札幌市・北区にあるKさん邸は、落ち着いたオレンジと黄土色のツートンカラーが印象的な家です。外は大雪で冷え込んでいましたが、ドアを開けるとホワッとした暖かさ。そして“見晴らしがいい”リビングの空間が広がっていました。
1月の光熱費が2万円以下に!
「1階は部屋を区切らないで全部リビングにしたんですよ」とKさん。そこでは休日で小学3年生の息子さんと2年生の娘さんがくつろいでいました。「新しい家、どう?」「前は寒かったけど、今はあったかいよ」。それまでは、隣にある奥さんのご両親が所有していた家に住んでいたそうです。「新しい家は、掃除をしていると少し暑くなってくるほどなんです」とKさんが言いました。
「この家は地中熱ヒートポンプとエコキュート(空気熱ヒートポンプ)を採用しています」白田さんが説明してくれました。「地中熱ヒートポンプは地下100メートルほど掘ってパイプを通し、不凍液を循環させるんです。地上に比べて地中の温度は年中ほぼ一定なので、冬は地上より温度が高く、夏は逆に低いんです」。
つまり、自然の熱で冬は暖房に、夏は冷房に使用できるシステム。CO2排出の大幅な削減にもなります。給湯は『空気でお湯を沸かす』エコキュート。2つの省エネ機器の採用と次世代省エネ基準を上回る断熱性能のおかげで、今年1月の電気代は2万円を軽く切っていたそうです。暖房、給湯、調理もすべて含んだ金額ですよ。
建築士に頼むと高くつく?
きっかけは「大型ショッピングセンターに出かけたとき、たまたま住宅関係のイベントをやっていたんです。"地中熱"と書かれたブースがあって、何だろう?と」とKさん。奥さんは「私は"質・素に暮らす家"というフレーズに惹かれました。やはり予算があるので」。
そこが白田建築事務所のブースでした。「とても話しやすそうな方だなあと思って、説明を受けていたら1時間以上もたっていたんですよ」と奥さんが笑います。それまで本格的に家づくりは考えていなかったというKさんご夫妻ですが、帰り道「あの人に頼みたいね」と意見が一致したそうです。
「ハウスメーカーは頭になかったです。高いから」と奥さん。そんなご夫妻が気になったのは、やはり設計料のこと。白田さんは「建築費の1割弱ですね。あとは相談に応じます。」。設計費も含めた建築費の見積も希望の枠内に納まり、契約となりました。
内装やインテリアも納得いくまで
白田さんは、工事の発注から現場監理も手がけています。住宅設備もKさん夫妻と各社ショールームへ同行して決めました。「行くたびにキャンペーンをやっていて安くなるんですよ。自動水栓がついてきたりとか」とニヤリ。また、奥さんはシンク下部の収納部分は要らないと考えていましたが、それも白田さんのアドバイスで一部取り外しできるタイプを選ぶことができました。
奥さんが話します。「わたしと主人とでは意見が合わないことが多いんです。でも、内装やインテリアまで白田さんが専門家ならではのアドバイスをしてくれるので、ひとつひとつをお互い納得して決めることができました」。
どこにコストをかけて、どこを削るか
印象に残ったアドバイスは、「将来も取り替えないと考える部分は、ちょっと贅沢をしてもいいのでは」だそうです。「例えばキッチンやお風呂、トイレなどですね。やはり一生住む家だからこそ"なるほど!"と思いました」。
一方で、「いつでも替えられる」ものとして、2階は耐震性を高めるOSB合板を壁の仕上げ材として見せています。コストを削減しながらウッディな温もりが感じられます。
「驚いたのはですね、」と思い出したようにKさんが言いました。「建てた家から出た廃材がとても少なかったんですよ」。白田さんは「大工さんがそのように心がけているんですよ」と言いながら、実は端材が出ないように設計段階から工夫していることを明かしてくれました。建てるときからエコなんですね。
奥さんも「それを見ていて、わたしも元の家にあったものをどうやって捨てずにこの新しい家に入れるか考えるようになりました」。おかげで、古い家から引っ越すときのゴミもあまり出なかったそうです。
エコロジーでローコスト、それでいてオーナーの希望を細部まで叶えた家に「白田さんに頼んで大正解でした」とKさんご夫妻はうなずいていました。
記者の目
ふつう、家を建ててもやはり多少の不満は出てくると聞きます。それでも出来上がった以上は「仕方ないな」と思って住み続けてしまうもの。だからこそ、Kさん邸のように家をつくりながらきめ細やかなアドバイスやフォローが得られるのはとても貴重なのではと感じました。
2010年03月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。