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アスベスト対策で安心の性能向上・ZEHリノベーション/イーハウジング函館


ゲリラ豪雨や温暖化など肌で感じる気候変動を抑えるため、2020年からカーボンニュートラル政策が始まっています。身近なところではプラスチックごみの削減、住宅では高断熱・高気密化や太陽光発電でエネルギー使用量を実質ゼロ以下にするZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及が進んでいます。
一方、築年数の経った家はどうでしょう。「家の中が寒い」「冬の除排雪が大変」「耐震性が心配」「キッチンやお風呂場が使いにくい」――。こうした苦労を抱えている人も多いですよね。


子育て世代がリノベーションを選択するケースが多い


函館・道南エリアの工務店を中心に省エネ・ZEH住宅を推進するグループ「e-housing函館(イーハウジング函館)」は、建ててから30年、40年ほどが経った古い家のリノベーション事業にも力を入れています。イーハウジング函館の会員住宅会社はこれまで、断熱・気密性や省エネ性に優れたZEHなどの新築住宅を積極的に進めてきました。これらの家づくりで培ってきた技術やノウハウをリノベーションに活かし、住み慣れたマイホームを住みやすく快適に変えていこうというわけです。

アスベストの飛散防止対策が重要に

リノベーションでは、壁や床、屋根への断熱材の施工、あるいはキッチンや浴槽といった大型設備を交換する際、解体作業が発生します。この時、特に気を付けなければならないのが、アスベストの飛散防止対策です。


アスベストを使用した天井


アスベストとは、天然に採取される鉱物の一種です。石でありながら軽い綿状の性質から石綿(せきめん・いしわた)とも呼ばれています。加工しやすく、耐火性、断熱性などに優れているため、以前はビルなどの壁や天井に吹き付けて使用されていました。
ですが、アスベストの繊維は極めて細いことから飛散しやすく、大量に吸い込むと肺がんや悪性中皮種などを引き起こします。このことから、1975年以降は段階的に品種や使用量が制限され、2006年には製造、輸入、譲渡、提供、使用にいたるまで全面禁止となりました。

規則の改正に伴う講習会を開催


講習会では、参加したメンバーから多くの質問が寄せられました


では、住宅にもアスベストが使われているのでしょうか。
全面禁止となる2006年以前に建てられた住宅は、アスベストを使っている可能性があります。

今後はアスベストを使用した建築物の老朽化で解体・改修工事の増加が見込まれることから、厚生労働省は石綿障害予防規則(石綿則)を改正。2022年4月からは、一定規模以上のリフォーム・改修・解体工事において、着工前に建物にアスベスト含有建材が使用されているかを調べ、その結果を労働基準監督署へ報告することが義務付けられました。住宅の壁や天井などの解体を伴うリフォーム、リノベーションも調査の対象です。


リノベーションは解体作業が必要になります


そこで、イーハウジング函館は、お客さまが安心して中古住宅のリノベーションを計画できるように、アスベスト対策を学ぶ講習会を7月14日に函館市内で開催しました。
講習会では、函館市に本社のある西武建設運輸の営業部長を務める八田一弘さんが講師として登壇。17年間にわたってアスベストの除去作業に携わってきた経験をもとに、解体時に粉塵が飛散しない対策や安全に作業を行うための注意点などについて講義しました。参加したメンバーは、住宅リフォームの現場を想定して八田部長に疑問点を質問し、ディスカッションするような形でアスベスト対策の学びを深めました。
また、石綿則の改正で必要となった、調査結果を報告する電子システムの入力方法といった実践的な内容もあり、参加メンバーは真剣な表情で話を聞き入っていました。


勉強会の様子は北海道住宅新聞(2022年8月5日号)に掲載されました


なお、住宅に使われるアスベストは、外壁や板状に固めたスレートボード、天井裏や壁などに固定されており、暮らしている使用状態で飛散する可能性は低いとされています。


セミナー開始に先立ち佐藤会長があいさつしました


佐藤健太郎会長は「リノベーションやリフォームは、オーナーさまが暮らしたまま工事する場合もあり、これまでも解体に伴って発生する粉じんや廃材処理に細心の注意を払ってきました。アスベスト対策が示されたことで、今後は法令を参考にしながら住まい手のお客さまも工事する職人さんたちにとっても健康な工事環境をつくるので、お客さまには安心して住宅リノベーションを計画していただきたい」。と呼びかけています。

2003年の結成以来、地域の住宅課題をクリアすることに全力を傾けてきたイーハウジング函館。今後は、安心のリノベーションをキーワードにずっと快適に暮らせるまちづくりを加速させていこうとメンバーが気持ちを新たにしていました。

会員企業一覧

株式会社マルサ佐藤建設 http://marusa-sato.net/
渋谷建設株式会社 http://www.shibuya-ken.com/ 
ノースランドホーム・有限会社山野内建設 http://nl-zero.com/
株式会社小西工務店
株式会社福地建装「フクチホーム」  https://www.fukuchi-home.jp/
株式会社鳴海建設 http://narumikensetsu.com/
有限会社辻久建設 http://tsujikyu.com/
トール・ハウス株式会社 https://tallhouse.jp/

2022年09月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。