Story 取材記事

漆喰壁のリビングがある超高断熱の家 青森県藤崎町・O邸/小野住建


青森県南津軽郡藤崎町のOさん夫妻は、結婚当初からご主人が生まれ育った築約40年の家で暮らしていましたが、住宅の寒さ、住み心地、子育て環境を改善したいと考えていました。

断熱性能が高く、間取りやデザイン、価格の面で要望を実現できる、子育て環境にも配慮できる住宅会社を探し、青森県平川市の小野住建に辿り着きました。

雪対策を考えたモダンな高性能住宅

2019年6月に引き渡しが完了したO邸は200mm断熱のオール電化住宅。高断熱高気密住宅を推進する新住協のQ1(キューワン)マスター会員で技術力の高い地場工務店として知られる青森県平川市の小野住建が設計・施工を行いました。



吹き付け塗装のアイボリーの外壁が柔らかな印象を与えるモダンな外観。構造的にシンプルな片流れ屋根のデザインとすることでコストを抑えながら、単調になりがちな総2階の建物をバランスのとれた個性的な住まいに仕上げました。

多雪地帯の津軽地域では冬場の雪対策が必須。出勤前の除雪や車の雪下ろしに悩まされないよう、玄関前に住宅と一体化した木造のカーポートと物置を設けています。



車2台分のスペースを確保したカーポート内部。古材のような深みのある塗装を施した趣のある意匠です。

住宅本体の気密性能はC値0.1cm。開口部は一部を除きトリプルガラス入りサッシを使用しています。暖房は床下エアコン1台による全館暖房。小屋裏エアコン冷房も導入しました。換気は熱交換換気システム。

天然素材のぬくもりに包まれた室内



内部は自然素材をふんだんに使ったナチュラルな意匠です。南向きのテラスと吹き抜けがある開放的なリビングは防火性に優れ、調湿効果もある漆喰の塗り壁。静電気が起きないため埃がつきにくいというメリットもあります。



リビングと2階のホールをつなぐ吹き抜けは屋根の形状を活かした構造材表しの傾斜天井。真っ白な漆喰壁との組み合わせがナチュラルな印象です。



ダイニングの天井は無垢の羽目板貼りでリビングのナチュラル感を高めています。ダイニング側全面に棚を取り付けたキッチンカウンターとオーディオボードも無垢材で造作しました。

当初はアメリカ西海岸風デザインも検討したOさん夫妻ですが、住宅雑誌を見るなかでナチュラル系の家も魅力的に感じました。「フェイクにはない自然素材ならではの味わいがあります」とご主人。

フローリングは奥さまの希望により無垢の桜材を使用しました。ほんのりと赤みがかった暖かみのある木肌。固くて強度があり、瑕が目立ちにくいなどの特長があります。「新築したばかりの友達の家で実物を見て使ってみたいと思いました。価格もそれほど高くありません」

キッチンとユーティティをつなぐ大型パントリー



「以前の家はキッチンとリビングが別々で家事をしながら子供の面倒を見るのが大変だった」という奥さまの要望に応えた対面式のキッチン。

「3つ口のコンロが三角形になっているのではなく、横並びになっているパナソニックのキッチンを選んだことで調理がしやすくてとても快適です」と奥さま。

カウンターの横とキッチン背面の壁に木を使ったインテリアと相性の良い白のサブウェイタイルを貼り、シックな雰囲気にまとめました。



キッチンの真横にある大型パントリー。壁一面の大きな棚があり、キッチン家電や調理器具のような嵩張る物も収納できます。「絶対に欲しかったスペース。物がたくさん入るのでキッチンが片付きます。リビングからも見えません」。キッチンとユーティリティの2方向から出入りできるのも便利。



パントリーに隣接するユーティリティはグリーンのモザイクタイルでアクセントをつけたオリジナルの木の洗面台を設置。大きなミラーと収納棚、幅の広い引き出しがついた実用的でありながら、お洒落なデザインです。

洗面台の向かいの出入り口からホールに出られます。ホールの隣に個室に転用可能な広さの納戸も。

自然光に包まれたシューズクローク付きホール



日中の自然光を照明として利用する「昼光照明」のホール。天井に木のルーバーがついた明り取りがあり、真上の2階ホールからの日差しが室内を柔らかく照らします。




ホールには大きめのシューズクロークも。小さなお子様も手が届きやすいよう、大人が使う棚とは別に低い位置にも靴を乗せる棚と上着を掛けるハンガーを取り付けています。

吹き抜けと一体化した2階・多目的スペース



吹き抜けに面した2階ホール。表しの傾斜天井と木の手すりの造形が美しい端正な空間です。手すりに沿って設置したカウンターはワークスペースとして最適。反対側の壁には小さな子でも使いやすいロータイプの本棚を造作しました。
正面のドアはウォーキングクローゼット付きの主寝室の出入り口。クローゼットには壁にガラスを埋め込んで造った明り取りの窓があります。



ピンクのカーテンがついた正方形の小窓がキュートな子供部屋。クロスも淡いピンクです。フローリングは無垢のアカシア。2階のもう1つの個室と主寝室、ホールも同じ床材で統一しています。



小さな木の洗面台が可愛い2階の手洗いスペース。ミラーの裏が化粧品や小物を入れる収納になっています。

ビルダー選びは性能を重視

建替え前のO邸はストーブの周りだけが暖かい家。奥様が嫁いで来た時、Oさん夫妻の居室と浴室をリフォームしましたが、手を入れていないところは寒いままでした。「特に脱衣室が寒く、お風呂上りがつらかった」と奥様。

「住宅性能がしっかりした暖かい家を建ててくれること」。それがビルダー探しの重要な条件でした。



青森県内で発行している住宅雑誌などを参考にしながら性能が確かな工務店を探したOさん夫妻。「大手ハウスメーカーはプランを自由に決められないうえ、価格も高すぎるので最初から考えていなかった」とご主人はいいます。

ある日、友人の新築がきっかけで新住協に加盟するビルダーの完成見学会へ。契約には至りませんでしたが、その時、渡された新住協のパンフレットがおふたりの家づくりの参考書になりました。

後日、新住協青森支部に問い合わせ、会員リストを入手。その中に名前のあった小野住建に連絡すると、お客様の家を見せてもらえることに。案内してくれたのが小野照文社長の息子で一級建築士の小野裕之さんでした。O邸の設計と現場管理も裕之さんが担当。

「自社のやり方を通そうとする会社が多い中、こちらの要望に柔軟に対応して下さいました。小野さんの人柄も好印象。小野住建さんが建てた家に実際に住んでいる方から『暖かい』という言葉を聞き、この会社にお願いしようと思いました」。

子育てしやすく、暖かい家に満足



冬を越した感想をお聞きすると「家中暖かくて快適」と笑顔をのぞかせるOさん夫妻。年間の光熱費は16~20万円、冬の1番寒い時期で月2万5,000円程度とのことです。

「今の家の形が決まるまで図面変更が10回以上。途中で何がしたいかわからなくなり、迷走したこともありましたが、その都度、小野さんがいろいろな提案をして下さいました。明るくて居心地の良いリビングのある子育てしやすい家にとても満足しています」



記者の目

自然素材のインテリアや昼光照明など人と環境に配慮した手法を盛り込んだ優しい雰囲気のお住まいでした。小野住建は人材育成に熱心で腕の良い大工さんが揃っていることでも知られる会社。丁寧に造り込んだ造作家具や階段廻り、住宅本体の性能の高さから確かな技術力と職人の技へのこだわりが伺えました。

写真:スタジオ・ニグラム代表 フォトグラファー西川幸冶


2021年02月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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