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家族を守る防災&快適なLCCM住宅/北斗市T邸 ノースランドホーム(山野内建設)


2019年末に完成した北斗市のT邸。「片流れ」屋根のすっきりとした外観、間取りや内装の工夫も見どころですが、ノースランドホーム(山野内建設)が設計施工した家ですから、例外なくK邸も省エネ・創エネ性能が最大の特長です。まずはその点からご紹介します。

省エネ(断熱・気密)性能は?


天井 高性能グラスウール16㎏229㎜
外壁 高性能グラウスール16㎏90㎜にポリスチレンBⅢ100㎜
基礎 ポリスチレンBⅢ100㎜
土間 ポリスチレンBⅢ200㎜
サッシ トリプルLow-E
玄関ドア D2タイプ
換気 第1種熱交換換気システム
気密性能 C値0.2
外皮平均熱還流率 UA値0.25
建築物省エネルギー性能表示制度 BELS(ベルス)★★★★★(最高等級)

外壁とサッシの断熱仕様が際立っています。その結果、住宅の省エネ性能は、UA値=0.25W/m2K。国の定める基準はUA値=0.56W/m2Kなので、大幅に上回っています。

外皮平均熱貫流率(UA値)は、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。

基準ギリギリの家では電気・暖房・給湯で年間45万円近くかかる家もあります。K邸は、暖房の設定温度などによっても異なりますが、25万円以下を見込める断熱・気密性能です。

創エネ(太陽光発電)で「光熱費実質ゼロ」に

K邸は太陽光発電も導入しています。



片流れ屋根はソーラーパネルを搭載しやすいメリットもあります。フラット屋根にくらべ架台を施工せずに、直接屋根に貼れるのでコストダウンできます。

T邸の太陽光発電は試算で、年間9.3KW分、金額で約25万4千円分の発電額になります。

夏場は発電額が多く暖房しない、冬場は発電量が減るが暖房費がかかる、というムラはあるものの、年間で計算すると、一般的な家が30万円~50万円近くかかる中で、K邸は光熱費負担額が実質ゼロになる、ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)です。



経済産業省・資源エネルギー庁のサイトによるとZEHとは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」のこと。

家を建てる方の多くが、住宅ローンの毎月の支払額は気にする一方、毎月の光熱費負担の大きさを真剣に検討していません。住宅ローンの支払額に、毎月の光熱費負担額も合算して、支払いの計画を立てないから、家計が苦しくなる、という面があります。詳しくは

函館で住宅を建てる人が気づくべき問題点 https://nl-zero.com/house/
を参照ください。

135万円の補助金も受給

なお、K邸は、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業に採択され、1,352,000円の補助金を受けています。



LCCMとは、建設時、運用時、廃棄時において出来るだけ省CO2に取り組み、さらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、住宅建設時のCO2排出量も含めライフサイクルを通じてのCO2の収支をマイナスにする住宅です。

いえズーム編集部(北海道住宅新聞社)は、年間100件近く、北海道・東北の住宅を取材していますが、LCCMの補助金を獲得した住宅の取材は初めてでした。

断熱性能や高効率機器、太陽光発電など住宅の省エネ性能面、そして申請などのハードルも高いこともあって、多くの住宅会社は挑戦すらしていない補助金です。ノースランドホーム(山野内建設)は、

ネットゼロエネルギー住宅(zeh)の補助金
地域型住宅グリーン化事業の補助金
長期優良住宅リフォーム補助金
住まい給付金の支給
高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業
ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業

など住宅の省エネに関するさまざまな制度、補助金を長年にわたってフル活用し、住宅業界でも省エネ・創エネ推進の家づくりで有名な工務店だからできたのだと思います。同社が建てる大半の住宅で、省エネに関連する補助金が活用されています。

ノースランドホーム(山野内建設)が建てる住宅は、住宅性能が格段に高く、補助金の要件を設計・施工面で楽にクリアできること。そしてプランニング・申請面でも有能な人材が揃っているためです。

間取り、内装にも工夫がいっぱい

住宅性能の話はまだまだありますが、理屈っぽい話が続くので、いったん中断して、家の中をご紹介します。



外観の色合いとのバランスで玄関ドアの色はKさんも大いに悩んだそうですが、とても素敵な色合いでした。



玄関ホール。室内の壁は白が基調ですが、部分的にアクセントになる色、デザインで変化を付けています。



玄関横にはウォークスルークローゼットも設置。アウターや靴、スーツケースなどを収納でき、玄関がすっきりします。



リビングは2階の天井までの高さがある吹き抜け空間です。解放感も魅力ですが、子ども部屋とリビングとの間で、親子のコミュニケーションがしやすいのも吹き抜けのメリットですね。

T邸は、きわめて高性能な高断熱高気密住宅なので、そもそも室内の暖かい空気が屋外にほとんど逃げません。

少ない暖房エネルギーで家じゅうを暖かく維持でき、床下に1台設置した6畳用エアコンから家じゅうに暖気を送る方式なので室内に暖房機を設置する必要すらありません。



ところがリビングにはこたつがあります。

本州出身のご主人によると「北海道の人は、室温を24℃など高めにして、冬でもTシャツにビール、という話を聞きますが、生活するうえで私たちにはそこまでの室温は必要ないですし、エネルギー消費的にも環境への負荷が増えそうな気がします。

高断熱高気密住宅を建てる前提で、そのうえで冬の室温を20℃設定にすることで暖房消費エネルギーをさらに減らし、本州のように自然に家族がコタツにあつまって団らんできるリビングがいいかなと思ったんです」と話してくれました。



テレビの背後にある木の壁は、実家の建設工事で、お風呂の天井に使った木材の余った端材をお父さんが保存しておいたものを、今回、息子であるKさんの新築工事用に提供してくれたものです。

キッチンは対面式ですが、来客からシンクの中などが丸見えにならないように、目隠しの壁を配置しています。



左側の写真はキッチンの手前に併設されたカウンター。ここで朝食を食べれば、洗い物の片づけもサッとできます。そしてキッチンの奥には食品庫(パントリー)があり、その中は右側の写真の通り。食材を十分に保管できる収納空間が広がっています。

この家の大きなテーマは、家族を守る「防災力」です。冒頭に住宅の省エネ性能や自然エネルギーでの電力自給能力などについて書きましたが、それに加え、災害時に、非常食や水、調理のために必要なカセットコンロなどの備蓄があれば、救援が届くまでに必要な食糧と燃料を節約できます。



リビングの横には客間があります。最近は客間をリビングと一体化させて小さく、そして洋間にする家が増えていますが、Kさんは和室が大好き。ベッドではなく布団派、お子さんもまだ小さいので、家族全員でここに布団を敷いて寝るのが楽しいそうです。



間取りについても工夫があります。

この手書きの図面はご主人が、打ち合わせの初期に山野内建設さんに提出したものです。冬季の日射取得や、防災備蓄ができる収納スペースなどのほか、客間(和室)から来客がリビングを通らずに洗面化粧台やトイレなどに行ける動線が書かれています。



実際に建てられたK邸を見ると…この写真の左側が客間で、そこから洗面化粧台やトイレ、バスルームに直行できる間取りになっています。



その奥にあるのがバスルームです。ご主人「和風の空間が好きなのでお風呂から坪庭が見えるようにしていただきました」



一階の主寝室は暗めのクロスを使い落ち着いた雰囲気に。老後に階段が辛くなってくることを想定し、1階のみで生活が完結できる間取りをお願いしました。



2階子ども部屋のドアは通風タイプ。ドアを閉めたままでも風通しが良くなり、猛暑の日でも6畳用エアコン1台で家じゅうの温度を下げることが可能です。



2つある納戸のうち1つを書斎に活用しました。天井は低いものの5.5帖の広さがある屋根裏部屋のようなご主人の書斎。ご主人の持ち物をまとめて収納できたので、主寝室などほかの部屋がすっきり整理整頓できました。



奥さまのアイデアで、リビングに設置したハンモック。窓越しに空を眺めたりテレビを見たり、昼寝をしたりととても快適だそうです。

家づくりについて

家づくりの体験についてお話を伺いました。

住宅会社選びは?

ご主人 最初は中古住宅を買ってリフォームするということも検討しました。最初の頃は住宅をデザイン重視で選んでいたと思います。

ただ築年数の経過した住宅は性能・品質面で不安がありました。次に大手ハウスメーカーなどにも相談しました。アパート暮らしでは光熱費負担も大きかったので高断熱高気密住宅に太陽光発電を搭載した環境負荷の少ない住宅が良いなと思ったのですが、当時、候補に挙げていたハウスメーカーは太陽光発電については消極的だったこともあって、住宅会社探しはかなり迷いました。

そんな時に、ノースランドホーム(山野内建設)のチラシがうちのポストに入りまして…。高性能で太陽光発電もついた光熱費ゼロの住宅というコンセプトにが俄然興味が沸いて、オープンハウスに行ったところ、営業担当の前田さおりさんが対応してくれました。

住宅会社との打ち合わせはどのように?



ご主人 週1くらいの頻度で営業担当の前田さんと打ち合わせをしました。クロスやドアの色や仕様などもきめ細かく対応していただきました。何度も打ち合わせをさせていただきましたが、お会いするだけでなく、メールも活用して、プランを固めていきました。

住宅の断熱気密への関心が高いのはどうして?

ご主人 本州では局所暖房ですし、私も寒い家で育ちました。この家に住むまでは暖かい家で暮らした経験がなく、ガス代が高いからと夜間は暖房を切ったら、室温が10℃以下になって、電気毛布がないと震えてしまうほど寒くなる。コタツも分厚い掛布団を2枚重ねにして寒さをしのいでいました。

妻も足が冷えると言っていました。この家に住んで、もっと早く家を建てればよかったと感じるほど暖かく快適です。20℃設定だと寒いと思われるかもしれませんが、家の中がムラなく暖かく、床下エアコンのおかげで床もほんのり暖かいので、妻も娘も喜んでいます。本当に快適です。

住み心地は?

光熱費でいえば、1月1日から31日の暖房、照明、調理、給湯などを含めた電気代が16000円くらいでした。売電収入が9500円くらいあったので、真冬のオール電化でも実質6500円ほどの光熱費でした。室温が18℃になったら暖房が強くなり、22℃になったら弱くなるという自動制御で、特段室温を気にせず快適に暮らしての結果です。

1年通しての売電収入額はまだわかりませんが、光熱費ゼロどころか黒字がまず間違いないスペックになっています。



熱交換換気のフィルター掃除も手の届きやすい高さにしてありますので、フレッシュな室内空気環境を維持できると思います。

私たちは自然が好きで、環境問題にも興味があるので、自分たちが住むLCCM住宅が低炭素社会の実現に貢献していることが嬉しいです。

私の実家は宮城で、東日本大震災の際には1週間停電しました。この家は非常用のコンセントで太陽光発電した電力を使えます。売電価格が下がり、蓄電池や電気自動車が安くなれば、電気を貯めることも考えたいと思っています。

これだけ省エネ性能の高い家で、室温設定を下げて過ごしているので、たぶん光熱費はかなり安く済む気がします。家族で検証していきたいなと思っています。



写真 村川翔健

2020年02月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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