
日本は高度成長と共に進んだ核家族化によって、「新築マイホームは子世帯が単独で建てるもの」というイメージが一般化しましたが、近年の高齢化や少子化、共働き世帯の増加、さらにはコロナ以降一気に加速した住宅価格と地価の高騰などによって、二世帯住宅が見直されています。二世帯住宅は
祖父母や孫と一緒に楽しく暮らしたい
子育てや介護で助け合える環境づくり
実家の建て替えに伴って建設費を分担する
親子で同じ仕事(店舗・農業)なので一緒に住む方が便利
など、いろいろな動機があります。実現するにあたっては
プライバシーを適度に確保したい
つながりを重視した動線設計
建設コストや家事負担を抑えるためにキッチンやお風呂、トイレなど水回りを共有したい
家が大きくなるので光熱費負担を避けるための高断熱高気密住宅にしたい
生活の時間帯が異なるので音の配慮をしたい
高齢化に対応できるフレキシブルでバリアフリーな設計
など、二世帯住宅ならではのプランの配慮も重要です。二世帯住宅は大きく以下の3つのタイプがあります。
完全同居型二世帯住宅 キッチンやお風呂なども含め、それぞれの寝室以外は家の全部を複数世帯で使うタイプです。プライバシー確保はやや難しいですが、キッチンやお風呂などは1つなので建設費は安くなり、家そのものは1世帯向けの家と大差ありません。
一部共有型二世帯住宅 玄関を共有し、1階は親世帯、2階は子世帯という間取り。玄関以外にキッチンやトイレなどを共有する場合は同居型に近づきます。プライバシー確保がしやすいので、このタイプが主流になっています。
完全分離型二世帯住宅 玄関も含め、ほぼすべてを別々に用意。プライバシー確保がしやすく、いずれは半分を賃貸として貸し出すこともできます。建設費が割高になり、土地面積も少し広く確保する必要があります。
とはいえ、各家庭によって家族の人数、ライフスタイル、土地の大きさ、ご予算なども異なるため、今求める暮らし安さに加え、将来の家族構成や暮らしの変化をに対応したプランニングが重要になってきます。今回は、iezoomで取材した二世帯住宅の実例をまとめてご紹介します。それぞれのご家庭で、大切にしたポイントが違っているので、そのあたりも参考にしてみてくださいね。
目次
コンパクトに暮らす二世帯住宅(ニセコ町)シノザキ建築事務所

愛知県で暮らしていたNさんがニセコに移住したのは60歳のとき。その2年後に奥さまと奥さまのお母さまが引っ越し、今は家族3人で暮らしています。N邸は玄関を入るとすぐにダイニングキッチンとなっていて、リビングルームはありません。小さな家で十分というNさんの考えです。

一緒に暮らす高齢のお母さまの部屋はトイレや浴室、ダイニングに近い場所を希望しました。
左手が玄関。通路奥・のれんがかかっているのがお母さまの居室(写真左)お母さまの部屋の奥に浴室があります。浴室の窓からはニセコアンヌプリを眺めることができます。

リビングのないN邸ですが、2階には広々としたフリースペースが。ここでは、奥さまがヨガのオンラインレッスンをしたり、Nさんが趣味のテニスの素振りをしているそうです。
2階には夫妻の寝室と、ウォークインクローゼットがあります。寝室の奥には、Nさんが「隠れ家」と呼ぶ小さな書斎を設けました。
豪雪すら美しいニセコで環境に負荷をかけない暮らし/Nさん
シックなデザイン&料理も楽しい二世帯住宅(帯広市)プラスワイド

今回お邪魔した帯広市内のM邸は2世帯住宅です。長く東京で仕事をされていたというMさんのセンスが生きる内装、そしてお母さまがそば打ちやパンづくりなど料理の腕を発揮しやすいキッチンや収納などの工夫が随所にあります。

M邸は2世帯住宅といっても世帯ごとにはっきりと分かれた造りではなく、リビングルームやお風呂、洗面所などは共用です。「将来的には車椅子でも使えるように」とトイレなども広々とした設計にし、生涯にわたる使いやすさが考えられています。

共同部分の多いM邸ですが、個室のある二階には小さなキッチンがあり、お茶をいれるなど簡単な調理ができるようになっています。
シックなデザイン&料理も楽しい二世帯住宅/帯広市M邸
オープンキッチンが映える二世帯住宅(網走市)光輝建設
Oさんのお住まいは、2人目のお子さんが生まれたのを機に中古の平屋を2階建てにリノベーションした2世帯住宅です。2019年11月から工事が始まり、2020年4月に完成。Oさんご夫妻と2人のお子さん、奥様のお母様の5人家族で新しい暮らしをスタートさせました。

1階はオープンなLDKとお母様の部屋、ユーティリティなどの水回りで構成したプラン。LDKはワンルーム感覚で最大限広く使いたいこと、お母様の部屋はゆとりある空間として2方向から出入りできるようにすること、オープンキッチンを採用すること、ユーティリティも広々としたスペースとすることなど、Oさんの要望に応えました。

子世帯スペースの2階は、ミニリビングとOさんご夫妻の寝室、2人のお子さんの部屋を設けています。ミニリビングは、お母様とOさんご夫妻でお客様が重なった時にも、それぞれ応対できるように考えてのこと。さらにミニリビングからは、愛犬のトイプードル・ラブちゃん専用のドッグランにもなるバルコニーを設置。ティータイムを楽しんだり、洗濯物を干すのに活躍しそうで、Oさんは「そのうちここでキャンプもできれば」と話します。
オープンキッチンが映える二世帯住宅 網走市Oさん/光輝建設
築60年の家を住み継ぐ快適フルリノベーション(札幌市)松浦建設

ご紹介するのは松浦建設(札幌市清田区)でフルリノベーションしたLさんのお宅です。L邸はLさんご夫婦と、奥さんのご両親が上下階で暮らす2世帯住宅です。
お母さまが中学生の時に建ったこの家には、家族の思い出がつまっています。そんな家族の歴史を、松浦社長は素敵なアクセントとして残しました。こちらはリビングから隣接する寝室の方角を撮影した写真です。天井の飾り梁がレトロでいい感じ。センターを頂点に、少しだけ三角に傾斜している凝った造りです。梁は、すべて磨きなおし、塗装をかけています。

玄関ホールは、和室、リビング、2階へ続く階段、ユーティリティーにつながっています。

2階はもともとあった2部屋をワンフロアにした娘さん夫婦の居住スペースです。ベッドスペースの横は壁一面に収納を造りました。Lさんのご主人はイギリスの方で、自営業を営んでいます。部屋の一角にはワークスペースを備えました。
Lさん イギリス人は朝にシャワーを浴びる習慣があるのですが、階段を下りて浴室に直行できる動線が使いやすく、とても気に入っているようです。1階の両親の生活リズムを崩すことなく、入浴や歯磨きが好きな時間にできるので、お互いに快適です。
築60年の家を住み継ぐ快適フルリノベーション 札幌市西区Lさん/松浦建設
それぞれの好みを反映した延床53坪・街中の二世帯住宅(札幌市)白田建築事務所
おしゃれな木製カーポートに、ホワイトのガルバリウム×木の外装がモダンなEさんのお宅は、ご夫婦+お子さん2人と、奥さんのお母さんが暮らす2世帯住宅です。

まるでインテリア雑誌に出てくるような住空間。こちらは1階・お母さんの居住スペースです。収納を備えた仕切り壁で、キッチンとテレビスペースを緩やかに分離しています。

2階に上がると雰囲気が一転。こちらはインダストリアル・モダンに仕上がっています。

玄関に入ると左手にクローク、右手にお母さんの居住スペースが配置されており、正面の階段から2階に上がります。ファミリー玄関も兼ねたクロークは約5帖大!娘さん家族は全員が剣道をやっており、剣道着や袴、面や竹刀の収納場所が必須でした。
白田さん この空間は必須だったので、お母さんの居室部分がその分コンパクトになっていますが、仕切り壁に開口部をつくるなど、オープンにすることで実際よりも広く感じられるLDKになりました。
お母さん 新築を機に、自分が暮らしやすいスペースにしたいと思っていました。コンパクトだけど一人暮らしにはちょうど良い広さで、使いやすくて気に入っています。
それぞれの好みを反映した延床53坪・街中の二世帯住宅 札幌市東区
それぞれの暮らしのリズムを大切にできる二世帯住宅(札幌市)白田建築事務所
札幌市白石区の住宅街に建つMさんは、築50年が経っていた奥さまのご実家を建て替え、二世帯住宅にしました。ご夫婦と小学生の2人のお子さん、奥さまのご両親の2世代・6人家族が暮らしています。

お子さん世帯は主に玄関ホールから出入りをする動線。2世代がそれぞれの暮らしのリズムを大切にできる造りです。

ご両親の寝室の上には居室が無く、2階の生活音に影響されない設計。壁際にはお母さまがミシン掛けをするための作業デスクも備えています。右手に見えるガラス戸は建て替え前の住宅で使っていた建具をリユースしたもの。
ガラス戸の向こうは、換気扇を備えたお父さま専用のたばこ部屋です。テレビを見ながらソファでゆっくりと一服ができる、お気に入りの場所になっています。
奥さま 両親が暮らしやすいよう、寝室の近くにトイレ・水回りがある間取りを希望しました。それから収納も多くお願いしました。玄関横のSCLや、2階のファミリークローゼットはとても重宝しています。
換気排熱利用の融雪システム・採光が心地よい街中の一軒家 札幌市
二世帯がつかず離れずのスキップフロアは収納も大充実(札幌市)マルトモホーム
Tさん夫婦はこの家を中古で購入し、18年暮らしてきました。しかし、お子さん3人の成長とともに手狭になり、住宅の経年劣化も考えて建て替えを検討しはじめました。
ちょうどその頃、地方で暮らす奥さまのご両親も、営んでいた飲食店を閉め、店舗を兼ねていた住宅のリフォームを考えていたそうです。別々に家を建てるより、一緒に住もうという話になり、ご両親を札幌に呼んで、この場所に家族7人が同居できる家を新たに建てることにしました。

この家の特徴は空間を有効活用するスキップフロアと、グランドストレージを活用した設計プラン。
1階と2階をつなぐのが、中2階に設けたリビングです。床の高さが違うことで、目線が変わって楽しいだけでなく、ダイニングともゆるやかにつながって、広がりも感じさせてくれます。
リビングとダイニングは2つの世帯の共有スペースになっています。「コロナ禍では両親と食事の時間を分けるなどして生活できました。距離を保ちながらも顔が見える、適度に離れていてもつながった感じがよかったです」と奥さま。3人の孫と、それまで離れて暮らしていた高齢の祖父母が互いに心地よく過ごすのに、とくにこのリビングが果たす役割は大きいといいます。

Tさん世帯の居住空間は2階ですが、高齢のご両親の空間は1階にまとめました。足の悪いお父さまの生活動線をよくするため、お父さまの部屋をダイニングとトイレ・浴室に近い場所に配置しました。お母さまの部屋とも内側でつなげています。
奥さまは働いているため、キッチンをお母さまがいつもきれいに手入れをしてくれてとても助かっていると話します。キッチン奥の窓辺には、お母さまが育てている植物が並びます。
二世帯がつかず離れずのスキップフロアは収納も大充実 札幌市Tさん/マルトモホーム
リンゴ農家の二世帯住宅を「暖かく快適に」(青森県平川市)小野住建

青森県平川市。りんご畑が映える山のふもとに建つ、二階建てと平屋建ての二世帯住宅。
こちらはSさんご夫婦とお子さん、そしてSさんのご両親の8人住まいで、2023年5月に完成しました。
2022年までは、築50年の二階建ての家に三世帯で住んでいたというSさんご一家。
「四つ座敷」と呼ばれる、四つの仕切りのある和室がメインの間取りでした。
親戚が集まる際には襖を取り払って大広間として使う、昔ながらの家だったこともあり、毎年冬がくると寒さが辛かったといいます。
「雪国なので、ストーブのある部屋はいいですけど、戸を開けてしまうと寒くて寒くて……。部屋はもちろんですけど、床だったり脱衣所だったりも冷たかったですね。」
部分的なリフォームを繰り返しながら、家族で話し合い、2022年に建て替えを決意したそうです。

部分共有型の二世帯住宅である、S邸の家族の共有部は家の中心にある和室。
モダンですっきりとしたカラーのデザイン畳に、娘さんが書いたという書が飾られています。
Sさん「両親と私たちの住空間は左右に分かれていて、この和室でつながっています。」
ご両親の住まいは、玄関からすぐに和室、その先にはSさん家族の住まいに繋がります。
Sさんのご家族が多いこともあり、時々、ご両親側のお風呂を借りに行くこともあるそうです。
リンゴ農家の2世帯住宅を「暖かく快適に」/青森県平川市・S邸/小野住建
二世帯でも広すぎないからこその心地よさ (帯広市)水野建設

こちらはご両親の寝室です。I邸は寝室以外は共有の完全同居型の二世帯住宅。「二世帯でも広すぎないので、掃除も楽だしエアコンも一台で済んでいます」
ご両親の寝室からは、お母さんが丹精こめてつくった庭がゆったりと眺められる間取りになっています。

広すぎず、開放的な造りである点が特に気に入っています。2階ホールで勉強している息子に1階から声をかけたり、逆に息子がLDK近くの祖父母の部屋に気軽に遊びに行ったりと、コミュニケーションの機会が多くとても雰囲気がいいんです。三世代で住んでいることの豊かさを感じられる家になりました。
道産カラマツに包まれる、エネルギー自給型二世帯住宅/帯広市Iさん
玄関ホールを中心に分けた二世帯の住空間 (枝幸町)セルコホーム旭川・小森工務店

道北の枝幸町で酪農を営むHさん。以前は旦那さんのご両親の実家に同居していましたが、念願のマイホームを新築しました。
H邸は玄関を建物中央に配置。中に入ると向かって左手がお母さんの居住スペース、右手にご夫婦のLDKがあります。
両世帯が使いやすい動線を意識して、裏の勝手口から玄関ホールに続く廊下に洗面化粧台を配置しています。
奥さん 玄関ホールを中心に、二世帯の住空間を分けてもらいました。お母さんに来客があった時も、そのままお部屋にお通しできるので便利です。私たちの来客も、ホールからLDKにそのまま入ってもらえます。
また、ミニキッチンを付けたことで、お互いに気兼ねなく料理やお茶ができるようになったことも良かったですね。
赤い三角屋根の洋風な二世帯・農家住宅 枝幸町/Hさん セルコホーム旭川 小森工務店
二世帯住宅として動線も使いやすく(網走市)光輝建設

網走市内に2022年6月に竣工したこの家は、光輝建設で大工の棟梁として働くSさんがご家族の想いを“住まいのプロ”としてカタチにした自邸です。ご夫婦と幼い娘さん、奥さまのお母さまの4人で住む2世帯住宅となっています。
1階にはリビング・ダイニングや水回りなどのほかに、お母さまの部屋があります。ミニキッチンを付け、南東向きで日当たりがよいことにとても満足されています。
外壁やクロスの色で個性を演出。40㎝厚の断熱で年中快適な家 網走市Sさん
自然素材をふんだんに使った二世帯住宅(札幌市)シノザキ建築事務所

濃色のガルバリウム鋼板と道南杉との張り分けが落ち着いた個性を醸している3階建てのY邸。30代のご夫妻と、父親がお住まいの2世帯住宅です。
玄関は共通で、1階が親世帯、玄関ホールから階段を上った2、3階がYさん世帯になっています。どちらも玄関ホールに入口ドアが設けられ、プライバシーが緩やかに保たれています。3台の駐車スペースを確保するため、建坪は約17坪ほどと小さめですが、3階建てにすることで延床面積は約46坪と十分な広さに。Yさん世帯が暮らす2階フロアのリビングには、約4畳の広めのバルコニーもあります。夏にはバーベキューをするのが楽しみだとか。
「木をふんだんに使った2世帯住宅を建てたいと、みんなで話していました」と話すYさん。最初は元の家を生かせないかと、大手メーカーのリノベーション住宅を見学しましたが「期待しているものと全然違う仕上がりだなと感じました」(Yさん)
そこで建て替えに絞って、数社にプランを相談しましたが、「なるべく世帯のフロアを分離したい」「車を3台駐めたい」などの希望に住宅会社から「全ての希望を叶えるのは無理」と言われたそうです。そんなとき、奥さまの知人から紹介されて出会ったのがシノザキ建築事務所さんでした。
「もう無理かと思っていた私たちに、篠崎社長から『わかりました、私のアイディアで解決しましょう』と言われたときには感動しました」と、当時を思い出すように語る奥さま。
木や自然素材を使った上質な3階建2世帯住宅 札幌市・Yさん/シノザキ建築事務所
コンパクトで合理的な間取りの二世帯住宅(札幌市)晃和住宅
表通りから少し外れた道路に面した、閑静な住宅街にある2階建てのO邸。延床面積は約35坪ながら、お母さまと同居するコンパクトで合理的な間取りの2世帯住宅です。リアルな木目のダークブラウンのサイディングは、晃和住宅さんのオープンハウスでご夫妻が気に入った、ニチハ・パティナウッドを採用しています。
ところで、天井の左側は、本来は吹き抜けになっていますが、2階からはキャットウォークのように見えます。
実は、これは羽目板で吹き抜けをふさぐためにあります。「吹き抜けは、2階にいる子どもたちの様子が階下でも分かるので便利。また、2階に共通の友人を呼んで夜にお酒を飲みながらワイワイと楽しみたいと思っていました。しかし、それでは母に迷惑をかけるのではないかと気づきました。工事も終わりに近づいた頃です」とOさん。
「そのときに、工事担当の絹川さんに、音が筒抜けにならないように目張りできないか相談したんですよ。そうしたら、次に来たときには、もうフタをするこの板が出来ていました」。
アウトドア感覚で住むDIYしやすい木の家 札幌市・Oさん/晃和住宅株式会社
猫とおばあちゃんのための2世帯住宅(札幌市)アウラ建築設計事務所

この家は、マラソンと洋裁が趣味のお母様とジャズシンガーである娘さんが、お祖母様が将来車いす生活になっても、快適に暮らせるようにという願いを元に建てられました。
和室の奥はお祖母様の寝室で、ふすまのような窓は開けられる造りに。お祖母様は横になっている時間が長いそうですが、この窓を開けておけばお母様や娘さんは仕事しながらでも様子を感じることができます。
娘の雅絵さんは言います。「最初は母がハウスメーカーや住宅展示場を回って見積もりを取ったりしていたんですが、テーブルの上でただ話をしてるだけのように感じたみたいで。そこがおばあちゃんに優しいのか、疑問が生まれたそうなんです。それで一回話を真っ白にして。私が高齢者住宅をやっている方をインターネットで探していたら、山下さんを見つけたんですね。インスピレーションできっと話を聞いてくれそうな人だと感じました」
その勘は大当たり。山下さんとのミーティングは楽しい雑談の中から、きめ細かく家族の要望に応えていくというもの。最初は「あたたかくて段差のない明るい家」だけだったリクエストも「洋裁のための作業スペース、キッチンが広いこと、というようにどんどん広がっていったんです」とお母様。
遊びの部分がたくさんある、猫とおばあちゃんのための家/札幌市・高野さん/アウラ建築設計事務所
洋館風の明るい三世帯住宅(札幌市)サンケイ建匠
まるで洋館のような3階建ての家。1階は鉄筋コンクリート、2階以上は木造です。こちらのT邸も、入山俊也さんが担当・設計をしました。60代のTさんご夫婦、30代の娘さんご夫婦とお子さん2人、奥さんの母親と、全部で4世代7人の大家族です。
娘さんご家族が同居することになり、それまでの家を建て替えすることになりました。サンケイ建匠さんの構造見学会、完成見学会の両方を見て「これなら大丈夫」と決めたそうです。
「丸みがかった外観の家にしたい」というTさんの希望通り、南側は多角形で洋館のような雰囲気に。縦長の窓が並んで日差しもたっぷり入るこの空間は、親世帯の2階、子世帯の3階ともリビングルームが配置されています。1階は多目的に使える洋室で、バレエに励む娘さんの練習スペースにもなっているそうです。
Tさんの家は国道のそばにあり、車の往来も多いところで土地の広さも限られています。そこで、入山さんは敷地いっぱいに建物を設計して2世帯住宅として十分な広さを確保。室内も、極力無駄なスペースも造らないよう工夫しました。
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