Column いえズーム コラム

北海道の高断熱・高気密住宅の先駆者「北海道SHS会」の外張り断熱工法とは

北海道SHS会はデュポン・スタイロ(株)が開発した木造住宅の外断熱(※外張り断熱)工法「SHS工法」の普及に向け、全国に先駆けて結成されたビルダーのグループ。1988年の発足から常に、時代の先端を行く高性能住宅の実践と研究に取り組んできました。

※外張り断熱工法・・・木造住宅の場合、柱の外側に断熱材を張る場合は、「外張り断熱」工法とするのが正しいが、この記事では一般的になじみのある「外断熱工法」と記載しています。


目次


北海道SHS会の勉強会の様子


現在、会員は全道で47社。会の活動を通してSHS工法のノウハウと情報を共有しながら技術を高め合い、それぞれの地域性を反映した魅力ある住まいづくりを行っています。

高断熱・高気密住宅の草分け「SHS工法」



SHS工法(Stylo House System=スタイロ・ハウス・システム)は、全室暖房と24時間換気、高断熱・高気密を前提とした国内初の木造外断熱工法です。
壁体内結露や断熱不足、隙間風といった従来の充填断熱工法の欠点を解消するため、1978年、100mmのスタイロフォームを用いた原型が考案され、後に改良されて1984年にSHS工法として完成しました。



水を吸わない断熱材「スタイロフォーム」を構造体の外側に張り付けることで建物の断熱性を高めるとともに、内部結露の原因となる湿気の侵入を防止する合理的な構造。基礎や柱など主要構造材が断熱材で保護され、建物が長持ちするのも大きな特長です。
 
床や間仕切り壁等によって気密層が途切れることがなく、施工ミスが起きにくいので気密性能が確実に向上し、温度ムラや気流感のない快適な環境づくりが可能に。現行の「平成28年省エネ基準」で充填断熱工法との性能の違いが明確に数値化されています。

1980年代に現在の省エネ基準をクリア



1987年に初期のSHS工法で建てられた札幌市内の住宅です。6LDKで床面積が150m2を超える広い家ですが、暖房と給湯に使用する灯油の量は年間約1600L。道が調査した一般家庭での平均使用量約2000Lより2割も少ないことから、今の省エネ基準レベルの性能を達成していると推定されます。

「新築から30年以上経った今も、家じゅう暖かで快適」とオーナーのNさん。セントラル換気システムの導入により空気もクリーンな状態に保たれています。

これまで大きな修繕をしていないそうですが、結露による樹脂サッシやクロスの傷みがほとんどなく、昭和の時代に建てられた住まいとは思えないほど。

傾斜天井の開放的なリビングも古さを感じさせません。勾配屋根とのを組み合わせにより小屋裏を室内空間として生かせるのもSHS外張り断熱工法のメリットです。



約30年後の2016年に建てられたSHS工法の住宅。絶え間ない改良と研究によって工法としての完成度が高まり、より洗練された高性能住宅が建てられるようになりました。全道でこれまでに多くの個性的なSHS住宅が誕生しています。

ノウハウの習得にはSHS会への参加が不可欠



SHS工法は北海道SHS会をはじめ全国各地のSHS会に加盟する工務店でなければ、施工が認められていません。

断熱・気密・暖房・換気の4要素のバランスがとれた住宅を造るには、施工マニュアルだけでなく、北海道SHS会がこれまでに蓄積してきた膨大なノウハウと、経験豊富な先輩会員やメーカーのきめ細やかなサポートが必要だからです。

北海道SHS会では会員に対し、最新の技術資料や断熱材のデータ、住宅金融、法律、新建材等の情報を随時提供するとともに、技術講習や説明会など会員同士の情報交換と勉強の場を設けています。



上の写真は、2019年6月に札幌市で行われた技術研修会の様子。この日は拓友建設(札幌市)と丸三ホクシン建設(石狩市)の施工現場を見学。続いて現場見学のまとめとディスカッション、国の住宅政策等についての講演会が行われました。タイトな時間割ですが、皆さん楽しそう。



先輩の現場を見せてもらう、またとないチャンス。普段なかなか会うことの出来ない全道のメンバーとの意見交換ができる貴重な機会でもあり、どの顔も気合いがみなぎっています。真面目な性格の方が多いのも北海道SHS会の魅力。


北海道SHS会の首藤会長


現場見学後のまとめでは、2019年から会長に就任した丸三ホクシン建設の首藤一弘社長と、前会長で現在は顧問として活躍する拓友建設の妻沼澄夫社長が講師を務めました。

北海道SHS会の各支部には、首藤会長や妻沼顧問のように最先端の高断熱・高気密住宅を数多く手がけてきた“SHSの達人”がいます。入会したばかりの会員は達人たちの技術を吸収しながらSHSの正しい施工方法を学び、腕を磨いていくのです。
 

建物の高性能化でエネルギーリスクに備える



東日本大震災後、電気料金が大きく値上がりしました。オール電化住宅の場合、冬場の電気代が月5~7万円かかる家庭もあります。石油、天然ガス、LPガスも大きく上下。エネルギー源を輸入に依存する限り、エネルギーリスクがついてまわります。



光熱費が値上がりしてから「しまった!」と後悔しないためにも、住宅の性能を高め、家庭内で消費するエネルギーを減らすことが大切。光熱費の単価が2倍になると、年間20万円かかる家だと20万円もアップしますが、年間10万円で済む高性能な家なら10万円の負担増で済むのです。

2014年に発売された「スタイロフォームFG」は、断熱性能が大幅に向上。同じ外壁が100mmの断熱でも、トリプルガラス入りサッシや熱交換換気を併用すると、トータルの断熱性能が約2倍になります。



地球温暖化防止のため、国は家庭内で使ったエネルギーを太陽光発電等による創エネで賄うZEH(ゼッチ=ネット・ゼロ・エネルギーハウス)を新築住宅の標準仕様にすることを目標としています。

暖房エネルギーを大量に消費する北海道では、太陽光パネルが10kW分も必要と言われていましたが、スタイロフォームFGを使った高断熱仕様のSHS住宅でZEHを建てると、太陽光パネルを5~6kWに抑え、コストアップを最小限にすることができます。


住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」より住宅購入価格の推移


ここ数年、道内では注文住宅の建設費が上昇の一途を辿っています。住宅地の地価も、この1~2年はバブル期を彷彿とさせる高騰ぶり。土地価格の値上がりは札幌だけでなく、帯広などでも起きています。
 
住宅価格が値上がりしている原因は木材等の国際取引価格や石油価格の影響、長距離トラックの輸送費・人件費の増大など。今後、大工さんの雇用形態と賃金の見直しが住宅の価格に反映されるようになると、さらなる値上がりが予想されます。
 
2019年10月の消費税率アップが追い打ちをかけ、家計の負担は増すばかり。前述のNさんのように、光熱費がなるべくかからない高耐久で高性能な家を建てることがこれからますます重要になってきます。
初期費用がどんなに安くても、住宅の性能が低く、毎月の光熱費やメンテナンス費用がかさんでは意味がありません。



一生に一度の家づくりを価値あるものにするために、北海道SHS会ではホームページ等を通じ、一般のお客さまへの情報発信を行っています。
全道各地域の会員が建てたSHS住宅の完成見学会や住まいづくり相談会のご案内も。マイホームをお考えの方は一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。



結成以来、時代を先取りする高断熱・高気密住宅にチャレンジしてきた北海道SHS会。昭和の住まいの凍りつくような寒さを知る世代の1人として、あの時代に最近の新築住宅レベルの高性能な住まいが存在していたことに驚きました。
先行き不透明な今のご時世。苦労して手に入れたマイホームがいつまでも安心して暮らせる暖かい場所であってくれるような家づくりがしたいですね。

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2019年12月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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