北海道の一戸建てで暮らす人たちにとって、冬の雪対策は大きな課題です。敷地内に溜めておける雪の量には限界がありますし、そうした場所の確保すら困難な狭小土地も多くあります。札幌・近郊では2024年1月時点で、個人宅を対象とした排雪業者の小型トラック1台分の搬出作業は1回につき5,000円前後が相場のよう。年間契約だと10回で4万円~5万円ほどというサービスをよく見かけます。これが20年以上続くと、排雪だけで80~100万円かかる計算です。それなら、初期費用がかかってもロードヒーティングや融雪槽をはじめとする融雪システムを検討したいという方も多いのではないでしょうか。最大のメリットは敷地内に雪を残さず、いつもすっきりと保てることです。さらにランニングコストが抑えられれば、家計にも負担がかかりません。今回は、そうした融雪システムの中でも、家庭から出る排熱や地下水などを利用した、エコで省エネな融雪システムについて過去の取材事例からピックアップしてお届けします!
決め手の一つは融雪システム。「街中の住宅街ではとても重宝しています」 札幌市東区/白田建築事務所
玄関横をはじめ、カーポートの横や裏庭も素敵にガーデニングをしているのはお母さん。以前暮らしていた家も比較的街中にある一戸建てで、その時はロードヒーティングを採用していたそう。
お母さん 街中の住宅街では、除雪が大きな課題です。ロードヒーティングは燃料費がかかりますが、白田さんの融雪システムは、室内換気の排熱だけを活用して雪を融かすエコで省エネなシステム。これだ!と思い、すぐに問い合わせました。
それぞれの好みを反映した延床53坪・街中の二世帯住宅 札幌市東区
地下水を使ったエコな融雪槽 石狩市F邸/シノザキ建築事務所
石狩市のF邸。外装には無害で再塗装の要らないウッドロングエコにどぶ漬け塗装した屋久島地杉を使っています。広い駐車スペースの右手前に見える蓋は融雪槽です。
写真右:建物右側面にある地下水をくみ上げるポンプ槽。このポンプから地下水が融雪槽に送水されます。
左/融雪槽の蓋を開けると、中は地下水が噴射されています。冬はこの地下水を使って融雪を行います。
右/地下水が入る前の融雪槽。内部は半径120cm・高さ150cmの大容量です。融雪槽の内側には不凍液を入れた架橋ポリエチレン管がグルグルと巻き付けられています。架橋ポリエチレン管は建物の床下へとつながっています。
地下水でエアコン+融雪の快適エコハウス 石狩市F邸
室内の排熱を利用した融雪溝 札幌市O邸/晃和住宅
冬の除排雪は、室内の排熱を利用した融雪溝があるので便利。「去年10月から住み始めていますが、業者に排雪を一度も頼んだことがありません」とOさん。「雪を高さ1.5m近くまで積んでおいても、放っておけばゆっくりと雪がなくなっていくので手間もお金もかかりません」と喜んでいます。融雪溝は融雪槽のように深くないので、メンテナンスがしやすく、小さな子どもがいても安全性が高いことも気に入ってるそう。
アウトドア感覚で住むDIYしやすい木の家 札幌市・Oさん/晃和住宅株式会社
排気を活用して雪を融かす、換気排熱の融雪槽 札幌市能代邸/白田建築事務所
家の前には、排気を活用して雪を融かす、換気排熱の融雪槽もしつらえました。 冬はカーポートの前の雪をここへ落とせば、エネルギーをかけずに雪を融かすことができます。
ローコストで実現!カフェみたいにお洒落なマイホーム/白田建築事務所
電気代タダの融雪槽 札幌市Y邸/白田建築事務所
カーポート前には、ランニングコストがゼロになる融雪槽を設置しました。これは、換気システムの排気熱を利用するもので「タダで雪がどんどん溶けるんですよ!」と、お父さんも感激の様子。
建築時の費用もそうですが、コンスタントにかかる光熱費もローコスト。お財布にも優しい、白田さんの腕が存分に生かされた二世帯住宅です。
電気代が建替前の3分の1!お財布にもエコな二世帯住宅/札幌市・Yさん、Uさん
2024年01月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。