Story 取材記事

距離を越えた家づくり/千歳市・Kさん/白田建築事務所

価値観や生活スタイルが人それぞれに違っていれば、家のあり方もさまざまです。
もちろん建て方も…。オーナー体験談には家づくりのヒントやアイデアが潜んでいます。

生活を楽しむ家

shirota02_01.jpg 千歳駅から徒歩圏内の住宅地に建つK邸は、数ある住宅のなかでもひときわ目をひきます。外壁を囲むハードな印象のガルバリウム鋼板に、家の正面となる西側面は柔らかな雰囲気を作る杉板張りという出で立ち。西側2階に設置された大きな木製バルコニー下のテラスには自転車が2台置かれ、テラスを抜けると丁寧に手入れされた畑が広がります。  伺ったこの日は、植えたばかりの小さな野菜の苗が行儀よく並んでいました。 shirota02_02.jpg「朝5時、畑仕事から私の1日は始まります。この家では1日の時間が足りないほど、やりたいことが多い」とKさん。実用的でありながら生活を楽しむ家、Kさんと家とのよい関係が伝わってくるお宅です。   <写真上...2階に設置された大きなバルコニーの下は屋根つきテラスとなる。奥は家庭菜園  写真下...ヒバのよい香りが玄関に漂う。気密性の高い引き戸は株式会社コシヤマ(秋田県)製。>

 

遠隔地からの家づくり

shirota02_03.jpg 仕事で転勤生活が長かったKさん一家。定年退職後は、交通アクセスのよい千歳に家を構えたいと考え、10年前に現在の土地を購入。
 定年直後には新生活ができるように1年前から準備を始めました。そんな時、建築家紹介サービスで札幌にある白田建築事務所を紹介されました。
 「性能面、特に断熱を重視して建てるところにお願いしたいと思っていました。それまで建築家は価格が高いイメージでしたが、紹介してもらった白田さんは環境と性能を考えた家づくりに加えてローコスト住宅を手掛けており、何より『最後まで責任を持って作らせていただく』という姿勢が心に残りました」とKさん。しかし当時の赴任先は帯広と、遠隔地から家づくりをしなくてはなりませんでした。
 建設予定地から遠く離れた場所に暮らすKさんは、納得のいく家づくりをするには難しい状況でした。設計プランのなかで心配事ができた時、すぐに建築家と会って話ができない、施工中ひんぱんに現場に行くことができないなど...。そんなKさんはどのようにして<良い家>を手にすることができたのでしょう?
<写真...暗くなりがちな廊下は縦長の窓の設置により「日当たりのよさ」を実現>

建築家に伝えるカギ

shirota02_04.jpg 現在Kさん一家は、釣りが趣味だというご主人とインテリアがお好きな奥様の2人暮し。時折、独立した子供夫婦がお孫さんを連れて遊びに来るのが楽しみのようです。1階には子供たち家族が宿泊できるようにと予備室を完備。
 さらに隣の2畳の部屋はご主人用となっており、釣りの道具、旅行先や飛行機の写真、好きなCDなどを自作の棚にディスプレイ。夜には大好きな音楽を聴きながら釣りの仕掛けを作るなど、ゆとりの時間を満喫しています。
 <ふたりが快適に楽しく>Kさんの過ごしたい暮らしのイメージは明確でした。プランの要望も、「冬場暖かく過ごしたいので日当たりを確保したい」「2人暮らしのためコンパクトでローコストな家」「家庭菜園を作るため広い庭がほしい」など、はっきりしていました。「私も設計がやりやすかったです」と白田氏。
 奥様のこだわりは、玄関の「引き戸」。理由は「扉の開閉による無駄なスペースが嫌」ということでした。
「引き戸は気密性の問題で道内ではあまり普及しておらず、なかなか見つかりませんでした。それでも白田さんは、北海道の気候にも耐えられる引き戸を作っているメーカーを熱心に探してくれました」と奥様。
 青森ヒバがふんだんに使われた存在感のある引き戸は、玄関の土間としっくり馴染み、今ではこの家の顔となっています。そういったKさんのひとつひとつの要望に、白田氏は丁寧に応えてくれたと言います。

<写真...ご主人の部屋。「借家住まいで今まで自分の部屋が持てなかった」とKさん> 

「任せてよかった」理由

shirota02_05.jpg イメージは伝えたものの、建築中にKさんが現場を訪れたのは2回だけ、奥さまにいたっては完成後に初めてわが家を見たそうです。
「施工の不安がなかったわけではありませんが、白田さんは月に1回は帯広を訪れてくれて細かな図面や外部と内部の模型までも作ってくれました。それまでに白田さんが手掛けた家なども写真で見せてもらっていたので、完成後はほぼイメージどおりでした」とKさん。
 さらに白田氏は、床材や建具、システムキッチンやユニットバスなどを選ぶときには必ずショールームに同行し、Kさんの生活に合わせた使い勝手や耐久性に関するアドバイスをくれました。そういったKさんの不安にひとつひとつ親身に応えてくれたことがKさんの安心につながりなりました。
 要望を明確に伝え、あとは専門家である建築家に任かせることができたユーザーと、それに応えられた建築家。「お客さまからの期待と信頼を受けて建築中は私が一番不安でした」と白田氏。そう語った笑顔の先に責任感と達成感がうかがえました。

<写真...2階面積18坪には、リビング・ダイニング・キッチン・寝室・トイレ・浴室・ユーティリティ・納戸が無駄なく配置。ダイニングから出入り可能なウッドデッキやすべての空間が一体となっていることで、圧迫感を感じさせずに開放感を演出している>

2009年06月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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