Column いえズーム コラム

注文住宅づくりの重要点1 人が通る寸法は「最低52センチ」

全国大手ハウスメーカーの設計部門、現場部門などで通算1000棟を超える住まいづくりに関わってきたシノザキ建築事務所篠崎廣和代表による連載コラム「注文住宅づくりの重要点」。ぜひ一読よろしくお願いします。

はじめまして。シノザキ建築事務所の篠崎廣和です。

「なかなか思うようなプランが作れない、出てこない」
「デザインのいい設計にめぐり合えない」
「図面は良さそうだけど、このプランが本当に自分たち家族に合っているかわからない」・・・。

プロでさえ『家は3度建てないと本当に満足のするものは出来ない』などと昔から言われてきましたが本当にそうでしょうか?


たしかにそういう部分はありますが、家を建てる前に建て主側でチェックポイントがわかっていればかなりの不満足部分は解消されると思います。

これから住宅を建てるご家族のお力になるものを、建て主側からの目線でわかりやすいものが何か出来ないだろうかと思い立ち5年ほど前に作成したものですが、このたび北海道住宅新聞社様からのご依頼を頂きまして、「iezoom」のホームページ上連載させていただくことになりました。

内容に関しましては次の3つのことを念頭におきました。

1つ目は、今まで千数百組以上のお客様と接してプランニングをしてきた生の声を反映すること。

2つ目は、その生の声から建主はどうすればいいのかを例をあげてストレートに伝えること。

3つ目は、もうひとつは素人にもできるだけわかりやすいように簡単で具体的な言葉で伝えることです。


とても大切なことをお伝えします。

それは、ただ読み流して「なかなかいいことが書いてあるな」で終わらせずに、ご自分のマイホーム計画にあわせて1項目づつ実践すること、そして自分で理解して1つ1つを決めることです。マイホームの建築は、一生のうちにそう何度もあることではありません。ぜひ一つ一つのことをプラン用紙と頭をつき合わせて体験してみてください。

ここに書いてあることをやったかやらないか、知っているか知らないかでは、満足度に数十倍の違いがあることがおわかりいただけると確信しております。真の情報を得て、あなたの家族の幸せにつながれば、私にとってもこんな幸せなことはありません。HP上ですがここで出会った皆様のご多幸を心よりお祈りいたします。

                             シノザキ建築事務所  篠崎 廣和

提案された図面を見たとき、ポイントとなる寸法を押さえる。その寸法は「最低52センチ」

「最低52センチ」何の数字かわかりますか?プロならば、なんとなくわかっている数字です。

この寸法をはっきりとわかりやすく建主であるあなたに伝えることはまずないと思います。これは人が歩くときに、必要としている幅です。人は道路や建物の廊下、もちろん家の中でも「最低52㎝」を使って歩いているのです。
まずは2つの平面図を見比べてみてください。
キッチンから食器棚までの寸法を表しています。


この図は90cm、キッチンスペースとしては現実的に設計されているように見えます。

素人にはキッチンから食器棚までの正確な有効寸法なんて図面を見てもわかりませんし、どのくらいあったらいいのかもわかりません。(実際にそこまで細かく寸法が明記されていないケースがほとんど)キッチンから続くダイニングやリビングが大きくとれているようにみえていても、(リビングダイニングの帖数表示に注意!)キッチンのスペースがこの図の場合、2人以上で作業するようなことがあればとても不便を感じるはず(意識している人はあまりいませんが、キッチンという場所は人と人がすれ違うのことが多い場所なのです)しかも、それが毎日続くのです。(コンロ周りなんて特に危険!)


そこで、キッチンのこの場合、人と人がすれ違う場合が多いということと、2人以上で作業することを考えて、人が通る幅52センチ×2=104センチ以上をとるようにします。これが次の図です。

また、冷蔵庫などは食器棚(奥行き40~65センチなど様々ですが多いのは45センチ)より奥行きが深いのが一般的なので、

①全体の間取のとり方で(冷蔵庫の裏側だけ壁の位置をずらすとか)食器棚と冷蔵庫の前面ラインをあわせる

②①が難しければ、冷蔵庫を新しく購入するときになるべく薄型のものを選ぶ

③出来れば冷蔵庫とコンロは向かい合わせに設置しない(104センチ以上確保できていればまだいいのですが、火を扱っている人の後ろ側で誰か冷蔵庫を開けることも多いので、危険です)など工夫しましょう。


まずは、人が通る寸法、この数字「52センチ」という寸法を、常時念頭におきましょう。この「52cm」という寸法、8割型は当てはまる標準的な寸法ですが、住む人の体の大きさによって多少違います。

逆に、広げすぎても使いにくいのは想像できますよね。洗い終えた食器を食器棚に入れるのに、たとえば20センチ遠いだけでも半歩余分になるものです。「帯に短し、たすきに長し」です。ほどほどがちょうどいいのです。

このキッチン通路をキッチンの通路を90センチにするのか、104センチにするのか。その差14センチの違いを、まずはぜひわかってください。毎日の生活の中でキッチンは、家の中でも最も頻繁に出入りし、調理する(作業する)場所でもあります。

まずは人が通る幅「52センチ」。キッチンの通路は「52センチ×2=104センチ」という寸法を十分確認してJustSizeで設定することが安全で快適につながります。

あなたが建築業者に確認すること

「キッチンから食器棚までは何cmですか?正確に教えてください!」

あなたにもチェックできるプロの設計ポイント

「場所にあわせて、人が動く様子を想像して、ちょうどよい寸法をとる」
「最低52センチ」という数字は、キッチン以外の場所にもあてはまる基本的な数字なので覚えておいて下さい。

注文住宅づくりの重要点1 人が通る寸法は「最低52センチ」
注文住宅づくりの重要点2 人がすれ違う寸法は「最低78センチ」
注文住宅づくりの重要点3 間取りを決める前に家具をチェック(最重要)
注文住宅づくりの重要点4 住宅設計とテレビの関係
注文住宅づくりの重要点5 "きれい"な住宅 5つの法則 


2011年09月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

探したい地域はどちらですか?