Story 取材記事

家族で壁の塗装にトライ!手作りの味をプラスした省エネハウス

庭のある古い家が建ち並ぶ住宅街の一角にこの秋完成した渡辺邸。ナチュラルテイストのインテリアと使いやすさを追求した造作家具が自慢の住まい。オーナーの渡辺さん夫妻と設計者の白田智樹さん(白田建築事務所)にお話を伺いました。

無垢のフローリングが心地良いオープンな空間

141109shirota_5948_cct_rs.jpg 柱・梁を表しにした明るく開放的な室内。絶景ポイントに設けた窓から見える紅葉はもう終わりに近づいていましたが、家の中は春の日だまりにいるような暖かさです。 141109shirota_0102_ccs.jpg 「前のアパートはこの時期かなり冷えましたが、今は日中暖房を止めても快適に過ごせます。少し動くと汗ばむくらい」。くつろいだ表情で1ヵ月前に入居したばかりのマイホームの住み心地について語るご主人。無垢のフローリングの肌触りが気持ち良くて、いつも裸足だそうです。隣で遊んで欲しそうにしている息子さんも裸足で元気。 141109shirota_5869_ccs2.jpg 「子供のために素足で思い切り走り回れる間仕切りのない家を、と思っていました」。前のアパートではあまり走ったり、飛び跳ねたりしなかった息子さんですが、新しい住まいで暮らし始めてから見違えるほど活動的になりました。たまに元気すぎて叱られることも。「狭いところで騒いじゃいけないと子供なりに感じていたのかな」。奥さまもお子さんの変化が何より嬉しいようです。 141109shirota_0135_CCr.jpg  

料理好きなご主人の意見も採り入れた機能性抜群のキッチン

壁にクロス(壁紙)を張らず、構造面材をそのまま現しにして生かした渡辺邸。どんなテイストの家具とも相性が良さそうなシンプルで暖かみのあるデザインです。「壁は家族と親戚総勢10数名で1日半かけて塗装しました。ちょっとムラがありますが...」。天井付近を指さすご主人。手作業ならではのザックリとした質感がこの家の持ち味をさらに引き立てています。 141109shirota_5929_ccs.jpg 光の見え方まで計算して設計された間接照明や丁寧な造りの造作家具からも住む人のこだわりが伝わってきます。見どころはレンガタイルをあしらったキッチン廻り。共働きで奥さまに代わってご主人が食事の支度することもあるため、夫婦双方の意見が反映されています。奥の方にしまったものを取り出しやすいよう、食器棚の棚板をスライド式にしたのはご主人の希望から。   吊り戸棚には奥さまが嫁入り道具として持ってきた茶だんすの扉が使われています。「思い出があるものだから大事に残しておきたい」。奥さまの気持ちを汲み、白田さんが「リメイク」を提案しました。   141109shirota_5907_cc_syusei.jpg朝日が入る洗面スペースもこの家の自慢。横長の窓からのぞく木の梢が季節の移り変わりを教えてくれる、ちょっと贅沢な空間です。シャンプーの買い置きやバスグッズなど散らかりやすい小物は洗面台の横にある大きな棚にスッキリ収納。女性にとっては自然光の中で椅子に座ってメイクできるのがいいですね。  

建て主としての自覚を促した白田さんのアドバイス

「何かあった時、すぐに対応してくれる腕の確かな地元の工務店さんに家づくりをお願いしたかった」という渡辺さん夫妻。「札幌良い住宅.jp」でさまざまな住宅会社、建築家の記事を読み、考え方の近い会社をピックアップし、検討を重ねて白田建築事務所を選びました。   141109shirota_0068r2.jpg決め手は顧客と真摯に向き合う建築家としての姿勢と親しみやすい人柄。息子さんもあっという間に仲良しになってしまいました。「引き出しをたくさん持っている方だなぁと。『家を建てるのは僕じゃなく渡辺さん。そのお手伝いをするのが僕の仕事』。この言葉が心に残っています」。白田さんの一言でご主人の中に「施主である自分たちが主体的に家づくりに取り組まなくては」という意識が芽生えたといいます。さらに、「遠慮しないでこちらの考えた事を伝えていいんだ」と思えて家造りを一緒に楽しめたそうです。

お子さんがまだ小さいので「室内に暖房器具のない全室床暖房に惹かれた」とも。熱源は灯油を選択しました。このほか、地中に埋めた配管内で冷たい外気を暖めてから室内に導入するアースチューブや換気排熱を利用した融雪槽など省エネのための工夫がいっぱい。

「白田さんの事務所で夜遅くまで打ち合わせしました。たくさんの要望にいつも親身に応えて頂いて」とご主人。一方、奥さまは「細かいことばかり言う迷惑なお客さんだったんじゃ...」と心配そう。

そんな渡辺さん夫妻に白田さんはこんな言葉を返しました。「どんな家を望んでいるのかを詳しく伝えて頂けるのは設計する側にとってありがたいこと。困るのは『全てお任せします』という方です」。

記者の目

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「上棟式の餅まきもいい思い出」と渡辺さん夫妻。ご近所に手作りのチラシを配ったら、相当遠くに住む人も集まってくれたそうです。そこからお付き合いが始まった方も。
最近では予算等の関係で省略されることが多い日本古来の家づくりの儀式。地域の人たちとのネットワークを築く上での第一歩という側面もあるのですね。

2014年12月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

白田建築事務所の取材記事