Column いえズーム コラム

使いやすい、後悔しないキッチンの選び方


ララプラスキッチン・阿部さん


iezoomにもコラム「快適キッチンのミカタ」を掲載中のキッチンアドバイザー・阿部美子(よしこ)さん(ララプラスキッチン代表)。

阿部さんは、2011年から消費者が満足のいくキッチン選びをサポートするキッチンアドバイザーとして活動を開始。キッチンの使い勝手向上や楽しみ方に関する相談や講演等を多数行っている。ここでは、阿部さんに聞いた快適キッチンを実現するためのポイントを紹介する。

iezoom連載 快適キッチンのミカタ

ポイント1 ―高さ―

まず、キッチンの天板は高すぎると肩こりに、低すぎても腰痛などにつながる。身体に負担の少ないキッチンの天板の高さは『身長(cm、以下同)/2+5』で算出されると言われており、例えば身長が160cmの人だと85cmが最適な高さとなる。

また、キッチンで人が無理なく作業できる高さの範 囲は『身長×0.4(下限)~0.8(上限)』とされる。頭上の食器棚の位置やよく使用する調理家電の配置などを決める際に参考にすると、使いやすいキッチンにぐっと近づける。

なお、キッチンの高さを考える際は、利用頻度の高い人を基準にする。身長が低い方に高さを合わせた場合は、まな板に脚を用意するなどの工夫で作業時の高さを調節でき、背が高い人の負担を軽減できる。

ポイント2 ―シンクの位置―

シンクの位置は利き手側が便利だ。右利きの場合は、右からシンク、調理スペース、コンロ(加熱器)の並びで、左利きはその逆。利き手側が便利と言われる理由は、右利きの場合、包丁で食材を切ったときに右側に残る生ごみをシンクに落としやすいこと、また泡立て器でかき混ぜる作業などを行うときにコンロ側に壁があると、動かす右手がぶつかることなどが挙げられる。

組込式食洗機も、右利きの場合はシンクの右側にあると便利。使用済み食器はシンクで軽くすすいでから食洗機にセットするため、右側にあればスムーズにセットできる。逆に左側に食洗機があると、毎回身体をひねって食器をセットすることになる。積み重なると使う人にはストレスだ。「キッチンは料理のしやすさ以外に、洗い物のしやすさも重要」と阿部さんは話している。



作業しやすいキッチンの高さを示した図


ポイント3 ―コンセント―

忘れがちなのがキッチン周りのコンセントの高さと位置。阿部さんはよくある問題として、コンセントの『数が足りない』『位置や高さがおかしい』『間隔なくいくつも設置』の3つを挙げる。

中でもコンセントの数不足については、「ライフスタイルの多様化で、キッチンの小型家電のバリエーションも増えた。また、スマホやタブレットでレシピや動画を見ながらの料理も一般的になっている」と、キッチン周りに多くのコンセントが必要だと語る。

また、コンセントの位置がキッチンから離れているために、電子レンジを遠い場所に置き、不便を感じるお客様も過去にいたという。


電子レンジやトースター、炊飯器以外のキッチン家電の所有率が増えている


ポイント4 ―安全に使うために注意したい点―

「キッチンでは、"よかれ"と思ったところに危険が潜んでいる。特に気をつけたいのはレンジフード周り」と話す阿部さん。最近はレンジフードの整流板の上におしゃれな鍋や観葉植物を飾るユーザーがいるが、落下事故や火災の可能性があって危険。コンロの周りに 調味料類を置くのも危険だ。「トレイなどに移し、使うときだけ手元に置いておくことが安全のコツ」と勧めている。
 
もう1つ、安全に使うために気をつけたい点として、配線コードを床に這わせないことを挙げる。料理を運ぶときなどに足を引っかけてしまいかねない。配線コードが動線を妨げないようにするには、家づくりの際にキッチン周りの電源の位置や高さを検証することが大切だ。


レンジフードや コンロ周りを飾るのは危険


人気の高級キッチンの選び方

主要メーカーの人気の高級キッチンについて、各社の「推しポイント」と、キッチンアドバイザーの阿部美子さんが各社の特徴を解説する。

パナソニック Lクラス|家電メーカーならではの提案

パナソニック(株)の「Lクラス」は、1mm単位で天板の幅をオーダー可能で、T字型など、特殊なレイアウトもオーダーできるなど、造作キッチンに近い自由度が特徴。高級人造大理石「グラリオカウンター」は表面を有機ガラスで強化しており、硬くてキズがつきにくい。薄さ17mmでデザイン性や質感も良好。

調理設備では、トリプルワイドIH、トリプルワイドガスが売り。魚焼きグリルを廃し、3つのコンロを真横に並べる斬新なレイアウト。コンロの位置が奥まったことで、レンジフードも奥に移動し、背の高い人がコンロの前に立ってもレンジフードに頭をぶつけにくい。

さらに、新レイアウトの提案もしている。「いろりダイニング」は、横長の4口コンロ(対面操作マルチワイドIH)がテーブルの真ん中にあり、多人数で料理を作りながらワイワイと食べることができる。コンロがテーブルの真ん中にあることで配膳の手間がないことや、コンロの横にシンクがあるため後片付けも楽だ。「Idobataスタイル」は、夫婦や親子で食事を作ることを想定したレイアウト。II型、コの字型のみに設定可能で、シンクの左右に作業スペースがある。

阿部さんからのひとこと
コンロを3つ横並びにすることで狭くなる調理スペースを、あまり意識しなかったコンロ手前の16cmの奥行きで補う発想で、狭い間口でも機能的なキッチンになります。人気の「フロート型デザイン」のキッチンも、日本ではパナソニックのLクラスに採用されています。床とキッチンキャビネットの間が空いている洗練されたデザインと、機能性が上質なリビングキッチンをつくっています。


トリプルワイドコンロは、段差がほとんどないのも特徴


札幌ショウルーム展示中のLクラス


タカラスタンダード レミュー|新技術で磁器のような扉デザイン

タカラスタンダード(株)の「レミュー」は、同社の最高峰ホーローキッチン。キャビネットと扉に採用されているホーローは、鋼板にガラス質の釉薬を焼き付けてコーティングしたもの。油汚れが着きにくく、水も染みこまない。耐久性の高い素材だ。

これまでは窯変ホーローという、表面がキラキラとした輝きを持ち、微妙な濃淡のついた色が人気だったが、ホーローにインクジェット印刷を施すことでマットな質感や多彩な色表現が可能な新技術を開発し、今年夏にその技術を使った新色を追加した。「灰緑」「白磁」は、磁器のような色合いと模様で、和の空間にもマッチする。「ラスティブラウン」「ブラウンシルク」は、ブルックリンスタイルなど現代的インテリアに合う。「クオーツストーン」と呼ぶ高級人造大理石の天板は、天然水晶を砕いて樹脂を少しだけ混ぜて固めたもの。93%が天然水晶のため、表面が硬く、傷がほとんどつかない。また、経年劣化による色あせの心配もない。色も7色用意されている。

このほか、「家事らくシンク」は、3層の溝があり、専用の水切りプレートやまな板などをセットすることで、洗う→切る→捨てるの一連の動作をシンクの上で行える。後片付けや清掃も楽になり、動線に無駄がない。


家事らくシンクの動線


新色「灰緑」はマットな質感と多彩な色表現が魅力


阿部さんからのひとこと
ホーロー素材によってお手入れが楽で、清掃性に優れていること、マグネットによって収納の自由度が高いことが一番の魅力です。レンジフードの横にある上吊戸の底板は、「ここを見ればフードの汚れがわかる」ほど汚れます。上吊戸の底板をオプションでホーローにできるため、見えないところまでお手入れが楽にできます。クオーツストーン天板は抗菌性もあり、「家事らくシンク」と合わせて、清潔にスマートな動きで作業できます。

LIXIL リシェルSI|セラミックトップが大人気

(株)LIXILの「リシェルSI」は、セラミックトップカウンターが最大の売り。焼き物なので熱に強く、硬いという特徴がある。ダーク系カラーのかっこよさ、質感の高さも人気で、LIXILといえば「セラミックトップ」と言えるほどイメージが定着した。さらに新色の「ラパートトープ」は、同社の高級トイレ「サティスGタイプ」のノーブルトープと同系色。グレイッシュなブラウン系の上品な色合いが女性に人気だ。

さらに同社は収納の使いやすさに力を入れている。「らくパッと収納」は、引き出しを開ける時に扉が斜めに傾くことで引き出す力を約3割削減。しかも、扉裏にある「パッとポケット」も傾くために、腰をかがめることなくポケット内の収納物を確認し、取り出せる。また、引き出し上部にある「パッとシェルフ」も連動して出てくるので中身を確認しやすい。引き出しを最後まで開けるとストッカー部分が顔を出し、鍋などが楽に取り出せる。

カウンターの背面収納(キッチンクローゼット)にも特色がある。扉は化粧部分とスモークウインドウ部に分かれており、スモークウインドウ部だけを開けて食器を出し入れ可能。これにより、化粧部分にはカップ麺など来客時に見せたくないものを収納し、ウインドウ部に素敵な食器を収納して活用できる。

阿部さんからのひとこと
シンクの中で作業を完結できるWサポートシンクは、高さを可変できるシンクサポートとアンダープレートによって身長が低いお客様からも「根菜を湯がいた大きな鍋を置いたり、皮をむく作業が楽になる」とのお声もいただいています。キッチンの高さが身長と合わない場合、キャビネットの高さ以外にシンク形状や使い方を変えてお客様にご提案できます。キャビネット内の収納も、無理な姿勢をとらずに確認できます。生活実感に寄り添う発想があります。


Wサポートシンクを活用中(阿部美子さん提供)


札幌ショールーム展示中のリシェル


クリナップ セントロ|熟練職人が作る使いやすいキッチン

クリナップ(株)の最高級キッチン、セントロの「クラフツマンデッキシンク」は、直線的なラインやシンク内の曲面など高いスキルが必要な手作業が多く、工程の約85%に熟練した職人の手がかけられている。

使い勝手では、大型サポートプレートを使うことでシンクを調理面としても使い、作業スペースを約2倍に拡大した。プレートから1段下がったデッキスペースは、水勾配がついていて作業台としてもシンクとしても使える。さらに最上級の滑らかな動きを実現する、オーストリア・ブルム社製最上級のレール「レグラボックス」も標準搭載。大型の引出しがぶれることなくスムーズに開閉し耐荷重も高いので長く安心して使える。またスリム設計なので、引出の内寸が同社の他シリーズより45mm広く、収納力も抜群。

ワークトップ、扉デザインともに選択肢が豊富なのも特徴。ワークトップは、ステンレス、人工大理石のアクリストン、スペイン社製のセラミックと合計20種類から選べる。扉デザインは40種類あり、職人が手作業で仕上げる京友禅調デザインやステンレスに加工を施して虎目石調に仕上げたもの、ウォールナット突板仕上げなど幅広いバリエーションがある。

阿部さんからのひとこと
セントロのクラフツマンデッキシンクは、シンクが5cm高く、洗う時の姿勢が楽になります。調理台の高さを基準にしたシステムキッチンで、各キャビネット上の「作業点」に着目したセントロは、画期的な発想です。また、壁付けタイプも、調理台位置をセンターとして「手」の動きやすさ、動線を考えています。天板のバックガードや手前の水よけの立ち上がりをなくすなど、スタイリッシュな今までにないシャープなデザインです。


センターポジション設計


札幌ショールームに展示中のセントロ


TOTO ザ・クラッソ|水の流れと水栓に特色

TOTO(株)の「ザ・クラッソ」は、透明感ある「クリスタルカウンター」のイメージが強い。耐光性や耐熱性を向上させたハイブリッドエポキシ樹脂からできている。ガラスのような透明さと、360度に加熱した鍋底を20分置いても変色や膨れなどの異常がなかったという耐熱性、擦り傷をクレンザーで磨いて落とせる堅牢性が売り。さらにザ・クラッソは「スクエアすべり台シンク」や、高い位置から幅広のシャワーが出てくる「ほうき水栓」が採用可能。マイ水筒を持参する人が増える中、水筒を立てて洗いやすい。このほか、安全な濃度の次亜塩素酸水を作る「きれい除菌水」機能で、まな板や包丁、網かごを除菌できるのも魅力。

阿部さんからのひとこと
「水筒など縦長ツールを洗う時、吐水口の高さがシンク面から低いと横にして洗うことになり、シャワーヘッドを使っても洗いにくい」というお客様の声があります。シンクとの相性、水ハネ、音の問題もあるため、「水の動線」はとても大事。空気の含み方や食器と水が接した時の流れなどを考えた水栓技術は秀逸。クリスタル天板とシンク、水栓のバランスが美しいキッチンです。


水の流れを計算したシンクと水栓(カタログより)


ザ・クラッソ(カタログより)


高級キッチンが売れる理由

各メーカーによると、道内のキッチン市場では高級タイプの売上げが伸びているという。その要因につい て、「インスタグラムなどSNSの影響で、デザインや 色にこだわって良いものを求める人が増えた」「男性も積極的に料理に参加するようになり、キッチンにもハイスペックを求める人が増えた」など、各メーカー ショールームからは、いろいろな声が上がっている。

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