※この記事は北海道住宅新聞の「知っておきたい住宅業と知的財産」という連載記事を転載しています。北海道住宅新聞はこちら
こんにちは!弁理士の中山俊彦です。
今回から、つい先日第1号の登録が出た“建築物の意匠・内装の意匠”についてお伝えしたいと思います。
意匠法とは?
「意匠」とは“外観形態のデザイン”のことを言います。
意匠登録とは、新しく考えたデザインを保護するための手段であり、意匠法という法律にその登録要件や手続、登録されるとどのような効果があるかが定められています。
もともと意匠法が対象としていたのは、『物品』のデザイン。つまり独立して取引対象となる有体の「動産」についての外観形態であり、「不動産」、すなわち建築物の外見や内装は法律の射程距離の範囲外だったのです。
意匠法の“革命的”大改正
ところが、イノベーションの促進とブランド構築に資する優れた意匠を保護するという観点から、この意匠法が大改正されました。
今回の改正は今まで経験した中でもずば抜けて大きく、“革命的”と言ってよいほどです。
その改正項目にいくつかある目玉のひとつとして、「建築物の保護」と「内装の保護」という2点が盛り込まれたのです。
改正法は令和2年4月1日から施行されており、その改正直後に出願されたものが、このたび登録されたということです。
登録された建築物の意匠
経済産業省のホームページで掲載されている、国内で初めての建築物の意匠は2点あります。
ひとつは⑭ファーストリテイリングの「商業用建築物」(意匠登録第1671773号)。もうひとつはJR東日本の「駅舎」です(意匠登録第1671774号)。
前者は横浜にあるユニクロパークとして実際に建設されており、後者は上野駅公園口の駅舎として実際に利用に供されています。
登録された内装の意匠
同様に経済産業省のホームページで掲載されている、国内で初めての内装の意匠も2点紹介されています。
ひとつはカルチュア・コンビニエンス・クラブ⑭の「書店の内装」であり(意匠登録第1671152号)、もうひとつはくら寿司⑭の「回転寿司店の内装」です(意匠登録第1671153号)。
いずれも、「経済産業省 建築物 意匠登録」で検索するとその登録になった意匠と実際の建物や店舗の参考写真を見ることができます。(続く)
知っておきたい住宅業と知的財産は連載です。
次回記事に続きます。 【連載5】意匠法の改正が住宅業界に与える影響
中山俊彦氏プロフィール
札幌と鎌倉に拠点を有する「あさかぜ特許商標事務所」代表弁理士。地域ブランド支援案件を多数手がける。ブログ「弁理士三色眼鏡の業務日誌」ほぼ毎日更新。
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連載一覧
知っておきたい住宅業と知的財産【連載】弁理士:中山俊彦
【連載2】会社名も商標登録を あさかぜ特許商標事務所
【連載3】“マルアール”は何のため?商品に“信用の証”を
【連載4】法改正で建築物・内装の意匠登録が可能に
【連載5】意匠法の改正が住宅業界に与える影響
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