おしゃれな木製カーポートに、ホワイトのガルバリウム×木の外装がモダンなEさんのお宅は、ご夫婦+お子さん2人と、奥さんのお母さんが暮らす2世帯住宅です。
設計は白田建築事務所(札幌市手稲区)。普段は構造用合板を現しにするなど、素朴で素材感あふれる設計が多い白田さんですが、E邸はオーナーの好みを反映した壁紙の使い方や、インテリア計画も見どころだそう。
白田さんと奥さん、お母さんにお話を伺いながらお宅を拝見します。
決め手の一つは融雪システム。「街中の住宅街ではとても重宝しています」
玄関横をはじめ、カーポートの横や裏庭も素敵にガーデニングをしているのはお母さん。以前暮らしていた家も比較的街中にある一戸建てで、その時はロードヒーティングを採用していたそう。
お母さん 街中の住宅街では、除雪が大きな課題です。ロードヒーティングは燃料費がかかりますが、白田さんの融雪システムは、室内換気の排熱だけを活用して雪を融かすエコで省エネなシステム。これだ!と思い、すぐに問い合わせました。
色んな会社さんに話を聞きましたが、プランや予算面でも納得できたので、白田さんにお願いすることにしました。
赤い木製の断熱ドアが板張りの外装にぴったり。中を拝見するのが楽しみです。
まるでインテリア雑誌のよう!ナチュラルテイストな1階・お母さんのスペース
まるでインテリア雑誌に出てくるような住空間。こちらは1階・お母さんの居住スペースです。
収納を備えた仕切り壁で、キッチンとテレビスペースを緩やかに分離しています。
使う家電や収納類を吟味して作ったキッチン。吊り収納は上部に空間をつくり、仕切り壁の上部もオープンにして、開放感を演出。吊り収納の扉は有孔ボードのように穴をあけて、細部までこだわっています。
ソファに座るとこんな感じ。壁のタイルもいい雰囲気です。この左手に、浴室、洗面室、寝室が配置されています。
窓際の畳スペースにはお仏壇が備えてあります。その横には着物の和ダンスも。洋風テイストに合わせた和の設えが見事です。
「ただいまー!」小学校1年生の息子さんが元気に帰宅。写真に納まってもらいました。
インダストリアルで暮らしやすい・2階ファミリースペース
2階に上がると雰囲気が一転。こちらはインダストリアル・モダンに仕上がっています。
白田さん ポイントは勾配屋根を生かした高い天井です。ベランダには大きな窓を付けて明るさと開放感を出しました。
これだけダークトーンな壁紙を使ったら、天井が白ではバランスが取れないなと思い、傾斜部分以外はグレーの壁紙を使ってみましたが、正解でした。
ベランダは腰壁+屋根もかかっていてプライベートな空間として重宝しているそう。
奥さん 焼き肉をする時も、外の視線が気にならないので、気軽にアウトドアが楽しめます。
キッチンは奥さんが一番こだわったスペースです。
白田さん キッチンはリクシルの既製品ですが、天板だけバイブレーションのステンレスに替えてもらった特注品です。
向かって左から作業カウンター、背面収納、食品庫。全て使い方を細かくヒアリングしてつくった造作による一点ものです。
奥さん ブラックの壁は外装用のガルバリウムなんです。プリントを貼りたいと言ったら、白田さんが提案してくれました。子どもたちの連絡関係のプリント類が多いので、とても助かっています。
左 コンクリート打ちっぱなし風の壁紙で、まるでダイナー・カフェのようなダイニングスペース。
右 ダイニング奥には洗面室、浴室がつながっています。
剣道一家の活動を支える玄関横のクロークに注目!
玄関に入ると左手にクローク、右手にお母さんの居住スペースが配置されており、正面の階段から2階に上がります。
ファミリー玄関も兼ねたクロークは約5帖大!娘さん家族は全員が剣道をやっており、剣道着や袴、面や竹刀の収納場所が必須でした。
奥さん ここで支度や片付けができるようになり、練習に出かける時も、帰宅時も、とてもスムーズに動けるようになりました。
白田さん この空間は必須だったので、お母さんの居室部分がその分コンパクトになっていますが、仕切り壁に開口部をつくるなど、オープンにすることで実際よりも広く感じられるLDKになりました。
お母さん 新築を機に、自分が暮らしやすいスペースにしたいと思っていました。コンパクトだけど一人暮らしにはちょうど良い広さで、使いやすくて気に入っています。
記者の目
お母さんと娘さん家族が、それぞれに好みのスタイルを実現した1棟。「希望を細かく伝えてもらえたので、とてもやりやすかった」と白田さんは話します。
お母さんの手によってカーポートの脇や裏庭まできれいに植栽されており、希望のマイホームでの暮らしを楽しむ息づかいが伝わってきました。
2023年07月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。