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「経年変化も味わいたい」思い出の家をリノベーション/帯広市Y邸 水野建設


帯広市内の閑静な住宅街に建つY邸は、十勝産のカラマツをふんだんに使い、自然を感じられる空間が魅力。「元々あるものを生かしたい」と、ご主人が育った家を改築したリノベーション住宅です。

想いを共有できる建築会社と出会い理想の家が完成するまでに4年の歳月をかけたというY様ご一家に、家づくりのストーリーと住み心地を伺いました。

一目で惹かれたカラマツの外壁。思い出の家の柱を引き継ぐ



縦張りにしたカラマツの外壁が落ち着いた印象のY邸。築30年以上になるご主人の実家の、基礎と柱などの骨組み(躯体)を残してリノベーションしました。ご夫婦と二人のお子さんが暮らしています。



リノベーションといっても見た目は新築同然です。玄関ポーチの柱とタイルは改修前の家のものを利用、家の歴史を引き継ぐと同時にヴィンテージ感も醸し出しています。もちろん費用も抑えました。



「見学会で見たこの外壁が気に入って」とY様。施工は十勝産カラマツを使用した住宅を数多く手掛ける音更町の有限会社水野建設です。あえて塗装はせず、天然成分を使った木材保護剤であるウッドトリートメントで自然な色味に仕上げました。

「使えるものを大切にしたい」。想いをしっかりと受け止めてくれた



家の中に足を踏み入れるとまず感じるのが、清々しい木の香りと柔らかなぬくもりです。床と天井の一部にカラマツの無垢材を使用、ナチュラルでモダンなインテリアがその温かみある色合いを引き立てています。左手奥はお子さんのプレイスペース、右手はキッチン・ダイニングと、空間がなだらかにつながる造りです。



こちらのお宅、元々はご主人のお父さんが建てられた家でした。「長く住むならどこかで建て替える必要が出てくる」と改築を検討したのが4年前。

一度は他の住宅会社と契約直前まで話を進めたものの、「改築ではなく新築でどうか」と提案され、どこかすっきりとしない想いを抱えていたのだそう。契約成立には至らず、話を白紙に戻しました。


使い勝手を重視して選んだシンプルなステンレスキッチン

使い勝手を重視して選んだシンプルなステンレスキッチン


住宅会社にとって、新築よりリフォーム・リノベーションの方が積算・工事管理などの難易度が高いこともあり、住宅会社の提案によって、古い家はまだ使えても壊して建て直されるケースが多いのが現実。そんな中、「利用できるものを無駄にせず大切にしたい」というY様ご夫妻の想いを理解し応えてくれたのが水野建設でした。


元の家の屋根を利用したという天井の形がユニークな2階の寝室

元の家の屋根を利用したという天井の形がユニークな2階の寝室


初めは施工事例のカラマツの外壁に惹かれたというY様。話を聴きに行き、考え方の部分でも水野建設に魅力を感じたのだといいます。

「性能のしっかりした建物に長く大切に住んでほしい」

そんな水野社長の考えは、Y様もまた家づくりにおいて重視していたものでした。「改築に対する想いやこれまでの経緯も丸ごと受け止めてもらいました」とご主人。話はトントン拍子に進み、契約に至りました。



リノベーション前の家は、基礎の断熱性能が低く、足元の寒さが悩みでした。リノベーションによって、床下に断熱材を新たに敷き込み、さらに無垢の床材の中には空気層があるため、足裏の体感も暖かくなりました。

古い梁を残す過程で生まれた折り上げ天井も、個性的な表情として気に入っているそう。思い出の家がしっかりと新居に生きています。

「シンプル」を求めた結果の上質感


リビングの奥には洗面所が

リビングの奥には洗面所が


「水野社長とは、どこにお金をかけるべきかという点でも意見が一致していました」。Y様ご夫妻の希望は「器はしっかりと性能よく使いやすいものを、内側は華美なものを求めずシンプルに」。その希望通り、デザインや内装は素材の良さを感じさせるシンプルなものを選びました。



水回りの床はご夫妻の要望によりタイルに。洗面台は造作です。



お手洗いも、無駄を省き簡素でお手入れがしやすくなっています。



2階へ続く階段は手摺もカラマツで作成しました。握るとさらりと柔らかな感触です。シンプルな内装ですが、確かな上質感があります。



2階にはフリースペースとして多目的に利用できるホールとふたつの子ども部屋、寝室があります。こちらは主寝室。



扉の脇はウォークインクローゼットになっています。
「施工事例を見ていたので、デザインセンスには信頼がありました。ああしたい、こうしたいと伝えなくても自然と理想の形になった」とご主人。壁はオガファーザーという天然素材の紙クロスを使用し、深呼吸したいような心落ち着く空間になりました。

断熱性能はトップクラス「古びても愛せる家」に長く暮らす



家づくり検討当初より価値観や想いを共有されていたY様ご夫妻。「木の家は古くなってもみすぼらしくなるのではなく、味わいが出てくる」とカラマツの家の魅力を語ります。無塗装のカラマツの家は一般的に雨の当たる外壁は色が薄く、日光の当たる室内の床はより赤みを増していきますが、「古くなったから新しいものに替えるというのではなく、経年変化を味わいたい」と、家とともに時を重ねることを楽しみにされているようです。



足には柔らかで滑りづらく、お子さんものびのびと走り回れるカラマツ無垢材の床。転んだり物を引き摺ったりすれば傷つくこともありますが、「それもいい」とおおらかに捉えています。



キッチンには、冬の屋外の冷気を利用できる食品庫を設置。季節により温度は変化しますが、電気を使わずに低温での保管ができます。



メインの暖房として使用しているのはデンマークのmorso社の薪ストーブです。冬でも夜に薪をくべれば朝まで暖か。補助暖房としてエアコンも設置しましたが、朝8時くらいには差し込んだ日光で部屋が暖まり始めるため、活躍の機会はそれほど多くありません。



ストーブの背面にはナチュラルな印象の札幌軟石を使用。階段下を薪スペースにして、ダイニングに面した薪ストーブ前面はすっきりさせました。

水野建設は薪ストーブの設置に慣れており「このくらいの面積ならこの大きさで十分」など購入時のアドバイスも万全だったようです。



Y邸は壁に200ミリの断熱を入れ、窓はトリプルガラスを使用。ブラインドも断熱仕様のものを入れており、Ua値は0.24、C値は1.0と十勝でもトップクラスの断熱・気密性能を備えた住宅です。取材は12月と冷え込む時期でしたが「冷気は感じませんね。1月が楽しみ」とご夫妻も肌でその暖かさを感じておられるようです。

古い家の躯体を利用するリノベーションというと耐震性能を心配する方もいるかと思いますが、梁や柱などの入れ替えや金物の設置、床や壁を合板で施工するなど、耐震性能、耐久性能は十分な品質に仕上がっています。

元々住宅の性能には定評のある水野建設。「長く暮らせる家を」というご夫妻の想いにしっかりと応える家づくりとなりました。

打ち合わせはじっくりときめ細やかに。深い満足につながった信頼関係



家づくりでは住宅会社との関係や相性も重要なもの。その点ではどうだったのでしょうか?

「水野社長は家づくりについてしっかりした考えとこだわりを持った方。実(じつ)のある方だと思います。一方では話しやすさもあり、打ち合わせが盛り上がることもよくありました」とご主人は相性の良さを感じていたよう。

打ち合わせには水野社長の他に社長のお嬢さんである円(まどか)さん、早智さんも参加、3Dのパース(イメージ画像)を見せてくれたり、お子さんの遊び相手になってくれたりときめ細やかなサポートがあったそうです。



設計や内装などについてこまめな提案をしてくれた水野円さんと。「いただいた提案が夫婦の話し合いのきっかけになったり、考えがまとまったりすることもあった」と、家づくりのヒントをたくさんもらったのだとか。


造作で作ってもらった断熱仕様の郵便受け。リビングルームの雰囲気に溶け込んでいます

造作で作ってもらった断熱仕様の郵便受け。リビングルームの雰囲気に溶け込んでいます


打ち合わせは月に2回ほど、時には3~4時間に及んだこともあったといいます。一見雑談のような話も、想いを共有するためには大切だったとご主人。しっかりと建主の価値観や想いを理解してから家を建てるスタイルに、信頼の中で家づくりを進められたようです。



家に合わせて作ったという造作のダイニングセットでくつろぐご家族。住み心地を訊ねると「木に包まれている心地よさと落ち着きを感じます」とご夫婦のどちらからも深い満足の言葉が返ってきました。

取材中も元気いっぱいだった子どもたちへの温かな眼差しが印象的だったY様ご一家。そこには自然のぬくもりと大事に暮らしてきた古い家の思い出とに包まれた、穏やかな家族の時間がありました。

写真 Commercial Photo / Movie  SWITCH


2021年02月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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