空き家再生をZEHで 南北海道・山野内建設 全棟ZEH宣言


南北海道・八雲町に本社を構え函館市にも営業拠点を持つ(有)山野内建設(山野内辰男社長)は、新築の戸建のほか、戸建のリノベーション、アパート・老健施設まですべての物件をZEHで取り組むと宣言。2017年10月の連休には新築住宅・リノベーション・中古住宅あわせて5棟のZEH見学会を開催。この2月にはリノベーションZEHが完成し、見学会を開いた。そこには山野内社長の地域への熱い思いがある。

増え続ける空き家を目にして

山野内建設は昭和年代から高断熱・高気密住宅を建ててきた。住宅性能面で常に先頭を走り、政府がネットゼロエネルギー建築(ZEH/ZEB)を提唱し始めてからは、新築戸建は光熱費ゼロ円とニアリーを含むZEHを標準とし、アパート・施設系では再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を活用してネットゼロエネルギー建築(ZEB)に取り組んできた。
一方で頭を悩ますのは、本社を置く八雲町内でも増え続ける空き家問題だ。



八雲町は役所の出先機関や自衛隊基地もある道南地域の中心自治体はひとつで、近隣の町よりは人口減少がゆっくりだ。とは言え合併で2005年に2万人を超えた人口は1万7千人まで減っている。「子どもが暮らす札幌へ」「空き家を処分してほしい」という町民の声、要望を日ごろ聞きながら、どういうかたちの貢献ができるか考えてきたという。
キッカケになったのが函館市のとなりまち、北斗市で工事したフルリノベーションだった。新築でつちかった断熱・気密技術とZEH化のノウハウを投入し、リノベーションで光熱費ゼロを実現したのだ。

高額なリノベ住宅が受け入れられるか


「ZEHの話を聞きたい」と訪れたOB客(右)に仕組みを説明する山野内社長


ただ、そこまでの性能を盛り込むと、当然だがリノベ費用が高額になる。ユーザーに受け入れられるのか不安もあった。
「これだけお金を掛けるなら新築したほうが良いのでは、とボク自身が思っていました。しかし、見学会で来場してくれた方々の反応は違った。『これ(リノベーション住宅)がいい』とおっしゃる。消費者ニーズにボクたちが置いて行かれたのかもしれません」と山野内社長。
ユーザーニーズがつかめれば、あとは提案モデルを作るだけ。その点において山野内建設は強みがある。新築においても同様のプラン提案でZEHを売ってきた実力があるからだ。
中古物件の仕入れ価格、リノベ工事費、太陽電池等の創エネ装備、利用できる融資などを提案書にまとめ、経済性をしっかり説明できるように準備した。リノベZEHなら一条工務店などの大手が参入する可能性もない。中古住宅の仕入れの面でも地場工務店の強みが生きる。

リノベーションZEHの提案を開始


道南エリアにZEH宣言のチラシを打った(2017年10月)


2017年10月に公開した中古物件は延床面積33坪。部分的に解体して断熱工事を実施し、ビフォー/アフターが見られるようにした。耐震診断を終了し、耐震補強計画、断熱改修計画、資金計画をすべて公開した。断熱面では、UA値0.26W、年間暖房負荷は5244kWhの試算(2地域)。太陽電池を6kW搭載し、エアコン暖房とエコキュートで光熱費ゼロとZEHを目指す。


2018年2月に公開した完成リノベーション住宅(右)と、before(左上)。 日中でも外気温がマイナスの真冬日にもかかわらず、室内はどこも快適な暖かさ。暖房はエアコン1台だ


販売価格は、中古住宅の取得費を除き、1300万円台を想定。これに土地費用を入れれば、1500万円台から2000万円以内で高性能住宅を取得できる。ローコスト訴求の新築住宅よりは高いが、光熱費まで考えると圧倒的な経済性と高品質が実現する。なお、今回の物件は長期優良住宅化リフォーム推進事業の採択を受け、250万円の補助金が利用できる。

「札幌でもリノベーション市場があると聞くが、このやり方は人口減に悩むローカル市町村だけのものかもしれない。地域工務店が地域の住宅を再生させ、お客さまの家計の負担を軽くすることで商売にもつながるとしたら、これは人口減少時代の新しいビジネスではないか」。山野内社長は仲間の工務店にも取り組みを公開し、多くの工務店が取り組むことで、地域経済の活性化と空き家対策に貢献したいと考えている。

2018年02月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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