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知っておきたい住宅業と知的財産【連載】弁理士:中山俊彦


※この記事は北海道住宅新聞の「知っておきたい住宅業と知的財産」という連載記事を転載しています。北海道住宅新聞はこちら

初めまして! あさかぜ特許商標事務所の弁理士、中山俊彦です。本コラムでは住宅業界に関連する「知的財産」についての情報を発信させていただきます。

第1回は、ご相談でありがちな「商標の“後の祭り”なケース」についてお話しします。

先願主義と後の祭り

よくあるケースとして、次のようなご相談があります。

「うちが長年使ってきた“○○○”っていう商品名、気が付いたら同業他社が勝手に同じ名前使っちゃってるんだよねー。それで文句言いに行ったら、『うちはちゃんと商標も出願してます。そちらの方こそ勝手に使ってるんじゃないですか?』なんて言うんだよ。もうあったまきちゃうよねー。何とかなんないの?」

商標も含めた知的財産の世界は、「先願主義」=先に出願した者が優先的に取り扱われる、という原則のもとルールが決められています。ですので冒頭のご相談に対しては、基本的には“残念ながら同業他社さんの言っていることが正しい”、ということになってしまいます。

もちろん、長年使ってきて有名になっている場合など、所定の条件が整えば、相手方の出願が登録されないように導いたり、あるいは相手方の出願が登録になっても今までと同じように使用することができたりすることもあります。

しかしこれらは例外的なことですし、そもそもひと悶着あった上でようやく認められることなので、そこに至るまでに費用も時間もかかってしまいます。


商標も含めた知的財産の世界では、「先願主義」=先に出願した者が優先されるという原則のもとにルールが定められている


先に使用していた、というだけでは法律上保護はされません。大事な商品名であればコトが起きる前に商標出願を行い、未然にトラブルを防止することが大事です。
 
例えば、もし新しい企画住宅の商品名を世間に発表するなら、その前に商標登録を検討すべきでしょう。弁理士に依頼した場合、出願から登録までに要する費用は、条件によっても異なりますが、ざっくり約15万円です(1区分の場合。10年分の登録印紙代を含む)。

審査期間は現状12ヵ月程度要していますが、早期審査制度もあります。

自力で出願手続きされるケースもありますが、事業内容や実際の使用の仕方に照らして適切な保護が図れていない事案を目にすることもしばしばあります。

まずは専門家に相談することが最善です。

知っておきたい住宅業と知的財産は連載です。
次回記事はこちら 【連載2】会社名も商標登録を あさかぜ特許商標事務所


中山俊彦氏プロフィール

札幌と鎌倉に拠点を有する「あさかぜ特許商標事務所」代表弁理士。地域ブランド支援案件を多数手がける。ブログ「弁理士三色眼鏡の業務日誌」ほぼ毎日更新。


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連載一覧
知っておきたい住宅業と知的財産【連載】弁理士:中山俊彦
【連載2】会社名も商標登録を あさかぜ特許商標事務所
【連載3】“マルアール”は何のため?商品に“信用の証”を
【連載4】法改正で建築物・内装の意匠登録が可能に
【連載5】意匠法の改正が住宅業界に与える影響

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