築30年も経過すると、当時の住宅の窓の断熱気密性能、壁などの断熱気密施工は、仕様・技術面でも今に比べれば低く、また、経年による劣化も生じるため、寒くて暖房費がかかる、という課題を抱えた家になっているケースは多い。
そこで、断熱改修を行えば、暖かく快適になって住み続けることができる、ということで断熱改修のニーズは多いが、実際は十分な技術と知識を持った住宅会社や技能者が少ない、外壁を剥がして断熱材を取り換えて、断熱気密施工をやり直して、外壁を貼り直し、基礎や屋根などの断熱気密上の弱点も直して、となると、一般的なリフォーム予算より、だいぶ高くなる、といった事情もあるため、断熱改修というのはなかなか実現しないという現実がある。
そこで今回は、iezoomの取材事例から、断熱改修に成功した事例をご紹介します。
目次
断熱改修事例 帯広市/リノベ不動産
リノベ不動産帯広店(株式会社ネクストワン)は、十勝でも数少ないリノベーションに特化した工務店です。
昭和60年に創業し、地元十勝で新築やリフォームなどの家づくりに向き合ってきた同社。現在は中古住宅や土地の販売、リフォーム・リノベーションなどを軸とする事業展開をしています。
元になる住宅の柱や梁など活かせる場所は活かし、不要な壁は取り払って間取りもインテリアも一新しました。外壁は吹き込みグラスウール105ミリ、天井はブローイング300ミリ、床はウレタン吹付30ミリと床下20ミリで断熱施工を行っています。
内装・設備・性能と新築と変わらない快適さにもかかわらず価格は7~8割ほど。オープンハウス2日目で購入希望があったというのも頷けます。
断熱改修事例 小樽市/あったかハウス河合建築事務所
数年前まで、札幌市内の円山エリアでマンション暮らしをしていたAさん夫婦は、内外装リフォームをして販売されていた中古住宅を購入し、あったかハウス河合建築事務所(札幌市手稲区)で断熱改修をしました。
Aさん この家はロケーションが第一に気に入りましたが、築30年が経っている建物だけに寒さの問題が気になっていました。内覧したのは雪の季節で、特に1階の床の冷たさが身に沁みて、購入するなら断熱改修が必要だと痛感しました。
河合さんは定期的に断熱リフォームの勉強会を開催していて、タイミングよく参加することができ、早速相談させてもらいました。河合さんの断熱改修でとても魅力だと感じたのが「気流止め」の技術です。特に寒さが気になった1階床にも、しっかりと断熱材を入れてくれました。河合さんの断熱リフォームのおかげで、冬も快適に過ごすことができました。
断熱改修事例 札幌市西区/ブレイン札幌
まるで新築のようなS邸ですが、実は築47年経つ奥さまの実家をフルリノベーションしています。「とにかく寒かったですね」と振り返る奥さま。ご実家を住み継ぐことになり、現状調査をしたところ、屋根からの漏水で壁の内外にカビや傷みが発生した場所も見られ、本格的な改修が必要だと分かりました。
壁を剥がすと、断熱材にもカビが発生し、構造体まで腐った状態でした。ブレイン札幌は柱や間柱を交換・補強し、古くなった断熱材も交換し、高性能グラスウールを隙間なく丁寧に充てんしました。
奥さま 前に住んでいた賃貸マンションでは、家の中が片付かずにストレスになっていました。今は生活動線上に収納があるので片づけやすく、スッキリと暮らせるようになりました。
また、暖房を少しの時間つけただけでも家の中がすぐに暖まり、断熱改修の効果を実感しています。娘たちも「家が落ち着く場所になった」と喜んでいます。家族が笑顔で快適に過ごせる家になりました。
断熱改修事例 札幌市西区/エコットハウス(松浦建設)
今回ご紹介するのは松浦建設(札幌市清田区)でフルリノベーションしたLさんのお宅です。L邸はLさんご夫婦と、奥さんのご両親が上下階で暮らす2世帯住宅です。
松浦社長 今回の工事は1階の土台(根太)の入れ替えと補強、断熱改修、屋根・外壁の張替え、キッチン周りの間取り変更、建具の入れ替え、クロスや床、畳の張替えなど全面改修を行っています。外壁と床下にはグラスウールを105㎜充てん、屋根裏も昔ながらの造りなので高さがギリギリでしたが、通気層も確保して300㎜の屋根断熱を施しました。
壁の改修は特に大変でしたね。モルタルの壁を剥がすと、中は柱の痛みなどもあって、すべて取り替えたり補強したりした後に、断熱材をしっかり入れています。窓にはLow-E複層ガラス(遮熱タイプ)を使っています。
Lさん 暖房はリビングのストーブがメインです。9月末の今頃だと、今まではストーブを点けていましたが、リノベーション後は夕方に1時間くらい点けるだけで、翌朝もほんわか暖かさが続いていて、断熱改修の効果を実感しています。
断熱改修事例 札幌市豊平区/建匠
札幌市のSさんは、両親の家に隣接する倉庫を「住まい」にリノベーションしました。きっかけは、80代、90代と高齢になった両親が心配になったこと。そばで見守りながら暮らそうと、同居を決めました。
工事を担当したのは札幌市内やその近郊を中心に、住宅の補修やリフォームで豊富な実績のある工務店・建匠(札幌市豊平区)です。
Sさん 介護の仕事をしており、勤務時間が不規則なんです。夜勤で昼間に仮眠を取ることもあり、両親とは生活サイクルが異なります。お互いが快適に暮らすためには、独立した生活スペースが必要でした。まずは希望を聞いて、こちらの意図を汲み取って提案をしてくれました。どうしても予算内でできないことには代案を出す、質問に分かりやすく答えてくれるといったコミュニケーションも取れて、安心して工事をお願いできました。
山口部長 一室で完結できる生活空間を予算内で作ることが大きなテーマでした。そのため、既存のままで活かす部分と改修する部分をハッキリと線引きしたプランを立てました。実は、工事にかかる費用の中で大きなウエイトを占めるのが水回りです。目に見えない部分ですが、長く快適に住んでいただくためにはとても大切な工事です。
以前の給水管は、錆びると漏れが発生しやすい鉄管でしたが、保温材付きの架橋ポリエチレン管や銅管に交換しました。
「生活するうえで重要なポイント」として山口部長からの提案で行った工事が、断熱改修でした。取材したのはまだ雪が残る3月中旬。新設したFF式灯油ストーブをつけるとすぐ室内はポカポカに暖まり、断熱改修の効果を実感できました。
断熱改修事例 札幌市北区/あったかハウス河合建築事務所
取材日は氷点下の気温が続く真冬日、断熱リフォーム住宅の実力と、無落雪に改修した屋根の様子を見るにはうってつけの日でした。
じつは取材を楽しみにしていました。オーナーが引っ越しせず、住んだままで「気流止め工事」によって暖かい住宅に変える工事をお盆明けに終えて、最初の冬を迎えていると、工事を行った「あったかハウス河合建築事務所」の河合さんから聞いていたからです。
壁や屋根を解体して骨組みだけを残し、そこからリフォームすれば新築と同じく暖かくなることはわかっていました。しかし、それはふたりの望むリフォームではありませんでした。
「この家が気に入っていますし、大がかりなリフォームをやれば費用がかかりすぎる。内装の変更は望んでいないし、ワンちゃんが同居しているので、ストレスがかかる引っ越しもしたくありませんでした」とSさん。
断熱改修事例 小樽市/江田建設
これまで道内では、既存外装材を撤去せずに断熱・耐震性を高める改修工法として、道総研・北方建築総合研究所(北総研)と、室蘭工業大学鎌田研究室、NPO住宅外装テクニカルセンター(JTC)の共同研究による2つの工法が開発・実用化されていた。
既存住宅の断熱・耐震性を、現在の新築並みに引き上げに適した工法はモルタル外装が前提。そのため、既存外装材が窯業系サイディングなどモルタル以外の住宅では、既存外装材を撤去してから耐震補強や付加断熱を行い、通気層を確保したうえで新たに外装仕上げを行う方法が一般的だった。福島氏は、窯業系サイディングの既存住宅でも、同様の性能向上が見込める改修工法を実現しようと、5年前には後志・仁木町にある当時築18年の住宅で、窯業系サイディングの上から行う断熱改修を提案。
この改修事例での経験も踏まえ、福島氏は研究会のメンバーとさらに窓の交換や窓回りの雨仕舞いなども簡単かつ効率良く行うことができる断熱・耐震改修工法を検討。今年、江田建設の社屋兼社長自邸(以下、江田建設社屋)で実証施工を行った。
断熱改修事例 札幌市/株式会社建匠
Nさん 平成16年には外壁の張り替えに合わせて断熱改修、屋根の葺き替え、和室の改修などもしていただきました。外壁工事の際はほとんど不便はありませんし、一階和室のリフォーム工事は住みながらで2週間くらい。外壁工事の際はほとんど不便はありませんし、室内の工事も、窓から建材の出し入れなどをして玄関を通らずに搬出入、職人さんの出入りをしてくれて。あまり負担を感じませんでした。
断熱改修してもらった後と前とでは暖かさが全然違いました。以前は一日中、暖房を焚きっぱなしでしたが、冬でも暖房を切る時間が増えました。配管、キッチンなどの交換もしてもらいました。エントランスはロードヒーティングも施工。除雪の負担が減って助かりました。
断熱改修事例 札幌市/ブレイン札幌
Iさん「築47年の古い住宅がほんとに住みやすくなるの?と考えたこともありました。でも、ブレインさんは高断熱・高気密をはじめとした住宅性能がしっかりしており、中古住宅の改修・増築についても確かな実績があると社長から説明を受けました。誠実そうな人柄と、中古物件探しからリノベーションの工事内容までまるごとお願いできたことが依頼の決め手になりました」。
Iさん「築47年の古い住宅がほんとに住みやすくなるの?と考えたこともありました。でも、ブレインさんは高断熱・高気密をはじめとした住宅性能がしっかりしており、中古住宅の改修・増築についても確かな実績があると社長から説明を受けました。誠実そうな人柄と、中古物件探しからリノベーションの工事内容までまるごとお願いできたことが依頼の決め手になりました。この建物も、リノベーションで性能が新築並みに向上したことで省エネリフォームと耐震リフォーム減税の対象になり、助かりました」。
断熱改修事例 石狩市花川/あったかハウス河合建築事務所
床が冷えないので「台所の床にペタッと座ることができるようになりましたよ」と喜ぶのは、石狩市花川地区の築32年の家を2010年にリフォームしたAさん。
すきま風がなくなり、窓をアルミから樹脂サッシに変えたのでホコリが入らなくなったので掃除もラク。
「玄関は少し寒いですが、暖房はいまも灯油ストーブ1台ですから本当に十分です。寒さがなくなって、そのうえ暖房費も1~2万円安くなりました」と話してくれました。
河合さん 住んだままの状態で断熱改修した例です。
外壁のモルタルをはがして断熱と気密を屋外側からやり直し、構造用合板で耐震補強をして外壁材を張り直しました。床は床下にもぐってウレタンを吹き付け。天井も断熱しています。南のベランダ窓は、すぐ下の土台が腐っていたので交換し、窓はほかの窓とともにすべて交換しています。
総2階・30坪程度の住宅なら、モルタル壁をはがす工事も含め税別で470万円程度のご予算になると思います。
ご友人からのご紹介で、2件とも同じ工法で改修しました。喜んでもらっており、工事したかいがありました。
断熱改修事例 八雲町/ノースランドホーム(山野内建設)
積雪寒冷地北海道では、寒さ、結露、光熱費負担に悩まされる暮らしから脱却するために、道外の住宅より高い断熱気密性能の家が必要です。
函館・八雲のノースランドホーム(山野内建設)は、北海道内の住宅業界でまだ高断熱高気密住宅という言葉、技術が知られていなかった1980年代から、住宅の断熱・気密・換気の研究と実践を重ねてきた工務店(住宅会社)です。「安い新築」を選んでも「中古住宅」を買っても寒さや光熱費負担から逃れられないという課題に対し、ノースランドホーム(山野内建設)は、ZEH(ゼッチ)と、リノベーションを組み合わせた「ZEH(ゼッチ)リノベーション」という答えを出しました。
Kさん 性能の良い新築住宅は高いですが、中古住宅をZEHリノベーションすることで建築費を抑え、しかも光熱費が実質ゼロになるというのはよさそうだと思いました。玄関やお風呂も含めて家じゅうどこも暖かく快適です。床下のエアコンで暖房しているので足元も暖かいです。
断熱リフォームのヤバい裏事情?(寒さ・結露)札幌リフォーム座談会
北海道で20年~40年前に新築住宅を建てた方、あるいは中古住宅を安く購入し、その家をリフォーム・リノベーションして快適な住まいに、というニーズは年々高まっています。
とはいえ寒さや結露、省エネの悩みを解決できる断熱リフォームという選択肢に気づかない、あるいは実現できる住宅会社に出会えないケースも少なくないようです。どのリフォーム会社を信頼していいのかわからないという声も聞きます。下記のコラムでは札幌圏の住宅の断熱改修に詳しい専門家に「断熱改修・外壁交換」の注意点を中心に話を伺いました。
断熱リフォームのヤバい裏事情?(寒さ・結露)札幌リフォーム座談会(1)
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