はじめに「換気」の重要性と問題点
家を手に入れるとき「換気」の重要性に気付く人は少ない
「家が欲しい」と思った方が「住宅の換気」を重点的に検討する確率は非常に少ないと思います。大半の方がデザイン、間取り、土地、予算、断熱性能、インテリア、キッチン、収納、光熱費、自然素材などには関心を持ちますが「換気」はどの住宅会社の建てる家でも大差はないだろうと思っていると思います。また住宅会社側も、お客様に対し、自社の換気システムの特徴を丁寧に伝えることはほとんどないかもしれません。
でも「換気」は大事
室内の空気は呼吸や調理、ペットなどによるにおいや水蒸気、二酸化炭素などによって少しずつ汚れます。また家具やカーペットなどからのVOC(揮発性有機化合物)なども蓄積されていきます。積雪寒冷地北海道では特に、冬場は窓を閉め切っている家が大半だと思います。換気が十分に機能していないと、結露やカビ、においが室内に蓄積され、健康、そして住宅そのものにも悪影響を及ぼします。においなどは住んでいるご家族は慣れてしまうこともありますが、来客は気づくケースも多いようです。
24時間換気が義務付けられている
建築基準法は、ホルムアルデヒドなど、有害化学物質による健康被害を防ぐため、1時間の間に、室内の空気の約半分を入れ替えることができる換気システムの設置を義務付けています。そのため、現代の新築住宅は、ほとんどが24時間、機械の力で換気し続ける機械換気を採用しています。
ところがフィルターの目詰まりが・・・
機械換気は、給気口から機械のパワーで、強制的に屋外の空気を吸い込みます。強い吸引力なので、屋外の空気とともに、花粉や虫、埃なども吸引します。そのため給気口に「フィルター」が必須です。そのフィルターは3か月も経過すると、びっしり汚れが付着し、目詰まりすると換気の流入量を減らしてしまいます。
「機械換気」はフィルター掃除が大前提なのに?
こうしたフィルターが住宅には、室内に6~10か所もあるのです。ですがそれらのフィルターを3か月に1回、掃除している人は、現実的にはかなり少数派です。「フィルターの掃除」のことを忘れている人も少なくありません。フィルターが目詰まりしたままだと、換気が激減します。室内のにおいや水蒸気、揮発性有機化合物(VOC)が室内にとどまり続け、どんどん蓄積します。フィルターの掃除を3か月に1回、欠かさず行う習慣がない方は快適で安全な室内空気環境の確保が難しいということになってしまいます。
パッシブ換気システムの仕組み
今回は、こうした課題を踏まえて北海道大学、北方建築総合研究所が共同開発し、財団法人北海道建築指導センター、北海道建設部建築指導課が推奨する、実用新案を取得した換気システムで、既に多くの住宅で採用され、その有用性が十分に確認されている換気システム「パッシブ換気システム」を導入した家づくりの実例をご紹介します。
フレッシュな空気が自然エネルギーで温度調節されて室内に
まずパッシブ換気システムを採用した住宅の概要をご説明します。
まず屋外のフレッシュな空気を地中埋設管(アースチューブ)から取り入れます。温度差によってゆるやかに空気が移動すること、吸気口が下向きになっていることもあり、埃やpm2.5など、空気より重いものは給気口からはほとんど入りません。なのでフィルターの設置は必要なく、3か月に1回、家中の10か所以上のフィルター掃除という、難題から解放されるのです。
外気温は夏場は30℃近く、冬はマイナス10℃にもなります。そのまま室内に取り入れると冬は冷たい、夏は暑い空気を取り入れることになります。しかし地下1メートル程度の土中の温度は季節を問わず約5~8℃の間なので、室内に取り入れる空気の温度を地熱という自然エネルギーを活かして調整できるのです。もちろん冷暖房費の節約にもなります。
新鮮な空気が自然の力で家じゅうを循環
取り入れた新鮮な空気は、冬場は床下の暖房機で温めます。そして室内の床にあるガラリから、暖かく新鮮な空気として室内に運ばれます。室内には暖房機の設置も不要です。
ガラリだけでなく間仕切り壁の中などさまざまな場所を経由して家全体を自然滞留でくまなく循環します。最後には排気筒を通って屋外に排出されます。
道内各地でパッシブ換気の導入が進む
NPO法人パッシブシステム研究会の会員が建てたパッシブ換気システムの住宅は、道内でもすでに数多く建設されています。同会によると、これまでおよそ3,000棟の住宅でパッシブ換気が採用されています。(引用:パッシブシステム研究会サイト https://pv-system.jp/explanation/)
パッシブ換気導入には高断熱高気密の施工力が大前提
パッシブ換気システムにも難点はあります。住宅の断熱性能や気密性能がかなり高い住宅でなければ、計画通りの換気が機能しないという意味で「住宅会社の施工品質・レベル」が前提条件になっているのです。
具体的には
隙間相当面積(C値) 1.0cm2/m2以下
外皮平均熱貫流率(Ua値) 0.36W/m2以下
熱損失係数(Q値) 1.6W/m2・K以下
が最低条件です。優れた換気システムであるにも関わらず、採用できる住宅会社が札幌圏でも数社しかないのはこうした事情もあります。
自然のエネルギーだけで空気を循環させるこの換気システムは、機械動力を使わないから電力消費がゼロ(湿度や温度のセンサーで換気流量や湿度の制御は行います)。換気の作動音もしません。室内の空気が安定してフレッシュな状態を維持でき、家全体がもれなく暖かい。室内の壁際などに暖房機を設置する必要がない(暖房機は床下にある)というのもメリットです。一年中快適に暮らせて、家計にも環境にも優しいのが特徴です。
パッシブ換気システムの施工例をご紹介
では、パッシブ換気システムを採用した住まいの実例をご紹介します。
住んで実感・聞いて納得!パッシブ換気住宅の快適性/札幌市白石区Y邸 奥野工務店
ご主人 高気密・高断熱な家づくりにこだわっていましたが、高性能住宅が一般的になっており、プラスαの強みを持つ住宅会社を探していました。
奥野工務店さんのモデルハウスを見学する機会があり、高性能で暮らしやすいプランに加え、パッシブ換気システムの魅力を知り、お願いすることにしました。
ご主人 住んで2年が経ちますが、室内環境が抜群に良いと感じています。入居して1日目は1階が暖かく、2階が冷えている感じがしましたが、翌日からは2階も暖かくなりました。自然な熱の流れと同時に、最後はそれが屋根の煙突から外に抜けて行っていることを実感する出来事でした。また、湿度センサー付きの排気口が排気量を自動コントロールしてくれるので、調整する手間がなく、とても楽ちんです。
奥さま 前に住んでいた賃貸アパートは結露に悩まされていましたが、そうした心配もなくなりました。こんなに暖かいのに、暖房費は一番かかった月でも3万円程度(キッチン・給湯・暖房ともにエコジョーズを採用)。アパート時代より掛かっていないくらい。家計も助かっています。
パッシブ×ZEH基準×自然素材 高品質を手の届く価格で/石狩市・樽川モデルハウス 橋本建設
橋本建設(石狩市)の家づくりは「健康的に暮らせる、環境に優しい、手の届きやすい価格の家」がコンセプト。
構造材や内装材に無垢材や塗り壁などの自然素材をふんだんに使い、換気にはエコで省エネなパッシブ換気を採用。気密・断熱にもこだわりZEH基準が標準仕様です。一年を通じて快適な住まいを提供しています。
新鮮で暖かな空気が循環するパッシブ換気は、自然の力だけを利用するため電気代を抑えることができます。また、換気のために部屋の温度が下がることが無いので、寒さが厳しい北海道の住宅にはぴったりの換気システムです。
樽川モデルハウスでは、外気温に応じてパッシブ換気と第2種換気の切り替えができる、「ハイブリッド換気」を採用。床下に配置した専用モーターが給気口から取り込んだ外の空気を定温室に送り込み、定温室では室内に送る空気の温度や量が調整される仕組みです。
サウナに泡風呂…極上の時間を過ごす高断熱パッシブ換気の家 帯広市K邸/イゼンホーム
東京から実家のある帯広市にUターンしたKさん。「戻ってくるにあたり不安だったのがやはり冬の厳しさ」と語るKさんが選んだ住宅会社は帯広市のイゼンホーム。同社の得意とするパッシブ換気システムを採用した、高断熱高気密な平屋の家を希望しました。
Kさん パッシブ換気は気密性能が高くないと成り立たないシステムなので、それを取り入れている住宅は断熱など住宅性能が高いはずだと思ったんです。換気に機械を使わないのでメンテナンスが楽だというのも魅力でした。イゼンさんは施工事例も素敵な家が多くて、代表の中村さんの人柄も素晴らしい。ぜひお願いしたいと思いました。
寒暖差が少なく本当に過ごしやすいです。夏もエアコンなしで室温は24度くらい、晩秋の今も帰宅するとふわっと暖かい。ここで過ごす初めての冬が楽しみです。
「室温19℃で湿度40%以上」で省エネと快適を両立 小樽市S邸/江田建設
取材班が、小樽市のS邸を訪ねたのは2月の厳冬期。「共働きなので不在時は暖房を切り、在宅時も、省エネに配慮して室温19℃前後で過ごしています。室温が19℃というのは寒いと思われるかもしれませんが、慣れたので寒いとは思わないです」とSさん。電気・ガス・灯油などの光熱費が高騰を続ける中で、S邸の1カ月のガス料金は、暖房・給湯で1万9,000円という安さでした。
北海道では、1月の冷え切った外気に含まれる水蒸気の量は、夏場のおよそ2割程度しかありません。カラカラに乾いた空気を換気のために室内に取り込み、さらに暖房すると、室内の湿度は20%以下になってしまうことも…。ところがS邸の温湿度計を見ると湿度は42%を指しています。実はこれはパッシブ換気のデマンドコントロールという仕組みが作用しています。
「デマンドコントロール」は人が少なく、空気があまり汚れないタイミングで換気量を自動的に減らすという機能。この結果S邸では室内の換気は確保しつつ、室内の過乾燥も防ぐことに成功しているのです。
パッシブ換気・床下暖房システムを採用した家づくりが決め手に 札幌市T邸/奥野工務店
外観はグランブルーの金属サイディングに加え、木目調ミディアムブラウンの窯業系サイディングを1階ポーチ部分にアクセントとして採用。落ち着いた雰囲気の中に個性が映える住まいです。
Tさん 前の賃貸の一軒家は結露やカビが酷かったのですが、パッシブ換気の住まいなので全く無縁。空気もきれいですし、機械を使った換気ではないためメンテナンスも不要です。奥野さんで建ててとても満足しています。
子どもたちも大満足!夏は涼しく、冬は暖かなパッシブ換気の家 芽室町Oさん/イゼンホーム
「部屋に暖房器具を置く必要がなく、広々と暮らせる点が気に入って」とパッシブ換気を採用したOさんの新居は、ゆったりとした平屋建ての家です。
「年中快適で、光熱費も少ないので喜んでもらえると思います」とイゼンホームの担当・中村千代美さんも胸を張るパッシブ換気システム、そして幼児教育に携わる奥様の「子どもが楽しく、生き生きと過ごせる家を」という想いのこもった家づくりをご紹介します。
大空間を効率的に暖房するパッシブ換気 小樽市E邸/江田建設
E邸は各部屋がゆったりとした造りです。リビングダイニングはキッチンの含め約20帖の開放的な大空間。
暖かい空気を効率よく循環させ、同時に湿気対策にも一役買っているのが、パッシブ換気システムです。「天井やタンスの裏、植木鉢など、いたるところあったカビや結露から解放されました」と笑顔の奥さま。パッシブ換気システムによる室内の空気の動きは1秒間に15~20㎝ほどのゆっくりとしたスピードなので、風が肌に当たるといった感じもなく、室内は快適な湿度に保たれています。
住み心地や省エネ性能の評判の良さから、店舗と家づくりの両方を依頼 北広島市U邸/エコットハウス(松浦建設)
北広島市民に40年以上親しまれる「うえはら生花店」。冠婚葬祭やプレゼント、自宅用と、幅広い用途の花を販売しています。ご夫婦が店舗のリフォームと新築住宅の建設を実現しました。
店舗リフォームと新築マイホームを手がけたのは、札幌市清田区のエコットハウス(株式会社松浦建設)です。同社は高断熱高気密、パッシブ換気システム、外装の次世代レンガ、そしてリフォームの豊富な実績で知られています。ご主人は、松浦建設で住宅を建てた幼なじみから、住み心地の良さ、省エネ性能の高さなどを聞いていたことから、店舗づくりと家づくりの両方を任せたいと思うようになったそうです。
Uさん とにかく暖かさが抜群です。雪で濡れた靴も玄関に置いておけばすぐに乾きますし、冬でも風呂場まで暖か。こんなに暖かいのに暖房費が抑えられていることも助かっています。
パッシブ換気&高断熱高気密の良さを実感 北海道小樽市・N邸/江田建設
小樽市のNさん 以前住んでいた家は築30年位の家で、断熱性能が悪いのかとても寒く、結露にも悩まされていました。暖かく省エネで、室内の空気も綺麗な家に住みたいと思っていました。
最初はハウスメーカーのモデルハウスが建ち並ぶ総合住宅展示場なども見に行きました。そこで数社に、断熱や換気、結露のことなど疑問をいろいろ質問しました。特に換気に関しては機械換気である第一種換気と第三種換気の違いやメリット・デメリット、その住宅会社の換気に対する考えなどを聞きました。自分なりにいろいろ調べた結果、機械換気は掃除などのメンテナンスが必要で、十分な換気量維持に難点があるとか、古くなると騒音も発生しやすいといった課題にも気付きました。
そんな中で、インターネットを見て辿り着いたのがパッシブ換気で、パッシブシステム研究会の副理事長をしている住宅会社が小樽にあるということで、江田建設に興味を持ちました。江田建設を知ったのはパッシブ換気ができる会社だったからです。
住み始め当初は、家の中に暖房機の炎が見えないので、暖かいのにダイレクトな暖かさを実感しにくいような感覚がありましたが、それはしばらくすると慣れで解消しました。逆に室内に暖房機がないので、暖房機の掃除が必要ないし、壁際に設置物がなく、室内がすっきりするし、家具などを置きやすいのも良かったですね。
パッシブ換気に加え、水回りは別途第三種換気も導入しているので、愛犬がいるのに臭いなどの悩みもありませんし住み心地は快適です。
進化したパッシブ換気と新素材で魅せるデザイン/札幌・西野モデルハウス/奥野工務店
脱炭素社会を目指す動きやコロナ下でのおうち時間増加によって、住まいにも今まで以上に快適性・省エネ性・デザイン性が求められている中、奥野工務店では高い断熱・気密性能を活かしてパッシブ換気のメリットをより大きくし、新しい素材を使って今までにない印象的なデザインも提案したモデルハウスを札幌市西区西野に完成させました。
「当社の断熱・気密性能をベースに、パッシブ換気・床下暖房システムでどこまで省エネな住まいにすることができるかが大きなテーマの一つでした」。
こう語るのはモデルハウスを案内して頂いた営業担当の戸村公平さん。
パッシブ換気を奥野工務店の住宅に最適化するにあたり、今回は省エネ空調システムの研究開発等を行っている㈱から屋(札幌市)が換気設計を行いました。暖房に必要な熱量を求める熱負荷計算や、室内の空気を循環させる経路と床・壁の通り道の設定、放熱器の容量・位置の選定などを厳密に行い、室内の空気の対流を促すため、地中に埋設したアースチューブから入ってくる新鮮外気と2階から下りてくる室内の空気をミックスするボックスを1階床下に設置しました。
これによって、家中どこでも温度差のない快適な室内環境はそのまま、1階床下に設置する放熱器が従来の半分程度となる4台で済んだばかりか、1階天井ふところの放熱器も不要に。暖房設備にかかるコストを減らすことができるだけでなく、光熱費は同社の試算で従来よりも5万円弱少なくなるなど、省エネ化とコストダウンの両方が可能になったのです。
パッシブ換気で環境・健康に優しい家 当別町T邸/辻野建設工業
自然に囲まれた、程よい大きさのまちで暮らしたいと望んでいたTさんファミリーは、札幌にも近い当別町のまちなかにマイホームを建てました。手掛けたのは「当別田園住宅 つじのムラ・プロジェクト」などを手掛けている辻野建設工業さん。人と自然が調和する暮らしをテーマに、Tさんご夫妻の思いが一致した家づくりを取材しました。
Tさん邸は、自然に暖かい空気が室内を循環するパッシブ換気システムを採用。パッシブシステムの家にするには住宅性能の高さが欠かせませんが、Tさん邸の気密測定ではC値が0.3 cm2/m2未満と条件をクリアしています。
寒さに弱いインコのためにZEHパッシブ換気 北海道恵庭市Tさん/エコットハウス
エコットハウスで建てる決め手となったのは、温度変化を嫌う小鳥たちにやさしい室内環境と、冬の停電時にも室温が下がりにくい高い断熱性能。機械換気を使わずファン音がない静かなパッシブ換気と、停電してもある程度自立した生活が送れる「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)※」が実現でき、北海道でもインコたちにとってほぼ理想の環境をつくることができたとTさん。
機械動力や電力を使わない「パッシブ換気※+床下暖房システム」は、温度差という自然の力を利用して家中をくまなく空気が対流するので、汚染物質や湿気を含んだ空気だまりができにくく、床下空間が暖められるので、足もとから自然な暖かさに包まれます。「災害時や停電時にも自然の力で止まることなく動く’’パッシブ換気床下暖房システム‘’は、人より温度変化に弱い小鳥たちとって理想」とTさん。
マイホーム新築で換気の重要性を実感 狩野社長邸/奥野工務店
私が建てたマイホームは、それまでの経験上、高断熱・高気密でしっかりとプランをしたつもりでした。換気に第一種熱交換換気システムを採用していました。
ある日、換気本体の蓋を開けてフィルターを引っ張り出したところ、本体の内部に結露やカビが発生しているのを発見。換気本体を通って熱交換された空気が各部屋に循環する換気方法なので、小さな子どもの部屋にもカビを含んだ空気が回っていくのかと思うと大きなショックを受けたのを覚えています。
その点、パッシブ換気は給気口で屋外から採り入れた新鮮な空気が、床下から室内に給気されて家中くまなく循環し、汚れた空気は排気塔から排出される仕組み。空気だまりや室温差ができにくいため、結露やカビが起きる心配はほとんどありません。
室内と屋外の温度差を利用し機械制御がないため、運転音に悩まされる心配もなく、メンテナンスの手間もありません。こんなに優れた換気方法を標準仕様で採用している住宅なら、「自信をもってお客さまに勧められる」と確信し、入社して今に至ります。ちなみに奥野工務店もお客さま担当がワンストップで家づくりをサポートしています。
道南杉を外壁全面に。道総研の最新技術も 札幌市中央区М邸 江田建設
江田建設といえば、高断熱高気密、パッシブ換気システムなど、北海道の産官学が進めてきた住宅の先進技術を積極的に学び実践するほか、建築家との連携でデザイン力も鍛えてきた札幌圏の住宅業界でも一目置かれる工務店。
М邸でも、道南杉で外装仕上げを行うにあたっては、不燃下地を省略でき、外壁の軽量化や施工コスト削減につながる最新技術、道総研・北方建築総合研究所開発の「北総研防火木外壁」(国土交通大臣の防火構造認定取得済)を採用するなど、先進の取組を行っています。
ご主人 江田建設さんは、断熱・気密に優れた建物で、パッシブ換気を採用しているという、私たちが希望する住まいの必要条件に加え、プランニングやデザインの要望にも柔軟に対応してもらえたのが、大きな決め手になりました。
奥さま 以前住んでいた集合住宅は、結露やカビが多く発生し、メンテナンスが大変でした。隙間風も入ってきたため、やはり、断熱・気密が何よりも気になっていました。依頼の決め手は、江田建設さんの住宅性能の良さと、気さくで信頼のおける江田社長のお人柄です。
外が-28度でも部屋は暖かい!パッシブ換気で快適に暮らす 北海道帯広市 イゼンホーム
帯広の住宅会社イゼンホームは、NPO法人パッシブシステム研究会に所属してその技術を習得。今では、新築の約半数がパッシブ換気システム住宅です。
約8年前、同じ敷地内に息子さんが家を新築した際に、イゼンホームを紹介したのは親のMさんご夫妻でした。「じつは、その5年ぐらい前から私たちは帯広の住宅会社めぐりをしていたんです」。ハウスメーカーや工務店と、いろいろ回った中で奥さまが気に入ったのがイゼンホームでした。
「中村さんが提案した床下暖房+パッシブ換気は、ストーブのように火が見えないので大丈夫かな、という気持ちが最初はありました」と話すMさん。
「でも、住んでみるとしっかり暖かい。それに、ストーブと違ってどこに行っても温度が同じなんだよね」。
取材で訪問した日は、まだ雪がちらつく寒さでしたが、「朝から暖房を切っているんですよ」と奥さまに言われて驚きました。中村さんが説明します。「床下のコンクリートに暖房熱が蓄えられていて、しかも無駄な熱が外に出ていきません。ですから、今の時期なら1日ぐらい暖房を切っていても大丈夫でしょうね」。
狭小地でも家族4人が快適に暮らせるパッシブ換気の住まい/北海道札幌・豊平モデルハウス/奥野工務店
パッシブ換気システムは、“温められた空気は上昇する”という自然の原理を利用した奥野工務店標準の換気システム。床下空間に取り入れた新鮮な外気を暖房用放熱器で温め、1・2階の床面にあるガラリから給気して室内に循環させた後、排気筒から排気する仕組み。機械動力を使わないので環境にやさしく省エネであるほか、室内に暖房器具がなくなるので、家具のレイアウトなども自由度が高くなります。
「換気の作動音がないことやメンテナンスが不要なのもポイントの一つ。機械換気は設置場所によって作動音が耳に付いたりしますし、10年程度で部品交換が必要になることもありますが、パッシブ換気システムであればそんな心配はありません。地中に埋設した新鮮外気導入用塩ビパイプの中が汚れるのではないかという指摘もありますが、北海道科学大学教授の福島明先生が調査したところ、ホコリ溜まりや汚れなどの問題はなかったことが確認されています」と狩野さん。
パッシブ換気システムを採用するためには高い断熱・気密性能が欠かせませんが、このモデルハウスでは外壁の外張り断熱材を標準の硬質ウレタンボード80mmから、より熱を伝えにくいキューワンボード70mmに変更し、壁の中には高性能グラスウールを充てん。天井は吹込み断熱材450mm、基礎は発泡プラスチック系断熱材を外側に100mm、土間下に50mm施工し、窓はすべてトリプルガラスの樹脂サッシを採用。断熱性能を示す外皮平均熱貫流率=UA値(数値が小さいほど高断熱)は0.25Wと、国の省エネ基準である0.46Wはもとより、ゼロエネルギー住宅・ZEH+の強化外皮基準である0.3Wも上回ります。
もっとも、断熱・気密性能は計算上のスペックではなく、現場での施工がしっかり行われているかどうかに左右されます。狩野さんによると「例えば構造体を施工する時には、筋交いを留めるボルトなど金物回りで必要なところはすべてコーキング(隙間を埋める充填剤)を使うなど、手間はかかりますが細かい部分まで断熱・気密施工にはこだわっています。当社の住宅では気密性能=相当隙間面積(数値が小さいほど高気密)で0.5cm2/m2を保証しますが、昨年引き渡した住宅4軒は0.1〜0.2cm2/m2でした」と言います。
目次
2020年06月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。