三角屋根は北海道の郊外の原風景でした
北海道には今も写真のような住宅が残っているエリアが多くあります。1960年代~1970年代にかけて、通称「三角屋根」と呼ばれた、北海道住宅供給公社が積立分譲住宅として供給した規格型コンクリートブロック造の家が普及したためです。都市部への人口集中を回避するため、都市近郊に造成されたニュータウンを中心に大量に建てられたもので、当時、屋根材には赤や青に塗装した板金(とたん)が使われていました。色とりどりの三角屋根が並ぶ町並みは、北海道の原風景とも言えるでしょう。
昔ながらの日本の住宅は瓦をのせた三角屋根の住宅が多いですが、北海道は積雪地帯なので屋根材には茅葺を用いた住宅が多くありました。その後は積もった雪が滑り落ちる板金が使われるようになります。
一方で明治時代には既に日本に渡っていた2×4工法の輸入住宅が、1970年代後半から急速に普及し、それに伴うアーリーアメリカンやカナダの住宅、スウェーデンなどに代表される北欧住宅が人気となり、今では北半球圏に限らず、イタリアやフランスなど、様々な国の住宅デザインを取り入れた三角屋根の家が建つようになりました。
外観が映え、小屋裏を使えるなどメリットも多い三角屋根
三角屋根は和風、洋風と、どんなスタイルにも合わせやすい屋根形状なので、自分の好きな住宅テイストに合わせることが可能です。また、写真のように「家の顔」ともいえる外観デザインを格調高く仕上げられるのも、三角屋根のメリットです。フラット屋根はモダンですがアクセントにはなりにくく、尖がった三角の屋根は外観デザインのポイントにもなります。
尖った三角の内部(小屋裏)も、部屋や収納として使うことができます。傾斜した天井のある個室は、秘密基地のような特別感があり、子ども部屋にもぴったりです。
また、太陽光パネルの屋根設置には傾斜した三角屋根がピッタリです。フラット屋根の場合は、設置用の架台が別途必要になります。(※太陽光パネルについては今後、壁設置も増える可能性が高いです)
一時期減り続けた三角屋根・屋根材の進化でまた人気に
北海道の屋根は、1980年代から急速に三角屋根からフラット屋根に変わっていきました。その背景には市街地の敷地が狭く、屋根からの落雪による近隣トラブルの回避があります。しかし屋根材も進化を遂げており、アスファルトシングルのように、洋風瓦の風合いを再現しつつ、雪が落ちない屋根材も登場しています。
三角屋根の屋根材には主にスノーストッパールーフ、雪止め金具を使用した板金、石付金属瓦、アスファルトシングルなどがあるので、希望の際は住宅会社さんに相談してみるとよいでしょう。
さて、ここからは三角屋根の住宅を建てたオーナーさんの生の声をお届けします!「家を建てるなら三角屋根」と考えている方は、是非参考にしてみてくださいね!
塔屋が連なるクィーン・アンスタイルの輸入住宅 旭川市・豊岡モデルハウスⅢ/セルコホーム旭川(小森工務店)
旭川市1条通り本線沿いに、優美な佇まいがひときわ目を引く輸入住宅が建っています。セルコホーム旭川(小森工務店・旭川市)が現在公開中の豊岡モデルハウスⅢです。
外観デザインは塔屋が連なるクィーン・アンスタイル。外壁には重厚なレンガとブルーのゼオンサイディングを、屋根には無落雪のオークリッジプロを採用。洗練されたデザインに、メンテナンスフリーな素材を使った高耐久仕様です。
写真右はガレージの三角屋根にあしらった妻飾り。こうした輸入住宅らしい演出が随所に光ります。
カナダ輸入住宅ならではの心ときめくデザインで快適な暮らしを 豊岡モデルハウスⅢ/旭川市
自然の風景になじむ三角屋根の総板張りの家 浦河町T邸/神馬建設
牧場の一角に、外壁は道南杉の総板張りで周辺の自然環境に馴染む、牧場を営むTさんご夫妻の住まいがありました。
自然の中に建つ家なので色ムラなどの経年変化があっても違和感がないだろうと考え、外壁は無塗装に。「神馬建設さんと一緒にメンテナンスしつつ、この家をよくしていけたら」とTさんは話します。
愛馬を見守る総板張りの家 浦河町・T邸/神馬建設
将来を見据えてソーラーパネルを搭載した三角屋根の家 清水町T邸/プラスワイド
全国有数の日照時間を誇る清水町。南西向きの屋根にはソーラーパネルを乗せました。今後電気自動車を使うようになった場合には、簡単に充電器の設置ができるように配線してあります。
「燃料費が年々高くなる中で、太陽光発電の発電効率やコストは年々改善されています。太陽光発電や蓄電池は、おすすめしたい設備の1つです」(清水社長)
ソーラー発電で暮らすスタイリッシュモダンな家/清水町Tさん
赤い三角屋根の洋風な二世帯・農家住宅 枝幸町H邸/セルコホーム旭川・小森工務店
見渡す限りの雄大なオホーツク海が間近に見えるH邸。三角屋根は美観と耐久性に優れるアスファルトシングル。外壁は塩害や凍害に強く、デザイン面でも輸入住宅に似合う樹脂サイディング、飾り雨戸付きの3連の格子窓など、カナダ住宅のデザイン・テイストが生かされた外観です。切妻屋根の破風には植物を連想させる妻飾りもついています。
赤い三角屋根の洋風な二世帯・農家住宅 枝幸町/Hさん セルコホーム旭川 小森工務店
三角屋根にホワイトの外壁の洋風な佇まい 東神楽町S邸/昭和木材
Sさんのお宅は、旭川空港へのアクセスが良く、公園や商業施設、学校なども充実した新興住宅地に建っています。外観は三角屋根にホワイトの外壁、均一に並んだ小窓のついた洋風な佇まいです。
階段踊り場を活用した書斎とピアノスペースのある家 東神楽町Sさん/昭和木材
焼杉を使った三角屋根の家 十勝管内O邸/カントリーヴィレッジ
外観は住宅地という環境に馴染むデザインを望んでいたOさん。「焼杉を使った三角屋根の家」と要望しました。
完成したのは、焼杉や漆喰といった素材で和の趣を感じさせる外観。同時に軒先(破風)を薄くし、和テイストを主張しすぎないデザインにもこだわりました。
シンプルな美しさを追求「ノイズレスデザインの家」/ 十勝管内Oさん カントリーヴィレッジ
三角屋根の憧れを実現 更別村K邸/カントリーヴィレッジ
十勝平野のほぼ中央にある更別村。ここに住むKさんファミリーは、家づくりにあたって三角屋根、薪ストーブ、高断熱高気密、太陽光発電、そして家事動線の自由度を重視しました。
三角屋根を希望したのはご主人。「スタジオジブリのアニメ『魔女の宅急便』に出てくるシンプルで洋風な三角屋根の家に憧れていたんです。朝日社長は10寸勾配(45度)の三角屋根に薪ストーブの煙突やドーマ―(屋根窓)、外壁の色合いなども含めて洋風の外観になるように提案してくれました」
三角屋根の憧れ実現と、災害から家族を守る家 更別村・K邸
フランスのアルザス地方の村、コルマールの家をイメージした外観 上士幌町/cubeチセ
外観はフランスのアルザス地方の村、コルマールの家のイメージです。悩んだ外壁の色は大好きな動物、キツネの色に。
「遠くの道路からも綺麗に見えるようにデザインしてもらいました。雰囲気を壊さないよう、電線も地下に埋めています」(ご主人)
北海道・上士幌でピザとキャンプを楽しめるお宿「咲色~sairo~」
目次
住宅の屋根まとめ(札幌ほか北海道)もあります。あわせてご覧ください。
2023年10月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。