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ヘアサロン「Bruno(ブルーノ)」理想の店舗兼住宅づくり/札幌市西区・松口さん/白田建築事務所


「Bruno(ブルーノ)」という店名から連想される、青いドアが印象的なヘアサロンは、札幌市西区平和に2017年2月にオープンしました。夏にはお店の前でお客さんたちとバーベキューを楽しむなど、地元に愛されるサロンになりつつあります。独立開業は美容師の夢。予算内で、お客さんや家族にも快適な店舗兼住宅を!というヘアスタイリスト・松口さんの願いが、ローコストとアイディアならおまかせの、白田建築事務所によってかなえられました。

独立する時は、白田さんに、と決めていた

「この前のハロウィンでは、近所の英会話教室に通っている子どもたちが、お店にお菓子をもらいに来ました。予想したよりもたくさんいたのでビックリ!お菓子が間に合うかな?って」そう楽しそうに話すのは、ヘアスタイリスト歴13年の松口 靖さん。



それまで勤めていた西区の山の手にあるヘアサロンも、白田建築事務所で建てたもの。「オープン時からのスタッフでしたから、当時のことは覚えています」と松口さん。「店のメンバーで内装のペンキを塗りました。白田さんも一緒になって、高い部分にどんどん登ってやってくれたんです」。



その時から"自分も独立する時は、白田さんに"と決めていたという松口さん、約10年たって、お店を開く候補地の検討を始めました。これは、と思う土地を見つけると、白田さんに図面を描いてもらっては検討して・・・を繰り返すこと2年半、ついに五天山や川などの自然に恵まれ、学校などの教育環境も充実している平和地区の住宅街に決めたそうです。

欲しい棚やワゴンはDIYで!白田さんも精密な図面描き応援



「木の感じがいいね!」とお客さんに好評の店内。壁や床などの下地材として使う構造用合板を「現し(あらわし)」として使い、設計の工夫によってより広く、空間を無駄なく利用する"白田スタイル"は、ローコストで建てられるのも大きな強みです。

お店の棚やワゴンは、ほとんど松口さんが自作。仕事を終えた夜などコツコツと自分で作りました。というのも、道東のご実家では、ないものは自分で作ることが当たり前だったとか。昔はスピードスケートの選手だった体力派の松口さんには、DIYは自然な流れでした。



ドアをビンテージ風に塗装したりと「やれるところは自分でやろう!」と、積極的な松口さんに、白田さんは無料でイメージに沿った棚などの図面も描いてサポート。それをホームセンターへ持っていって板を選び、カットサービスを利用すれば後は組み立てるだけなので、「とても助かりました」と松口さんは話します。

陽射しを上手に活用し夏は涼しく、冬は暖かく

建物の2階と3階は、ご家族の居住スペース。「最初は2階建てを考えましたが、基礎や屋根の面積を小さくすることでコストダウンを図れると、3階建ての設計にしました」と白田さん。

実は敷地が「第二種低層住居専用地域」で、建物の高さに制限があるため通常は2階建ての住宅にします。さらに、周囲の建物が日陰にならないための設計上の制約があるなど、設計は非常に大変だったといいます。



1階のお店と2階リビングの窓にはひさしを付けることで、太陽が角度の高い位置にある夏は日差しを避け、角度が低くなる冬は温かい日差しがたっぷり。「午前中に、リビング奥のキッチンまで光がバーッと差し込んできて、とても気持ちがいいんですよ」と奥さま。夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるように、自然のエネルギーを上手に取り入れています。



キッチンカウンターは大きめでシンクも深いもの、レンジフードもお手入れがしやすいものを奥さまが選びました。「白田さんから『住んでから、なかなか替えられないキッチンなどは希望の物を購入すべき』と、アドバイスをもらったんです」。いまは、それが正解だったと奥さまは話します。

広々パントリーと食糧庫で、キッチン収納はストレスフリー



キッチンは、I型と呼ばれる壁付けレイアウト用ですが、白田さんはL字型のカウンターを造作することで対面キッチンとして使えるようにしました。これもコストを抑えながらオリジナリティを出す工夫の1つです。

シンクの上に収納スペースがあるほか、そしてお料理をする側にある短いすきまも利用して、棚を造っています。この小さなスペースが、カウンターにいても雑誌や料理本をサッと取り出せるので、なかなか重宝しているそう。キッチンの外側にも雑誌などをディスプレイできるラックがあり、その先にはアーチ型の円い入り口が。奥さまお気に入りのパントリーです。



「パントリーには、なんでもしまえるから便利です。奥は食品庫で、お米や小麦粉、おイモなどの根菜類がたっぷり入るから、冷蔵庫がパンパンになって困ることもありません」と奥さま。キッチンとは壁でしっかりと区切られているので、来客の目も気にしなくて済みますね。

白田さんは相談しやすいから、アフターで困ったときも安心



お店が終わって2階に上がれば、松口さんはすっかりパパの顔に。2歳の愛娘、心春ちゃんと一緒に毎晩お風呂も入っています。「前に住んでいたアパート時代は、古くて寒くて。いまは床暖房で家じゅうが暖かいし、バスタブが大きいから親子で入れるのがいいですね」。

娘さんが成長した時のことも考えて、洗面化粧台は幅が広いものに造作、さらに洗面室とお風呂の脱衣スペースも分離した設計に。3階は、ご夫妻のベッドルームや心春ちゃんの個室などがあります。棚はもちろん、心春ちゃんの机も、なんと松口さんの手作り!

趣味で編み物をするようになったという奥さまも、「なんでも買おうと思えば買えますけど、やっぱり自分たちで作るほうがいいですよね」と、ご夫妻で手作り派になったそう。



各部屋には窓を2つ設けて、明るさを確保するとともに、風が通り抜けるようにしました。窓から見える五天山の緑や、夜にきらめく札幌市街の灯りといった景色には、いつも本当に癒されるそうです。


お気に入りというトイレのデザインクロスは、数十枚の中からご夫妻が検討を重ねたもの。「クロス一枚にしても、常にふたりで決めていました。現場で白田さんとやり取りするときも、娘が小さいので自宅にいる妻と、スマホのマイクを通じて3人で話し合っていたんですよ」と松口さん。

「白田さんはとても話しやすい人。こちらが、どんな要望を言っても『それはいいね!』と受け止めてくれるんです。そのうえで、実現化するための条件やコストなどを説明してくれるので、こちらが考えて納得できるんですよ」。


地面よりも温かい地中熱を利用したアースチューブによる換気も松口さん邸で採用。冬、ひんやりした空気が室内に入ってくるのを自然エネルギーだけで防ぎます。

さらに、室内の暖房熱を含んだ暖かい排熱をそのまま捨てるのではなく、ロードヒーティングに使っています。こちらもエネルギーコストゼロで融雪できています。



実際に雪が融けています



こうすれば良かったと思うことはありますか?と尋ねると、「うーん、意外にないですね」と話すご夫妻。建てた後には何か不具合があっても、「白田さんには、なんでも相談できますしね」と、アフターの風通しも良いようです。

記者の目


日差しや地中の熱を利用したり、お金をかけずに雪を溶かしたり、エコな家づくりでも特色ある白田さん。

白田建築事務所で建てるオーナーさんは新居のペンキ塗りをしたり、インテリアを工夫したり、みずからアイディアを出したりと、積極的に家づくりに参加する方が多いようです。

それにこたえようとする、白田さんの思いも強い。だからこそ、よりいっそう愛着のあるマイホームが生まれるのだと思いました。

ライター:高橋明子
写真:北郡慎也(北海道住宅新聞社)

<松口さんのお店紹介>
bruno(ブルーノ)
札幌市西区平和2条5丁目8-18(西陵高校向かい)
営業時間 09:30~20:00 定休日 火曜日、第3月曜日
Tel 011-313-0200(予約優先) 駐車場 3台



2018年02月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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