Q&A いえズームQ&A

2 設計・プラン 「子育て住宅」の重要点は?

子育て住宅の重要点とは?

新築戸建て住宅を建てる動機のなかで、大きな割合を占めるのが「子どものために」という思いです。

アパートやマンションでは、子どもが飛び跳ねると階下の人に迷惑がかかるのが心配だったり、子どもが小学校に入る前に、家を建て終えて、子どもが転校しないようにしておきたい、といった親心が、家を建てる決意につながるのです。そしてせっかく家を建てるなら「勉強ができる子に育つ家」「親子のコミュニケーションが増える家」といった点にも興味が出てくるわけです。

子育てと家づくり、どういう点を配慮するとうまくいくのか。経験豊富な住宅会社の皆さんに聞きました。


朝日良昌社長

回答1子ども部屋は狭く。「ダイニングで勉強」は親の時間捻出のためでもある

十勝・芽室町 株式会社カントリーヴィレッジ 朝日良昌社長

リビングに階段を設けると、リビングやキッチンにいる親とすれ違わないと2階の子ども部屋に行けないので、子どもの非行やひきこもりを防ぎやすい、という意見をよく聞きます。また、ダイニングやリビングに子どもが勉強しやすい学習用カウンターや教科書などを収納できる棚を設けると、子どもの教育に良いというご意見もよく聞きます。

親子のコミュニケーションを大切にしたい、引きこもりを防ぎたい、というのは多くの親御さんの思いです。まず私が第1におすすめするのは子ども部屋を充実させないという方法です。小さなお子さまがいらっしゃるご家庭なら、子ども部屋は4.5畳程度に狭くしてテレビ配線も引かない。そうすることで、寝る時以外は子ども部屋に長居するより、自然にリビングで過ごす時間が増えていきます。ただ新築時に既にお子さまが中高生という場合でしたら、受験に集中できる環境を作りたい、といった思いもあるかと思います。お子さまの状況にも配慮した設計が必要です。

次にダイニングやリビングに学習環境を作ると、家族の物音が聞こえるような場所で勉強することで、むしろ雑音に惑わされずに勉強する集中力が付き、学力が高まるという考えがあります。これに関しては、私はむしろ親の事情があると思います。共働き家庭が増える中で、限られた時間で料理や洗濯、掃除などをこなす親にとって、もし子どもがダイニングで勉強していれば、子ども部屋にいるよりもコミュニケーションがしやすいし、子どもの様子にも気付きやすい。そういう意味でも良い選択肢だと思います。

まずは子ども部屋を充実させすぎない、次に子どもがダイニングで勉強しやすい環境を作ることを考えると良いかと思います。平屋にするという選択肢は子育ての上でも家族のコミュニケーションのためにも有効です。もちろん玄関ホールからではなくリビングから階段にあがる設計にするというのも検討に値すると思います。


小森正浩代表取締役

回答2子どもの成長を踏まえたプラン検討を

旭川 セルコホーム旭川 株式会社小森工務店 小森正浩代表取締役

子育て環境づくりは、お客様とも話し合う大事なテーマです。お子様が小さな時期、中高生の頃、そして子育てが終わった老後の暮らし、というライフサイクルに合わせた事情を想定しながら重視すべきポイントを考えていくと良いと思います。

あるお客様は、「小学生の子どもが、ダイニングテーブルで勉強していると、親が勉強を見るのには良いけれど、夕食の時間に、机を一度片付けないと食事の準備ができない」とおっしゃっていたので、ダイニングに勉強用のカウンターを設置しました。これならお母さんに勉強を見てもらえるし、食事の時間でも机を片付けなくても大丈夫です。

幼稚園くらいのお子様の兄弟がおられるご家庭には、2つの子ども部屋は、いったんは区切らず、一緒に遊べる環境を作り、子どもの成長に合わせて間仕切りを設置するという選択肢も提案します。子ども部屋は5帖程度の狭い部屋だと、居心地が良すぎないので、お子さん自身が自発的に家族のいるダイニングにいる時間が増えたり、ひきこもりのリスクが減ったり、ということはあると思います。


佐藤博社長

回答3お子さんの年代も踏まえてプランを検討。2階に共有ホール設置も魅力的

千歳市 協栄ハウス 佐藤博社長

まず、お子様の現在の年代によって配慮すべき点が変わります。赤ちゃんが誕生されて間もない頃であれば、1階に子育て用の部屋があるとお母さんの負担が軽減できます。小学生の高学年くらいになると、どんなお友達を連れてきたか、どんな風に子ども部屋で遊んでいるか親としては気になりますので、2階の子ども部屋にあがる前にリビングを通るようにリビングに階段を設けるのも良いと思います。

ただし、子どもがもう少し大きくなって、もうさほど心配しなくてもよい年代になった後は、むしろ子どもの友人がリビングを通ると、リビングにいる親の方がむしろ落ち着かないということもあります。お子さんの年代や家族構成を踏まえ、お客様がどういう暮らし、家族との関係を望まれているかをしっかり伺ってプランに反映させていきたいと思っています。家族みんながリビングにいつも集まれるような家も素敵ですし、2階に共有ホールを設けて兄妹や友人、親子が一緒に遊べるような空間も良いと思います。また、当たり前ですが、お子さんは成長していきます。将来の変化も想定しながら、どんなプランを選ぶか、お客様と相談させていただきます。


石井靖久代表

回答4小さいお子さまがいるならLDK隣接の子育てスペース設置をおすすめします。

帯広市 株式会社石井建設 石井靖久代表

私の家も子どもが生まれたばかり。住まいの子育て環境は大きなテーマです。お子さまが小さい時期に家を建てるなら、リビングやキッチンから見える場所に、小さな部屋を作られるのをオススメしています。リビング併設の3・7帖程度、畳の小上がりスペースを作ったおうちでは、兄弟が仲良く遊んでいるのを料理中のお母さんが見守れるので喜ばれました。

子どもを大切に見守る、省エネ&平屋の注文住宅 /音更町・N邸 株式会社石井建設

一番大事なことは、家族の成長を想像しながら、お客様と一緒に間取りを考えることです。リビング階段が正解、かどうかはお客様の望まれる生活スタイル次第です。さらにいえば、子どもの成績が上がる家、子どもが引きこもらない家などというものは無いと思います。お客様と子ども部屋や階段の位置などもじっくり話し合い、納得していただいた上で建てるのが注文住宅の良さだと思っています。


設計室長 設計プランナー

回答5子ども部屋が暖房方式、住宅総額にも影響します

札幌圏 株式会社リビングワーク 設計室長 設計プランナー

私自身も2児の父で、子育て環境を意識して家づくりをしました。リビングのカウンターで勉強する子は、少々の生活音を気にせずに勉強に集中できるようになる、リビングを吹き抜けにして、2階のフリースペースで親は仕事、子どもは勉強ができるようにすると、子どもの引きこもりを防ぎやすくなるといった話はネット上でもよく見かけると思います。

子どもは成長すると家を出て行きますし、その後の家の使い方を考えると、子ども部屋は4畳半で十分というご意見は多いと思います。家は大きくするとコストも増えるので、そういう意味でも子ども部屋は小さい方が良いかと思います。

子育て環境を整えたい、というのが家を建てる動機になる方も多いので、参考までに、少し脱線した話になりますが、小学生くらいの頃は、部屋のドアや間仕切りが少ない開放的なプランでも良いので、家の暖房をエアコン一台にしても暖気が家じゅうを巡るようにしやすいですが、中高生のお子さんはプライバシーも求めるので部屋の扉を閉め切ることが増え、結果、各部屋にパネルヒーターなどの暖房機があったほうが良い場合もあります。つまり、子育て環境、子ども部屋の検討が、暖房方式にも関わってくるのです。

先ほど、子ども部屋を小さくすることで家全体の大きさ、コストを抑える話をしましたが、同じ事が主寝室にも言えます。現代の30代40代は、主寝室はシングルベット2台が入って、あとはウォークインクローゼットの収納力があれば部屋は狭くても良い、という感覚の方が多いように思います。そうすると家の建設費は削減できます。

ただし、祖父母も同居する二世帯(三世帯)住宅の場合では、シニア世代は小さな部屋を好まない方が多いこともあって、家が大きくなりがちです。家族の構成、世代で家の大きさ、予算が変わりやすい点も意識されると良いかと思います。


藤井光雄社長

回答6子どものために吹き抜け+自然素材がおすすめ

旭川圏 株式会社藤井光雄工務店 藤井光雄社長

子育てと住環境は大きな関係があると思います。

まず薪ストーブと吹き抜けをおすすめします。リビングに薪ストーブやペレットストーブを設置して主暖房にする建て方をおすすめしています。ストーブの炎を眺めながら家族が団らんしやすくなるメリットが第1。薪ストーブの熱で、2階の子ども部屋も含め家じゅうを暖める意味で吹き抜けが必要です。そして2階にはフリースペース(子ども用のリビング)などを設けたり、子ども部屋と吹き抜けをつなぐ窓を設けることで1階と2階との空間的なつながりが強くなり、親子のコミュニケーションが深まります。

吹き抜けを設けると2階の床面積が減ってしまうのでもったいない、という思いもあるかもしれませんが、1~2階のつながり、親子のつながりを大切にするという意味で吹き抜けをおすすめしています。お子さんが受験生の時は、テレビの音が勉強の妨げになるかもしれませんので、イヤホンで聞くといった配慮をしたほうが良いでしょう。私自身の体験談です。

お子さんが小さいご家庭の住まいなら、基本的には階段をリビングに設置するように計画します。子ども部屋には造作のカウンターを大工が施工し設置できます。学習机より幅広のカウンターにできるので勉強しやすいと思いますし、学習机を購入しなくてよくなります。

子ども部屋にはロフトも設置できます。藤井光雄工務店は屋根断熱で建てるので、ロフトは床を施工するだけで安く設置できます。お子さんはロフトが大好きです。ベッド、収納にも使えますし、秘密基地のようにして遊ぶこともできます。もちろん大人も収納、書斎、趣味の部屋としてロフトを使うこともできます。ロフトを防音にして音楽部屋にしたこともあります。

子ども部屋の内装は、動物柄のビニールクロスなど、かわいらしい建材も販売されていますが、当社は大人の部屋と同じように無垢の床材、自然素材の塗り壁などをおすすめしています。本物の素材の良さを理解できるように環境を整えてあげたいというお客様も多いのです。

お子さんはお絵かきも好きだと思います。もし壁に落書きしたり、穴をあけても塗り壁材でお父さんお母さんが簡単に補修できるように、新築でお引渡しの際に、塗り壁の材料と施工方法をお施主さまにお渡ししています。お施主様の要望で、子ども部屋の壁に自由にお絵かきできるように、壁の一面をペンキ仕上げにして、塗りなおせば消せるようにしたこともあります。

大きな大黒柱は、お子さんの成長(身長)記録を付けていけば、家族の思い出にもなります。ご両親にとっても子育ての期間は20年くらい。貴重な子育て期間をどう過ごすか、家の形が及ぼす影響は大きいと思います。

いえズーム編集部から一言


幼稚園や小学校低学年の頃は、リビングのテーブルでパパやママに勉強を教えてもらいながら勉強をしたりしますが、食事の時間には机の上を片付けなければならないので、ついついお子さんに「早くテーブルを片付けなさい!」と怒ってしまう・・・ダイニングに、お子さんが勉強できる小さなカウンターを設けると、親が子どもの勉強を見守れるのと同時に、お子さんをしかる回数も減り、ママのストレスも減るわけです。

また、大工さんの造作で、子ども部屋に木製の、オーダー学習机を設置してもらうのも大変人気です。

多くの子どもは20年から30年ほどで実家を出て行きます。2階の子ども部屋が余るというのは多くの戸建て住宅で現在発生している状況です。家族の人数に比べて大きすぎる家は光熱費や住宅のリフォームなどの面でも余分なコストになります。子ども部屋を小さくしたり、あるいは子どもが実家を離れれば子ども部屋をリビングと一体化させやすい可変間仕切りにするといった、子育て期間終了後の家の活用法も踏まえた住まいづくりがポイントではないかと思います。

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