Column いえズーム コラム

【連載2】会社名も商標登録を あさかぜ特許商標事務所


※この記事は北海道住宅新聞の「知っておきたい住宅業と知的財産」という連載記事を転載しています。北海道住宅新聞はこちら

こんにちは!あさかぜ特許商標事務所の弁理士、中山俊彦です。

第2回は、これもご相談でありがちな「法人登記と商標登録」についてお話しします。

法人登記と商標登録

「会社名って商標登録する必要あるの? 登記してるんだからそれで十分じゃないの?」というご質問をいただくことが、しばしばあります。

なるほど、商号が法務局で登録されているのだから、別にその社名を名乗ることに何も問題ないじゃないか、と。

でも、その考えはちょっと、いやかなりキケンです。


社名は法人登記だけでなく、商標登録もしていないと、商売で使えなくなる可能性がある(写真はイメージ)


登記と商標登録は、まず管轄が違います。前者は法務局、後者は特許庁が管轄です。法人設立にあたって登記は必須のステップですが、法務局は法人として確かに存在することを担保してくれるに過ぎません。
 
一方、商標登録がされると、登録を受けた商品/サービスについて、自分は独占的にそのマークを使用することができるようになりますし、他人に対し同一または類似のマークの使用を禁じることができます。また、その後に出願された他人の出願に対しても先願として機能するため、抵触する範囲で他人の商標権は発生しないことになります。

このように、商標登録を受けることで、いわば商売における自分の“縄張り”を確保し、紛らわしい他者を寄せ付けないことができます。他人の自由を適法に制限するという、実は大きな効果が商標登録にはあるのです。

さらに会社名も、商標登録を受けることが可能です。もし自社の業務分野において、赤の他人が自社の社名について商標登録を受けてしまったら…?

そう、“自社の社名なのに商売でその名前を使えなくなってしまう”という事態になるのです。実際に、他人の登録商標と似ている社名を採用してしまったため、開業したばかりなのに社名変更を余儀なくされた企業もあります。

ですので、多くの企業は自社の社名(“ハウスマーク”ということがあります)については商標登録により保護をしています。「これまでトラブルになったことも無いから大丈夫大丈夫!」と思っていても、たまたまバッティングしている相手が知らないだけかも知れません。

なお、自社の社名に似たような商標登録があるかどうかは、J-PlatPatというサイトで簡単に調べることができます。

知っておきたい住宅業と知的財産は連載です。
次回記事はこちら 【連載3】“マルアール”は何のため?商品に“信用の証”を


中山俊彦氏プロフィール

札幌と鎌倉に拠点を有する「あさかぜ特許商標事務所」代表弁理士。地域ブランド支援案件を多数手がける。ブログ「弁理士三色眼鏡の業務日誌」ほぼ毎日更新。


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連載一覧
知っておきたい住宅業と知的財産【連載】弁理士:中山俊彦
【連載2】会社名も商標登録を あさかぜ特許商標事務所
【連載3】“マルアール”は何のため?商品に“信用の証”を
【連載4】法改正で建築物・内装の意匠登録が可能に
【連載5】意匠法の改正が住宅業界に与える影響

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