
洗面化粧室にこだわった家が増えています。iezoomで取材した過去5年間の住宅では、造作によるオリジナルデザインの洗面化粧台が多く採用されており、動線やインテリア性にこだわった事例が多くありました。
洗面化粧室(ユーティリティー)は今、どんなプランやデザインが人気なのでしょう?
今回は造作によるオリジナルの洗面化粧台から、メーカー各社が発売を開始した造作風の洗面化粧台、組み合わせて使える部材まで、最新情報をまとめてお伝えします。
※このコラムは北海道住宅新聞・2025年9月5日号に掲載された特集記事を元に作成しています
目次
1 造作洗面化粧台が増えています
インテリアのこだわりが強い事例では、造作洗面化粧台が増えています。本物のタイルなどを使用して上質感も演出しています。
札幌市E邸(札幌・イネスホーム)の事例では、施主夫婦が見学に行ったモデルハウスを「タイルを用いた造作の洗面化粧台には一目惚れでした」(奥さま)と、とても気に入っていました。そこからインスピレーションを得て、タイル柄に合わせた真ちゅうのコンセントパネルやトグルスイッチ類を使ってオリジナリティーのある造作洗面化粧台に仕上げました。
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2 家事動線の中にユーティリティーも組み込まれています

回遊動線上に洗面室(晃和住宅)
洗面化粧台を玄関→ホール→ユーティリティー→キッチンなどの回遊動線上に設けることで、利便性を高めています。
江別市I邸(札幌・晃和住宅)の事例では、施主のIさんが「大事にしたのは、妻の家事を効率化する動線」と考えて、玄関ホールに上がると、左手にリビング、右手に洗面室・ユーティリティーが続いてつながる回遊動線を実現。洗う→乾かす→畳む→仕舞うが最短の動線で完結します。
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3 使いやすさや機能性にもこだわっています

2つのボウルが並ぶ洗面化粧台(ティーメイス)
洗面室と脱衣室(洗濯室)を分離・独立させることで、家族が入浴している時でも他の家族が洗面室を使えるなど、機能性を高める工夫が見られます。
帯広市W邸(帯広・ティーメイス)の事例では、朝の慌ただしい時間帯に夫婦2人が並んで支度ができるよう2つの洗面ボウルを並べて造作。鏡の裏には、それぞれの身だしなみ用品を収納しています。洗面室と脱衣所は独立させた上で、脱衣所にガス衣類乾燥機「乾太くん」を置き、洗濯室としても利用できるようにしています。
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4 ホテルライクな空間演出が人気です

左:家族用の洗面台はダークな色調でまとめた/右:来客用の洗面台(北渡建設)
ラグジュアリーな質感や間接照明、コンクリート調・大理石調の素材選びなどで、洗面室そのものを「ホテルライク」な居心地の良い空間に。
江別市K邸(札幌・北渡建設)は、家族用にスタイリッシュな洗面化粧台を造作しました。ティッシュペーパーの隠し収納やメインミラー以外にメイク専用ミラーもあります。隣の洗濯室には靴や汚れたユニフォームを洗うのに便利なスロップシンクも設けました。玄関ホールには来客用の洗面台もあり、竹集成材を使用した円形ミラーや優美なボウルなど、デザインでも来客をもてなします。
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洗面化粧室は、ただ顔を洗って化粧をする場所ではなく、家事動線に配慮したトータルの使いやすさや、デザイン性・質感の高い造作洗面化粧台、またホテルライクでラグジュアリーな雰囲気づくりにより「洗面化粧室は家族だけが使うのではなく、来客にも見せたい」ものになりました。
一方で、洗面ボウルを2つ配置したり、ワイドミラーを使うなど、朝の混雑時にも対応したり、脱衣室と洗面室を分離する傾向も強くなるなど使い勝手も良くなっています。
メーカー各社が発売中の造作風・洗面化粧台に注目です!
建材メーカーの洗面化粧台にも熱い視線が注がれています。機能性や清掃性に優れ、デザインのバリエーションも増えて、中でもパーツを自由に選べる造作風やホテルライクな洗面化粧台の人気が高まっています。
ここで各メーカーの注目製品を紹介しましょう。
TOTO リニューアルした「ドレーナ」部材の組み合わせが広がる

サイドキャビネットなど自由度が高まった(ドレーナ)
TOTO㈱は、1968年に日本で初めて洗面化粧台を発売したメーカー。
「ドレーナ」は、部材を自由に組み合わせて自分好みの洗面化粧台を作ることができます。オープンキャビネットや鏡横のサイドキャビネットのほか、鏡とカウンターの間につけるバックパネルに新たなタイル調仕上げを追加できるようリニューアルした製品です。
もう一つの注目製品の「エスクア」は、ホテルライクな洗練されたデザインで照明や水栓の自動化を推進しています。
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LIXIL 洗面化粧室を造る「ランドリープラス」

「洗う」「片付ける」動線を最小限に抑える(ランドリープラス)
㈱LIXILの注目製品は、2025年春に発売した「ランドリープラス」。カウンター、洗面ボウル、ミラーなどを組み合わせて家事動線の効率に優れたユーティリティー(洗面化粧室)を造ります。オープン収納、引き出し収納両方に対応し、引き出し収納はキッチンの引き出しのような静音機構が備わっています。
このほか、造作風カウンター洗面「カスタムバニティ」は、水はねを抑えたボウルなど、実用性・清掃性に配慮した製品も注目です。
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パナソニック 「C-LINE」に新プラン追加

玄関ホールへの設置イメージ(C-LINE)
パナソニックハウジングソリューションズ㈱は、中心製品「C-LINE」をモデルチェンジし、「フロートワイドカウンタープラン」を追加しました。
最大1700㎜幅、1㎜単位で現場カットが可能なカウンター、配管をすっきり隠せるオープン棚、同社のキッチン扉や建具と色柄・テクスチャーを合わせることが可能になり、家のどこに置いても違和感なく溶け込むデザイン性の高さが売りとなっています。
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クリナップ 造作風の「エルヴィータ」

デスク型の構成例(エルヴィータ)
クリナップ㈱は、造作風の洗面化粧台「エルヴィータ」が人気です。造作する際に問題となるのが、細かな部材選定や打ち合わせ、部材ごとの納期管理、施工性や納まりなどがありますが、「エルヴィータ」はセット商品とすることで課題をクリアし、おしゃれな空間を設計から施工まで効率的に実現できます。カウンターの上に洗面ボウルが乗るベッセル型で、2ボウルタイプや片側デスクタイプも可能です。
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アイカ工業 SNSで人気「スマートサニタリー」

ミニマルなデザインが人気(スマートサニタリーU)
アイカ工業㈱の「スマートサニタリー」は2016年に発売されて以来、インスタグラムなどSNSを通じて話題となり、造作風洗面化粧台製品が流行するきっかけとなりました。現在は「スマートサニタリー」と派生製品の「スマートサニタリーU」も取りそろえ、iezoomにも採用製品の事例が多く掲載されています。
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ミラタップ ホテルライクな「フィオレット」

同社の洗面化粧台で一番人気(フィオレット)
㈱ミラタップ(旧㈱サンワカンパニー)は、ミニマリズムがデザインコンセプト。代理店を通さず、直接販売方式を採用しているのが特徴。同社製品では、ホテルライクなデザインの「フィオレット」が人気で、カウンター幅は1㎜単位でオーダーでき、水栓の位置も壁付、カウンター出しと選べます。
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これまで「造作の洗面化粧台」は、対応できる工務店が限られており、少し敷居が高いイメージがありましたが、今では、まるで造作したかのような家具風のデザインが増え、好みの部材を組み合わせたカスタマイズも楽しめるようになりました。
各社メーカーさんのサイトでは詳細な商品情報が確認できます。ぜひ参考にしてみてくださいね!
iezoom編集部
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2025年09月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。