商売敵なのに技術を一緒に勉強しています。サスティナブルビレッジも実現できました。 この街っていいねと言われて、実績も積み重ねて新しい街にもチャレンジしたいと思っています。 ここでの暮らしが楽しく、良い関係にできればと思います。今日は皆さんありがとうございました。


※この記事はiezoomを運営する北海道住宅新聞社が2007年に取材・編集した記事を再編集して掲載しています。役職等は当時のものです。

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