自然な風合いが魅力の塗り壁は、人気の高い内装材のひとつです。塗り壁と一言でいっても、珪藻土や漆喰など色んな種類があるよう。少し整理してみたいと思います。
天然素材の内装材「塗り壁」の魅力
珪藻土
和風テイストで人気の珪藻土は海や湖などに生息していた植物プランクトンの死骸が蓄積した地層から採取されたもので、吸放湿性、保温性、断熱性に優れた素材です。北海道ではホタテの貝殻を再利用したものなども一般的になってきました。
漆喰
洋風テイストで人気の漆喰は水酸化カルシウム(消石灰)を主原料とした壁材で、石灰石を焼いた消石灰に、ノリやスサ(ワラくずなど)、水を加えて練ったもので、「呼吸する壁」と呼ばれるように調湿性に優れています。IEZOOMでは意匠性の高いジョリパットなどの施工例がよく登場しています。
ゼオライト
硬質ゼオライト鉱石を原料にしたゼオライトは、北海道・秋田・岩手・宮城・福島・島根で産出し、放射能の除染に使用されるほど有害物質の吸着性能が高い自然素材。調質機能にも優れており、近年人気の塗り壁材です。
このほか塗り壁には、土を使った土壁、砂を使った砂壁、紙繊維を混ぜ込んだ繊維壁などがあります。左官職人による仕上げが一般的ですが、室内ならオーナー自身がDIYすることで、思い出作りと費用削減が同時に叶います。塗り模様はスタッコ、おうぎ、コテ波、刷毛引きなどがあり、意匠を凝らし個性をだすことができるのも魅力です。それではいえズームが取材した室内に塗り壁を使った実例をご覧ください!
無垢の床に漆喰の壁と自然素材を惜しげもなく使ったLDK 帯広市/カントリーヴィレッジ
「かまくらのような窪みを」という奥様のリクエストでデザインされたニッチは、漆喰の質感と相まってやわらかな雰囲気です。
無垢の床に漆喰の壁と自然素材を惜しげもなく使ったLDK。「インテリアはinstagramなどSNSを参考にしました。素敵な写真がたくさんあるのであれこれ取り入れたくなりますが、私が情報収集して採用したい案を伝え、夫が冷静に全体のバランスを見る、とうまく役割分担できたおかげで、流行を追いすぎず長く愛着のもてるデザインになったと思います」
記事はこちら 自由度の高い家づくり。すみずみまでオーダーメイドの家/帯広市Sさん
手仕事のぬくもりを感じさせる漆喰の壁 帯広市/cubeチセ
玄関は、光が放射状に広がるドーム型の天井です。壁には下地としてレンガを貼り、漆喰を粗めに塗ったことで複雑な陰影が生まれています。
Oさん cubeチセを選んだ決め手は、可愛いだけでなく「本物」の良さがあると感じたこと。漆喰の壁や室内の木の質感、それからインテリアの組み合わせも自然で心惹かれました。
末守さん しっかりとした厚みをもたせて塗っているのがいいのかもしれません。塗り方は一般的なものからオリジナルのパターンまで何種類もあるので、現場でお客さん立ち会いのもと「この場所はこういう塗り方でどうでしょう?」と部屋ごとに打ち合わせをしています。
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家族みんなで仕上げた塗り壁 帯広市S邸/イゼンホーム
ホームセンターに勤めていた経験のあるというご主人は道具や素材に関する知識も豊富。こちらの寝室の壁は「モルモル」という手で塗れる塗料を使い、家族全員で仕上げました。白い塗料に墨汁を混ぜて色味を調節したという壁。気になる作業時間については「みんなでやったので一日で終わりました。墨汁は黒に見えますが、壁に塗ると少し青みが出ました」(ご主人)
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フワフワとした質感が魅力の「塗る壁紙」 当別町O邸/辻野建設工業
塗り壁はOさんご夫婦がDIYで仕上げました。毛糸をほぐしたようなフワフワとした質感が魅力の「塗る壁紙」、ヤマチコーポレーションのシルクプラスターを使っています。地元の染色家・小島柚穂さんのアートパネルとの相性も抜群です。
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ホタテ貝殻が主原料の塗り壁 美瑛町M邸/藤井光雄工務店
窓が大きく吹き抜けもあるので家じゅうが明るく開放感も十分。室内の壁や天井はすべて北海道噴火湾産のホタテの貝殻を主原料にした塗り壁で、明るく気持ちの良い環境です。
記事はこちら 京都からの移住者が美瑛に建てた省エネ住宅 藤井光雄工務店
ざらりとした風合いの仕上がりに 帯広市U邸/カントリーヴィレッジ
Uさん 朝日社長の作る家は間取りが抜群によかったんです。カントリーのデザインが好きだったというのもあるけれど、それ以上に使いやすさを感じる間取りに惹かれました。何度も見学に行く間に、この人にならすべてを任せることができるという信頼が生まれ、最後は「朝日社長の作る家に住みたい」という感じでした。
塗り壁はカントリーヴィレッジの事務所と同じ、ざらりとした風合いを感じさせる仕上がりになっています。
男前カントリー&防音スタジオの家/帯広市U邸 カントリーヴィレッジ
建て主さんも施工に関わった塗壁 名寄市/キタクラフト
ご主人「内装の時期は月に9回も塗り壁作業をしました。妻はお父さんが職人さんで、手伝いでセメント塗りをした経験者でもあったので上手でした」
奥さま「稚内珪藻土は塗りやすいですね。DIYは夫婦とも割と好きです。自分の家を自分で施工できるのは嬉しいですね。外構まわりもDIYをやろうと思っています」
2階トイレの塗り壁もこだわっています。
記事はこちら 快適で思い通りの家づくり 名寄市K邸/キタクラフト
場所によって異なるパターンの塗り壁仕上げ 札幌/SUDOホーム
それぞれの空間をつなぐブリッジ部分は珪藻土入りの塗り壁で、まるでギャラリーのよう。
塗り壁の仕上げも、ここはストライプが残る櫛引仕上げ、ほかは扇仕上げやコテで平らにならしたものなど、場所によってパターンを変えるこだわりぶりです。
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珪藻土塗り壁などの自然素材をふんだんに使った住宅 鹿追町外城邸/ソトシロ建設
室内の壁も、ふつうの家ではビニールクロスを使いますが、常務の自宅ではほとんど珪藻土塗り壁を使っています。調湿作用や消臭効果などが期待できるほか、色やコテムラのつけ方などで表情が変わり、デザインの変化もつけられます。家づくりの記念に、珪藻土塗り壁を塗るときに手形をつけました。
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アンティーク小物の似合う温かみのある質感の塗り壁 帯広K邸/cubeチセ(キューブチセ)
「ヨーロッパの片田舎に建つ使い込まれた住宅の何とも言えない味わい深さが好き」そう語るKさん。2019年春に、Kさんご一家のアンティーク小物が似合うシャビーでお洒落なマイホームが完成しました。
ホールを出ると、そこは大きな吹抜けのあるリビング。温かみのある質感の塗り壁、木製の手摺のリビング階段が趣のあるノスタルジックな雰囲気です。
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間接照明が豊かな表情を照らし出す塗り壁 江別市H邸/株式会社キクザワ
室内は調湿機能がある塗り壁をメインに1階は足ざわりの程よいナラ材の無垢フローリング、巾木は堅牢で木目が美しい道産タモ材を採用。
玄関に入ってすぐの位置にあるリビングルーム。ホールの裏側にあたる壁は、道産材原料の塗り壁をコテ塗りにし、柔らかな間接照明が豊かな表情を照らし出します。
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みんなで塗った手づくりの塗壁 千歳市石井邸/生杉建設
今回は千歳・生杉建設の石井良幸社長が2008年に建てたマイホームをご紹介します。石井邸は2008年に完成。格子窓や塗り壁の輸入住宅テイストは奥さまが雑誌などを見てイメージし、当時、工事課長だったご主人に相談して実現しました。
室内の塗り壁は家族と若手社員みんなで頑張って施工しました。左官職人さんの仕上がりとは違いますが、手作りしたからこその愛着、思い出もあります。
記事はこちら 千歳・生杉建設の家づくり―石井社長の自邸を例に
イメージにあわせて塗り方を変えた塗り壁 帯広H邸/ cubeチセ
塗り壁は、玄関ホールはあえてコテむらを活かしているのに対し、室内はローラーで凹凸を抑え、繊細なイメージに仕上げています。
玄関ホールの先は階段室があります。建具職人の造作による階段手摺りや塗り壁のコテ模様など、細部に気配りを感じます。
記事はこちら 居心地のよいダイニングをデザイン /帯広・H邸/ cubeチセ
塗り壁や自然素材をふんだんに使ったお家 旭川市N邸/藤井光雄工務店
今回ご紹介するのは旭川市内の見晴らしの良い丘の上に立つNさんのお宅です。Nさんはご夫婦と生後11か月になる息子さんの3人家族です。
設計・施工したのは旭川の藤井光雄工務店。外壁に道産カラマツや塗り壁、室内は珪藻土や無垢の床材など自然素材をふんだんに活用し、薪ストーブなど暮らしを豊かにするアイテムの提案で、温もりあふれる住宅提供を続ける会社です。
主寝室は屋根なりの勾配天井で開放感が抜群です。電球色の色味が塗壁にやさしく照り返され、癒される空間です。
記事はこちら 自然素材でつくるスタイリッシュ住宅 旭川市N邸/藤井光雄工務店
目次
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