Column いえズーム コラム

冬の停電でも灯油さえあれば暖をとれる 石油暖房の家(2023年版)


2018年の胆振東部地震では、北海道全域で史上初めて大規模停電・ブラックアウトが発生しました。
停電が続き、あらゆる家電が使えない中、みなさん一度は「もしこれが、冬に起きていたら」と考えて、背筋が凍る思いをしたはずです。
2022年12月25日には、暴風雪の影響でオホーツク地方を中心に最大で1万9000戸余りが停電しました。

そんな“もしも”の備えになるエネルギーが「灯油」です。灯油は自宅で備蓄可能で、電源不要のポータブルストーブの燃料としても活用できます。また、そんな災害に強い灯油暖房を採用した住宅をまとめました。


目次



赤坂建設が「LPガス発電機による自家発電」ができる家づくりをされていたのは知っていたので、災害への備えとしてそれも要望しました。そういえば今朝も地震がありましたが、家の中にいて地震の揺れに気付きませんでした。新居になって家の前を車が通っても振動や音はほとんど感じなくなりました。



主暖房は温水パネルヒーターで高効率石油給湯器「エコフィール」を使っていますが、炎が見えたほうが良いという母の要望でリビングにFFストーブも置いてもらいました。
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オープンキッチンが映える二世帯住宅 網走市Oさん/光輝建設



Oさんのお住まいは、2人目のお子さんが生まれたのを機に中古の平屋を2階建てにリノベーションした2世帯住宅です。2019年11月から工事が始まり、2020年4月に完成。Oさんご夫妻と2人のお子さん、奥様のお母様の5人家族で新しい暮らしをスタートさせました。

Oさんがリノベーションにあたって要望されたのは、それまで住んでいたアパートが寒かったことから、まずは“暖かい家”であること。そこで断熱施工は光輝建設の規格住宅『夢育の家』と同等の仕様を採用。外壁は柱の間に高性能グラスウール100mmを充てんし、その外側に高性能フェノールフォーム(ネオマフォーム)を外張りした付加断熱で、天井にはブローイング断熱材を400mm、床は高性能グラスウール150mmと現場発泡ウレタン30mmを施工。オープンなLDKは灯油ストーブ1台で快適な暖かさを保っています。
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子供たちものびのび暮らせるコテージ風の家 札幌市M邸 晃和住宅



ご家族がいちばん気に入っているのは、W断熱方式を施した家の暖かさ。前の借家は、古いこともあってストーブを置いても寒く、朝は息が白く見えるほどだったとか。Mさん邸は灯油を使った床暖房を採用。家じゅうが暖かいだけでなく、最も寒い月の暖房費が半分で済んだのもうれしいといいます。
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旭川の隣、東川町で小岩組がモデルハウス公開



モデルハウスのカーポート兼物置も住宅部分と素材感を揃え、道南杉を外装に張っています。灯油タンクなども住宅の入り口側からは見えない位置に配置されています。
場所は北海道上川郡東川町キトウシ南2丁目。東川町と東川町土地開発公社が分譲する「ガーデンコートキトウシ2」という一区画の敷地面積が110坪を超える分譲地内に建っています。



ファミリー向けのプランで、1階はLDKと和室、水回りが中心で24.94坪。大きな吹き抜けもあり開放感抜群です。
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雪の悩み解消。豪雪地・岩見沢に建つモダンリビングの家



メインの暖房と給湯は灯油熱源。冬はパネル式セントラルヒーティング、春と秋はビルトインタイプの冷暖房エアコンと季節によって暖房方式を使い分けています。換気は排気のみを機械で行う第3種換気システム。

奥様の記録をもとに灯油消費量を計算したところ、厳寒期の12~3月のおよそ4ヵ月間で給湯を含めて約550リットル。生活臭が気にならない程度に換気量を減らしたり、送水温度を低く抑えるというお父さんの省エネアドバイスを元に、生活の工夫をしているそう。
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中古住宅リノベで広々&暖かなマイホームを実現/札幌市・Iさん ブレイン札幌



暖房については、リビングには温水暖房機能付きの灯油ストーブがあり、玄関やトイレなど寒さが気になる場所には温水回路を回してパネルヒーターを設置してもらいました。最近一気に冷え込みましたが、こうした設備のおかげで快適に過ごせています。
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プランは一発OK。信頼できる工務店で叶えたモダン住宅 帯広市H邸/カントリーヴィレッジ



本当に理想の家が出来上がり、そこに住んでいるという喜びがあります。お友達を招いた時にも褒めてもらい、とても嬉しかったですね。デザインが良い住宅会社でも、性能やプランの良さまで求められるかは分からないので、自分の目で見て、説明を聞くことが大事だと思いました。



プラン作成の際に優先順位が高かったのがバスルーム→ユーティリティー→洗面コーナー→ウォークインクローゼットが一直線に並んだ動線でした。
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参考記事:北海道だけでなく東北でも暖房が課題に

青森市民を寒さと光熱費負担から守る高気密高断熱住宅/青森市・柏谷邸



「青森市民は一冬に約90億円もの灯油を消費しています。自宅の暖房エネルギー消費量が日本一多いんです。青森より寒い札幌の人よりも暖房エネルギーを多く消費しています」

「これは青森のりんごやお米の農業収益にも匹敵する額です。青森市民が経済的に苦しい思いをしているとしたら、それは住宅の光熱費負担が家計を圧迫しているのが大きな要因の一つです」

柏谷邸の暖房機はリビングにあるストーブ1台だけ。床下に暖気を吹き込んで、家全体を暖める暖房計画になっています。
断熱気密性能が極めて高い住宅の場合、室内の熱が屋外になかなか逃げないので、小さな暖房機でも十分に家全体を暖められます。24時間自動運転ですが、晴れた日は日射で室内が暖められるので暖房機が止まっていることも多い状態です。毎月灯油を補充しにきてくれる燃料店のスタッフが、灯油タンクの小ささと、灯油の減りの少なさに驚かれるそうです。

エネルギーのベストミックス-まとめ



2011年3月11日に起きた東日本大震災のとき、特に大きな被害に遭った岩手・宮城・福島の3県を対象に行われたアンケートによると、「灯油は使用できた」と答えた人の割合は52.3%。他のエネルギーと比較すると、頭一つ抜けていました(LPガス36.9%、電気23.5,%、都市ガス9.4%.出典:石油連盟)。

北海道胆振東部地震では、電気以外のインフラに深刻な損傷はありませんでしたが、次に大きな自然災害が起こった時にも「大丈夫」とは誰にもわかりません。そこで必要なのが、電気・ガス・灯油というエネルギーの特徴を知った上でそれらを上手に使いこなすベストミックスです。

暮らしに欠かせないエネルギーを電気・ガス・灯油のいずれか1つに頼るのではなく、例えば暖房は灯油、給湯はガス、調理その他は電気というように、用途ごとにエネルギーを変えて利用するという考え方。それによって、万が一の時にもいずれかのエネルギーを使える可能性が高まります。



上の写真:ガスコンロがあれば簡単な料理をつくり、キャンドルライトで食卓を囲むことができます(胆振東部地震当日)。

2019年台風15号による千葉県の停電は長期間にわたりました。ただ、東日本大震災では電気の復旧は比較的速く、都市ガスは大幅に遅れました。どれかひとつのエネルギーに頼ってはいけない。それが大災害の教訓ではないでしょうか。

※企画・編集協力:石油連盟

この記事は連載です。

1 北海道の家の7割はセントラルヒーティング!その理由は?
2 北海道の住宅は灯油、電気、ガス? 暖房器具選びは?
3 停電でも灯油さえあれば暖をとれる 石油暖房の家(2023年版)

2021年01月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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