退職を機に愛知県春日井市から安平町に移住してきたTさんご夫婦。北海道の厳しい自然環境に適した家づくりを求めて、拓友建設が奈良建築環境設計室とともに建てたのは、"斬新な間取り"と"天井からの採光"が開放的で、豊かな自然に囲まれた別荘のような新居でした。
高窓からの採光で開放感溢れる平屋
道内外からの移住促進を行っている安平町。町営分譲地の一角に建つTさん宅は、車庫が一体となった白い外壁の平屋。玄関からリビングに足を踏み入れた瞬間、ハイサイドから射し込む光に真っ先に目を奪われました。よく見ると、いくつもの複雑な傾斜を組み合わせた美しい白い天井から、柔らかな光が室内へとまわりこみ、開放感溢れる空間になっています。
当初から「二人暮らしなので、できるだけ小さな平屋の家。寝室と客間とを和室で2部屋、広めのリビングにはじゅうたん。そして北方型住宅で」との希望を伝えていたTさんにとってこの新居は、毎晩布団に入る度に「いい家だなぁ」と呟くほど納得の仕上がりになったようです。では、どのようにして家づくりを進めたのでしょうか。
これまで暮らしていた春日井市内のご自宅は、コンクリートマンション。国道に近く、車の騒音や排気ガスに囲まれ「退職後は地べたに近い生活をしたかった」と話すTさん。また奥様のご実家がある苫小牧市に隣接する安平町の移住促進情報を見つけるとすぐに3週間の移住体験を申し込みました。他にも候補はあったそうですが、"交通の便が良く、自然が多い"という条件を満たす安平町に決定!
大手ではなく工務店を希望
愛知県から北海道への引っ越しを決めた背景には、「北方型住宅ECO」と「パッシブ換気システム」というキーワードがありました。
当時、北海道が主催する移住相談会で配布されていた北方型住宅ECOのパンフレットを読んで「断熱・気密水準が国内最高レベルで、道が推奨する家づくりなら寒い北海道でも安心して住める」と思ったのだそうです。
パッシブ換気は、Tさんが北海道の気候風土に合った家づくりを調べていくうちに当たったキーワード。空気の温度差を利用して新鮮な空気を外から床下に取り入れ、床下で暖めて冷気感をなくした空気が室内をくまなく対流することによって温度むらのない快適な住空間が実現する仕組みに感心し、魅了されました。
「一度大手ハウスメーカーで家を建てたが、モデルルームと実際に建った家との落差にがっかりした」という経験から「北海道の気候風土を熟知した、誠実な地元企業がいい」と北方型住宅とパッシブ換気方式を手がける工務店をネットで検索し、数社にプランと概算見積もりを依頼。
Tさんが、自社設計ではなく設計事務所とタッグを組む拓友建設(株)を最終的に選んだ理由は、「見積りが最も詳しくわかり易かったことと、一番願いに叶ったプランだったこと」でした。
斬新なプランとパッシブ換気が決め手
この日の取材には、拓友建設(株)の妻沼澄夫社長と、設計を担当した奈良建築環境設計室の建築家・奈良顕子さんも同席。
「自社設計はしないと言われてびっくり。設計事務所を紹介された時は予算の不安があったけれど、何より奈良さんの平面図が一番よかった...」と振り返るTさんに、妻沼社長はすかさず「プランの良さはもちろんですが、パッシブ換気は自然の力を利用するだけに、設計がしっかりしていないとうまくいきません。一方で、そのすばらしい図面を設計通りに施工する技術力も必要。それが当社が自社設計をやめて、"餅は餅屋"でやっている理由なんです。」と笑顔で答えました。
決め手となったプランは、奈良さんが出した「リビングを四角や長方形ではなく、すぱっと斜めに切って台形にする」というユニークなものでした。
これは予算内でTさんが要望した間取りを実現すると同時に、道路からリビングへの視線を避ける目的もあります。この提案には「設計事務所のデザイン性が活きたなぁ」とTさん夫婦も感心しきり。また、和室の入り口は完全バリアフリー。引き戸を収納するとリビングと一体化して使えます。
住み始めて2ヶ月。珍しく寝苦しい夜が続いたこの夏も室温は最高27度までしか上がらず、最低気温が8度まで下がった9月下旬でも室内は暖房なしに21度を維持するなど、優れた断熱性能で快適。「空気や食べ物も美味しく感じます」と話す奥様とお二人で、道内旅行や来春の畑拡張などの計画をいくつか練っていると話す素敵な笑顔が印象的でした。
記者の目
今回、 拓友建設(株)が見積ソフトまで自社用にカスタマイズしていると知ってさらに驚きました。ちなみに、一般的な見積ソフトを使用した場合、概算と本見積りの他に「概算の概算」まで加わってしまうほど差額が生じる可能性もあるようです。こうした情報を知っておくことも、家づくりの際には大事な要素のひとつかもしれませんね。
2013年10月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。