Column いえズーム コラム

雪に強いカーポートを選ぼう! ポイントや人気商品を紹介!


今年2月は札幌で記録的な大雪が降りました。古いカーポートが雪の重みで倒壊するなど大きな被害が出ました。一方で、共働き世帯が増えたことで雪かきがたいへんな手間になっています。最新型のカーポートは雪に強く、燃料費をかけずに雪かきの手間を大幅に減らせるため、人気が上昇中です。

今回はカーポートの選び方から商品紹介など、役立つ情報をお届けします。


目次

カーポートの役割


これでは車がかわいそう・・・


車を屋外にそのまま置いておくと、雨や雪にさらされる上、強烈な日差しは塗装を傷めたりするため、耐久性にも影響してきます。カーポートがあれば、雨や雪、太陽光から車体を保護し、きれいな状態を長く保つことができます。


カーポートのメリット(中川製作所のカタログから)


最近は、ロードヒーティングや車庫の代わりにカーポートを採用することで雪かきの手間を省き、燃料費もかからないとして人気が出ています。今年4月に大手リフォーム会社が開いた展示会では、カーポートの注文が記録的な数だったと言います。

カーポート選びのポイント

1.雪に強いか

建物の設計は、自治体ごとに建築基準法施行令第86条第3項に基づく垂直積雪量を考慮し、雪が屋根に乗った状態でも地震力に耐えることが求められています。カーポートも建築物とみなされるため同様の設計が求められます。札幌市内では垂直積雪量140cm(南区の一部は190cm)に耐えうることが必要です。後志のニセコ町などでは230cm、逆に胆振の苫小牧市では70cmなど、道内でもバラツキがあります。現在はどのメーカーも150cm対応の製品をラインナップしており、200cm対応の製品も各メーカーが揃えています。


道庁ホームページには、道内各地の垂直積雪量が掲載されています


参考 道庁ホームページ 垂直積雪量

この垂直積雪量の定義には注意が必要です。雪の比重が0.3と軽めで見積もられているからです。0.3はサラサラとした新雪状態。真冬の1月下旬から2月にかけては、根雪の上に雪が積もることで雪が圧縮されるため、比重が大きくなります。「ザラメ雪」と呼ばれる場合は0.7を超えることもあり、その場合垂直積雪量で150cm耐えられるカーポートでも70cm程度で設計上の限界を迎えてしまいます。時に雪下ろしが必要となるのは、そのためです。


最近のカーポートは大雪に強いが注意も必要


大雪の後、気温が上昇して古い家の屋根からの落雪で倒壊した昔の木製カーポート


2.使い勝手

柱の数は、使い勝手を左右します。柱が8本以上(片側に4本以上)あると車のドアを開ける時、柱にぶつからないよう間口寸法を広めにとる必要があります。そのため、1台用の間口は3.0m以上の製品が多くなります。

柱4本の場合は、ドアがぶつかる心配がなくなるため、2.7mの製品もあります。1台用であれば柱4本を実現できるカーポートは多くあります。2台用は柱6本が多いが、なかには4本の製品もあります。


柱本数が多いとドアが柱に当たりそうになるので気を使います


一方で2台用カーポートを設置する場合は、車2台分の駐車スペースに玄関までのアプローチ分として60~70cmほど間口を広げれば、車を2台駐車しても独立した通路スペースをカーポート内に確保できます。


玄関前のアプローチスペース(写真右側)を確保するととても使いやすくなります


3.プランの自由度

メーカーでは、一般的な1台用、2台用以外に、3台用や4台用など、豊富なバリエーションを用意してさまざまなニーズに対応しています。

住宅の敷地は整った長方形とは限りません。斜めに接道(道路に接すること)していたり、さらに複雑な形状の場合もあります。カーポートを建物と道路との間に置くことを考えると、こうした敷地条件や建物形状に合うカーポートをプランできれば利便性が高くなります。


4台用カーポート


道内メーカーのカーポートは、自社工場で部材を製造しているためオーダーに近い対応が可能です。大量生産が前提の大手建材メーカー製カーポートも、柱の位置をずらしたり、屋根形状の変更が可能です。


外構と一体化し、建物全体を引き立たせるカーポート


このほか、屋根に太陽光発電パネルを載せたプランに対応したり、梁の一部を延長して外構と一体化できるカーポートもあります。


太陽光発電パネル付きのカーポートも


カーポートは建築面積に含まれますが、建築基準法で「国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物」は対象外と定められています。たとえば、外壁を有しない部分が連続して4m以上で、柱の間隔が2m以上、天井高が2.1m以上であれば建築面積不算入の措置を受けられます。4本柱タイプのカーポートなどが該当します。

なお、カーポートをエクステリア店や造園業者にお願いするという場合は、住宅をプランする時に窓の位置や開き方、あるいは玄関からの動線などに十分配慮する必要があります。たとえば、給湯ボイラー等から出る排気が金属製カーポートの柱や梁に当たると腐食しやすくなります。さらに、外開きの窓がカーポートの柱が置かれる近くに配置されると、避けるために柱の位置をずらすなどの対応が必要となり、費用が高くなってしまいます。

4.デザイン

道内向け製品は耐積雪荷重が大きくコスト的に有利な折板屋根を採用するケースが多いのですが、屋根に厚みが出てしまうため、スマートなデザインになりくいというデメリットもあります。

その中でデザイン性を高めるために、破風のデザインや、カーポートに駐めた車から降りたときに見上げた屋根裏に化粧パネルをつけるなどの工夫をしているメーカーがあります。このほか、横風の強い地域では雪の吹き込みを防ぐために側板をつけますが、その材質やデザインもいろいろあります。金属製カーポートでは、丸柱を採用したりするなど、無骨な感じを和らげる工夫をする製品もあります。


破風を木目調にする工夫も


色のバリエーションもチェックしましょう。シルバー、黒だけでなく、ホワイト、ブラウンやグレー、木目調などもあります。鉄製カーポートでは、メンテしやすいというメッキ仕上げもあります。

柱が片側に2本、あるいは3本しかない片持ち式カーポートは、狭い敷地でもすっきりして見えるため人気です。道内でも基礎構造を工夫することで垂直積雪量150cmに耐えられる片持ち式カーポートが販売されています。


木目調の化粧パネルを屋根下につけると、デザイン性がグンと上がります


5.メンテのしやすさ

カーポートは風雪にさらされるため、塗装部のメンテナンスが重要です。金属製の場合、美観を維持するためにも10年に1度は再塗装をした方が良いようです。またアルミ製の場合は、年に1度水で表面の汚れをさっと洗い流すことで腐食しにくくなるとメーカーでは言っています。木製カーポートの場合は、木部の防腐効果を維持するためにも3年に1度の塗り替えを勧めています。再塗装の頻度は金属製に比べて高くなりますが、ホームセンターで売っている塗料でDIYできます。

大雪時には雪下ろしが必要となります。冬の後半ともなると、破風を巻き込むような雪庇ができて破風部分を破損することも。今年2月には、札幌圏で記録的な大雪が何度もありました。このため、古いカーポートが倒壊したり、比較的新しいカーポートでも破風が破損するなどの被害がありました。

あるメーカーの担当者は、「60~70cm以上雪が積もった時は、破風に近い屋根部分の雪下ろしをした方が良い」と言います。もっとも雪下ろしのために屋根の上に登るのは危険です。

そこで、カーポートの屋根まで届くアルミ製パイプの除雪器具を発売しているメーカーもあります。巨大なスノーブラシのような形をしており、ヘッド部分で雪をかきおとします。


カーポートの屋根用除雪器具。発売元・三協立山(株)


「雪下ろしする場所がない」というお客さまも少なくないはず。そこで、有料の雪下ろしサービスを検討しているメーカーもあるそうです。

いろいろなカーポート

1.アルミ製

大手建材メーカーはそろってアルミ製のカーポートを発売しています。アルミは錆びにくい特徴があります。垂直積雪量300cmに対応する製品も発売され、注目が集まっています。

LIXIL 柱4本タイプを新発売

https://www.lixil.co.jp/lineup/carspace/carport-st/


2台用間口延長タイプで玄関からのアプローチも兼ねる


LIXILでは、「カーポートST」を発売しています。さらに、屋根を全面ポリカーボネートにして屋根部分を薄くスタイリッシュに仕上げた「ソルディポート」も発売しています。カーポートSTは、垂直積雪量200cmに対応した商品も用意。同150cm対応品では、1台用、2台用で柱4本タイプを新たに発売。柱の間隔が3m以上と広くなり、車からの乗り降りがしやすくなっています。「2台用間口延長タイプ」では、通常の2台用間口に1.8m分の間口を広げることで、玄関から道路までのアプローチ代わりに活用できます。


ポリカーボネート屋根で明るい「ソルディポート」


デザイン面では、カーポートSTの破風部分にオプションで装飾板をつけられます。同社内装製品の基本カラーである「クリエカラー」を選ぶことができ、住宅本体とのコーディネートを楽しめます。

オプションとして、折板屋根の一部をポリカにして明かり取りを作ることができます。また、万が一車庫入れで車を柱にぶつけた時、車の損傷を最小限に抑える軟質樹脂製の「柱ガード」、車がない時に物干し場として活用できる「竿掛けセット」、ポリカや波板の側板(サイドスクリーン)などがあります。

YKK AP デザイン性と機能性を両立

https://www.ykkap.co.jp/business/products/exterior/gport_pro

YKK AP(株)は、「ジーポート Pro」をこのほど発売しました。デザイン性、耐積雪性能、耐風性能をグレードアップし、美しさと強さを兼ね備えたカーポートとして今後広くPRしていきます。


柱に特殊な処理を行い、柱や梁を太くするなどにより実現した


「ジーポート Pro」では、垂直積雪量300cmタイプと同250cmタイプが初めてラインナップされ、道内でもニセコ町など特に雪の多い地域でも安心して設置できるようになりました。150cmタイプでは、2台用間口6.1mの広めのタイプまで柱4本タイプとなり、乗り降りが特にやりやすくなります。LIXILと同様に2台用間口延長タイプも選択可能。さらに、大型キャンピングカーにも対応する高さ3.5mタイプも選べます。


輸入住宅にも合うホワイト色(2台用間口延長タイプ)


デザイン面では本体色にホワイトを全サイズで選択可能。破風(鼻隠し)に木目調を設定したほか、11の組み合わせパターンから選べます。このほか、住宅の破風を思わせるエッジの効いた外観が特徴の高意匠鼻隠しや折板屋根の裏側を隠す木目調の軒天パネルも用意。軒天パネルは、フラットな板状でデザイン性を大幅に向上させます。また、梁埋込式のLEDダウンライトがあり、梁を延長して門柱機能を組み込むことも可能です。

三協立山 高級カーポートに力入れる

https://alumi.st-grp.co.jp/products/garage/carport/atlade/index.html


個性的で高級感のある「アトラード」


三協立山は、垂直積雪量150cmに対応したカーポートとして、「G1-R」「スカイリードZ」「アトラード」の3製品をラインナップ。「G1-R」は、同200cm対応品も用意しています。「アトラード」は、柱・梁で構成したフレームの下に屋根を吊り下げる独特の形状で高級感あるデザインが特徴。屋根内側もフラットでリアルな木目調デザイン。また、梁に埋め込むLEDライトのほか、屋根内側の奥行方向いっぱいにLEDライトを並べる「スリット照明」もオプションで選択可能です。

「G1-R」の特注システムは柔軟なプランが可能で、2台分の間口を途中から1台分に変えるようなプランにも対応できます。

2.鉄製

鉄製は、(株)中川製作所、 (株)ショーワなど地場の会社が製造・販売しています。地場企業ならではの小回りの良さを生かし、オーダー対応を得意としています。

中川製作所 ワイドタイプが人気、新製品開発も

https://www.nakagawa-seisakusyo.com/


中川製作所のカーポート(写真はNS2000)


中川製作所は、カーポートとエクステリアの専門会社として2005年に帯広市に設立された新しい会社。帯広に本社と工場があるほか、現在は札幌に営業拠点と工場、旭川、北見に営業拠点を持っています。

NS2000シリーズと片持ち式NS1500シリーズの2タイプ取りそろえています。NS2000は3台用でも使い勝手の良い4本柱を実現。垂直積雪量も200cmに対応しています。オーダー対応で、8台用といった大型タイプや、キャンピングカーに対応する高柱タイプも製作できます。デザイン面では、破風部分にアルミの化粧板を採用。丸柱の採用と合わせて見た目を柔らかな感じにしています。


十勝では、カーポートの屋根に太陽光パネルを載せられます


十勝では、太陽光パネルもオプションで搭載可能。札幌圏では、間口を60cm広げたワイドタイプが人気です。1台用の間口が3.7m、2台用で6.1m、3台用で7.9mとゆとりがあり、高齢者や主婦など運転に苦手意識のあるお客さまも「車庫入れしやすい」と好評です。

このほか、新製品開発も本社で進めており、今後発表を予定しているそうですよ。

ショーワ 独創的な片持ち式カーポートが人気

http://showa33.com/products/products_cat/carport/


家CAR天下


ショーワは、片持ち式カーポート「KA CAR DENKA(家CAR天下)」のほか、ポリカーボネート屋根の「ソラフル」、公共施設などにも対応した「キャノピー」など多彩な製品を展開。

家CAR天下は、基本は1台用。2台用は縦列タイプか柱を真ん中にして2台が駐車するウイングタイプを選べます。1台用は垂直積雪量200cm対応タイプも用意。このほか、キャンピングカーに対応した高さ3.5mタイプもあります。

3.木製

木製は、なんといっても住宅とデザインを合わせやすいのがメリットです。塗装もオーダー対応でいろんな色が可能。プランもオーダー次第でさまざまな対応ができます。

共和企興 エクステリアと一体提案

https://kyowakikou.jp/kuogs/index.html


KWカーポート


共和企興(株)は、ガーデンエクステリア資材「KUOGS(クーグス)」ブランドを展開しています。エクステリア製品の1つとして木製の「KWカーポート」を提案しています。

KWカーポートは道産カラマツ材を使い、1台用は4本柱タイプで製作します。垂直積雪量は150cmまで対応できます。エクステリアの一部として提案しており、物置一体型の製品などもカタログに掲載しています。特注対応も可能です。

コバエンジニア 幅広いオーダー対応が中心

https://goport.koba-archi.com/


施工例。フルオーダーに近い対応が可能


(株)コバエンジニアは、江別市にあるカーポート、エクステリア会社。主力の「ゴーポート」は、道産カラマツ集成材を使い、柱と梁を特殊な接合金物と固定法で接合した木製カーポート。独自のすっきりとしたデザインで、設計事務所やデザインにこだわる工務店からの受注が多いです。屋根をウッドデッキにしたり、側壁をサイディングで覆うなど、幅広いオーダー対応が可能です。

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2022年07月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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