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札幌近郊でスローライフ!田園風景広がるカフェ併設の家/白田建築事務所


目次

白田建築事務所で念願のカフェ兼住宅を新築したSさん。札幌から車で60分、のどかな田園風景が広がる長沼町でご夫婦が営むのは、そば粉をクレープのように焼き様々な野菜や肉類、ソースなどを添えていただく“ガレット”をメインにした「カフェ コフェル」です。



白田建築事務所とどんな家づくりをされたのか、Sさんご夫婦と設計をされた白田さんにお話をうかがいます。

畑や自然に囲まれた憧れのスローライフを実現



店内に入ると連続する大きな窓の向こうに広がる畑のグリーンが目に飛び込んできます。Sさんはご夫婦ともに本州の出身。カフェをやるなら「これぞ北海道」という景色が眺められる場所でやりたいと考えていました。



田舎でのスローライフはご主人たっての希望でした。ご主人は大学教員、奥さまはメーカー勤務とお二人とも勤め人で、やっと北国の街暮らしにも慣れてきた頃のこと。より雪深い田舎での暮らしに、奥さまは当初反対していたと言います。



奥さま「主人が運転中、大変な事故に遭ったことがあり、本当は転勤などの際に本州に戻るつもりでいましたが、そんな大きな事故に遭ってもこうして元気でいるのだと思うと、一度きりの人生、好きなことをさせてあげたいと思い直しました」。



古民家を改装してやりたいとも考えていましたが、ロケーションにこだわると、希望の物件はなかなか見つかりません。新築も視野に入れることにし、インターネットで調べていくうちに白田建築事務所のホームページにたどり着きます。


この冬までに、薪ストーブを設置する予定

この冬までに、薪ストーブを設置する予定


ご主人「OSBや天井材表しの構造や木の温もりが感じられる家づくりが自分たちの希望にぴったりだと感じ、すぐに連絡しました」。

白田さん「この場所を見て、この景色を活かしたい、Sさんご夫婦の希望を形にしてあげたいと思いました。壁や天井材を表しにするので、木の組み合わせや窓の収まりも配慮しました。店舗なので、天井高を2650mmと通常よりも250mm高く設定し、高さ方向も広がりを感じさせる設計にしました」

すべてトリプルガラス入りサッシを使い、窓面積が大きな1階も冬の寒さを感じにくい作り。全面に床暖房が入っているので、放熱器がなく、見た目がスッキリしています。

お店の雰囲気に合わせDIYでテーブルやランプを制作



OSBはもともと構造用材ですが、内装仕上げを兼ねることで費用削減につながります。しかも、アイアンや木を使ったインテリアとの相性が良いので、カフェや美容室などの店舗でよく使われるようになり、その雰囲気の良さから、住宅にも広く使われるようになりました。

Sさんご夫婦は、OSBの表面をサンダー掛けしてきれいに仕上げました。さらに店内にはご主人がDIYで作ったテーブルやカウンター、照明などがさり気なく使われています。



手前の2台のテーブル天板はご主人の作品。なんとDIYではじめて作った机がこの天板だったそう。とても上手に出来上がっています。



天井に這わせたガス管に配線してインダストリアルに仕上げたランプやシェードもご主人が友人と共に手作りしたものというから驚きです。



こちらは庭に面したカウンター席。2つの椅子に2つのランプ、まるで特等席のようです。窓の正面には小鳥のためのえさ場や小屋が作ってあり、食事をしながら野鳥の観察を楽しむことができます。



厨房の中もDIYで作ったものがたくさんあります。中央に設けた吊り下げタイプの棚もその一つです。なるべく費用を抑えたくて始めたというDIYですが、ご主人の腕前とセンスの良さには脱帽です。



女性用トイレは広々・バリアフリーで、跳ね上げ式手すりも付いています。「特にこだわった場所で、車椅子対応のお客さまにも使っていただける仕様になっています」と奥さま。



オレンジの塗料でペイントしたOSBは、まるで塗り壁のような質感になりました。手洗いボウルは由仁町の馬追焼作家にオーダーして作ってもらったもの。

アースチューブを利用した給気予熱で省エネ・快適な暮らし



カフェ コフェルの建物横に潜望鏡のような不思議なパイプを発見しました!ここから外気を室内に取り入れるそうです。パイプは、このまま地中に潜って基礎の横から床下空間に入り、床に設けられた給気ガラリから室内に入ります。このしくみを「アースチューブ」と言います。


写真右の丸い白い穴が給気ガラリ

写真右の丸い白い穴が給気ガラリ


冬は、外の冷たい空気が暖かい床下空間を通ることで暖められて室内に供給されます。

夏は逆に、外の生ぬるい空気が涼しい床下空間を通ることで適度に冷やされるので熱い空気が室内に入るのを防ぎます。



玄関ポーチには札幌軟石を敷き詰めてあります。その下には排気のチューブが通っていて、冬になると換気排熱を利用したロードヒーティングの役目を果たしてくれます。

2階の住宅部分はよりシンプルに。「眺めが最高の贅沢です」



「時々キタキツネと目が合うくらい。見渡す限り人影も車も建物も無いこの景色が気に入っています」と奥さま。

ご主人はこの大きな窓辺にハンモックを下げて、ゆっくりとコーヒーを飲みながら朝のひと時を過ごします。



リビング・ダイニングも天井の梁やOSB表しで、床には赤松の無垢材が使われています。構造体を表しにすることでより広さや高さが感じられます。



洗面室はシンプルで機能的な造り。壁面いっぱいを使った造作棚は日用品のストックまで収まります。



2階にはロフトがついていて、「収納には事欠きません」と奥さま。友人家族のこども達が来ると、ここが遊び場になるそう。奥の吹き抜けの下は洗濯室になっています。

地域のコミュニティ・スペースとして愛される場所に



大きな通りから、ご夫婦が丹精込めて造ったガーデンと、昔からここにある木々に囲まれた建物が見えます。絶妙なバランスで新旧が調和した庭もこのお店の魅力の一つです。



店内には個室も設けられていて、戸を閉めると音漏れも少なく、とても落ち着く空間が生まれます。パーティやお祝い事にも最適な部屋。取材後、ここでランチをいただきました。



ガレットの種類も豊富で、様々な組み合わせを楽しむことができます。サラダ・ドレッシングの美味しさにも一同感激!



「スローライフが夢でしたが、人が集まる場所を作りたいという思いもありました」とご主人。入居して半年経っていませんが、ご近所の農家さんからの差し入れや、DIYサポートなど様々な交流が生まれていて、もうすっかり地域に馴染んでいる様子。カフェ コフェルは地域の集まりや催しの場としても愛されていきそうです。

記者の目



カフェ コフェルの上空は飛行機の空路にもなっていて、昼の一時は畑に落ちる飛行機の影を眺めるという楽しみ方も。

家の構造や性能に必要な要素だけを吟味して建てられた家は、オーナーの手によってより自分たちらしい空間に仕上がっていました。DIYやモノづくりが好きな方にはぜひ参考にしてほしい実例です。

〔カフェ コフェル〕



住所:北海道夕張郡長沼町東5線南12番地
Tel:0123-76-7996
営業時間:11:00~17:00(冬期16:00)
定休日:日曜・月曜
ホームページ https://kopher614.wordpress.com/
Instagram https://www.instagram.com/cafe.kopher/

Menu:
 ガレットランチ/1300円(前菜とミニスープ付)
 ※ガレットはチーズ+卵+厚切りベーコン、きのこ+2種類のソーセージ、スモークチキンと野菜、ハチミツ+モッツァレラチーズ+合鴨肉の4種類から選べます。(2019年7月現在)
 ※野菜は、近隣の農家さんから買うなど、道産にこだわっています

2019年08月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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