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木や自然素材を使った上質な3階建2世帯住宅 札幌市・Yさん/シノザキ建築事務所

濃色のガルバリウム鋼板と道南杉との張り分けが落ち着いた個性を醸している3階建てのY邸。30代のご夫妻と、父親がお住まいの2世帯住宅です。今回は、2月下旬に行われたY邸のオープンハウスにおじゃましてきました。

車3台駐車。狭めの敷地でも納得のいくプランの2世帯住宅に住みたい



Y邸は、緑豊かな川沿いにあります。長年住み慣れた建物を今回、シノザキ建築事務所で建て替えました。家の前では、次々とオープンハウスの見学客が出入りしていました。見学を終えたのか、建物を見上げながら「細長い家だと思ってたけれど、意外と中は広かったね」と話すご夫婦らしいお2人も。「この雰囲気いいね、好きだね」と話す別の方たちもいました。



玄関は共通で、1階が親世帯、玄関ホールから階段を上った2、3階がYさん世帯になっています。どちらも玄関ホールに入口ドアが設けられ、プライバシーが緩やかに保たれています。

3台の駐車スペースを確保するため、建坪は約17坪ほどと小さめですが、3階建てにすることで延床面積は約46坪と十分な広さに。Yさん世帯が暮らす2階フロアのリビングには、約4畳の広めのバルコニーもあります。夏にはバーベキューをするのが楽しみだとか。



「木をふんだんに使った2世帯住宅を建てたいと、みんなで話していました」と話すYさん。最初は元の家を生かせないかと、大手メーカーのリノベーション住宅を見学しましたが「期待しているものと全然違う仕上がりだなと感じました」(Yさん)

そこで建て替えに絞って、数社にプランを相談しましたが、「なるべく世帯のフロアを分離したい」「車を3台駐めたい」などの希望に住宅会社から「全ての希望を叶えるのは無理」と言われたそうです。そんなとき、奥さまの知人から紹介されて出会ったのがシノザキ建築事務所さんでした。

シノザキ建築事務所のアイディア設計で、予算と広さの問題を解決



「もう無理かと思っていた私たちに、篠崎社長から『わかりました、私のアイディアで解決しましょう』と言われたときには感動しました」と、当時を思い出すように語る奥さま。さらにシノザキさんがつくる天然木を主体にした家の、センスと暮らしやすさの目線が隅々まで行き届いたデザインもまさにYさんご夫妻にとっては理想でした。

「でも、素晴らしいおうちなので、私たちには価格的に手が届かないと思いました。実際に『私たちが建てるのに、やはり敷居が高いのでは』とも話したんです。でも、篠崎社長は予算に合わせて柔軟に対応してくれ、『こうすればいい』と教えてくれる。こちらの要望を否定をせずに一緒に考えてくれる、そのお人柄にも信頼が持てました」(奥さま)

こうして、篠崎社長は、3階建てにすることで駐車スペースの問題を解決。1階は父親の住まい、2、3階はYさんご夫妻の住まいと分けた2世帯住宅が誕生しました。



このダイニングテーブルは、柏木工(飛騨高山)の椅子に合わせたシノザキ建築事務所の造作。素敵ですね。

公園の「うんてい」が室内インテリアとして溶け込むデザインに

1,2階フロアは無垢のくるみ材を使用。濃いグレーの珪藻土を塗った壁にはリビングボードが造作され、裏側でテレビなどの配線を隠せるようにしています。左奥にはユーティリティーがあり、洗濯物をこちらで干せるほか、隣のバルコニーにもすぐ洗濯物を持っていけるので便利。



天井には、しゃれた間接照明が・・・と思えば、実はYさんの希望で造作された木製の「うんてい(雲梯)」でした。お子さんが生まれたとき、またご自身の体力づくりのためにつくりたいと思ったのだとか。室内のインテリアとしてもなじむデザインです。



もちろん実用面にも工夫があります。うんていの始まりになる壁には、踏み台になるカウンターを設け、そこからはしごを登ってつかまるという実用的な造り。

Yさん邸には、いろいろなものを掛けたり飾ったりできるような有孔ボードが、リビングや書斎、トイレなど、あちこちで活用されています。無印良品のグッズを愛用しているYさんご夫妻、リビングボード下の棚なども無印のカゴが収まるようにサイズを測り、造作してもらいました。




キッチンカウンターから見たところ。脇にあるカラマツの大きな2本の柱がアクセントになっています。背後には下に食器棚、上部に造作の吊り棚があって収納もすっきり。向かいには家族で食事をする造作テーブル、左側はリビングスペース。奥は客間として仕切れる和室があります。



和室の横には、大きな木製の断熱扉が付いた食品庫もあります。扉は気密パッキンが入っていて室内の暖房熱を伝えにくい構造。食品庫の中は適度に外気が入って野菜やビールを保管するのに最適です。



造作した洗面化粧台はモザイクタイルがアクセント。

親子で勉強できる書斎、将来の子育てを考えた間取り

3階は、将来の子育てを考えた間取りになっています。9畳の細長い子ども部屋は、2つの個室として区切ることができます。子ども部屋に机は置きたくないと考えたYさんは、階段ホールに続く形で6畳の横長な書斎コーナーを設け、親子で座れるカウンター机を造作してもらいました。



子どもといっしょに勉強をしたり、本を読むスペースにしたいと考えているとか。プリントや絵を張ったりと、こちらでも有孔ボードが活躍しそうですね。



寝室の床は、優しい印象のチェリーに。窓側の壁は、リビングと同じく落ち着いたグレーの珪藻土塗りです。



3階にも、トイレと洗面化粧台を設けました。

基本は高断熱、そしていろいろな樹種の無垢フローリングで装いも豊かに

1階親世帯の暖房は、床下放熱器からの輻射熱を床ガラリから緩やかに放出。リビングにはYKK APの大開口スライディングという床まである大きなガラスの窓を採用していますが、ガラリから常に暖気が上昇するため室内は寒くなりません。また、このスライディング窓は、通常の引き違い窓より各段に軽く操作でき、片手で開閉できます。この新しい方式の窓は、2階リビングのベランダと行き来できる窓にも採用しています。


1階のスライディング窓と無垢床


断熱は、壁はグラスウール16kの充てん断熱とアルミ遮熱シート付きの高性能ウレタン断熱板「キューワンボード」を採用したW断熱方式。冬は暖房費を抑え、夏は遮熱シートが室内が暑くなるのを防ぐ働きがあります。



奥さまのお父様が暮らす1階リビング。下の写真はキッチンで、作業カウンター兼家電収納は道産のecoシラ合板で造作したもので美しく仕上がっています。



「当社で建てる家は、高性能であることはもちろんですが、なるべく既製品を使わずに手づくりを大切にし、無垢材などの天然素材を使用するようにしています」と篠崎社長は話します。「それは、50年後も住宅としての価値が評価され、オーナーさんの満足度が高いだろうと私は信じているからです」。だから、シノザキさんでは窓台や、壁と床の境目を仕切る巾木(はばき)といった細かい部分も木製。


階段の踊り場。格子状の木が美しい


「最後まで別の会社と迷いましたが、シノザキさんの柔軟な対応とデザインが良かったのが決め手となりました」と奥さま。「木のことや家のつくりについて、また資金のこともいろいろと分かりやすく教えてくれて本当に勉強になりました」

一方で多忙なYさんは、「妻の選ぶことに関しては、何も心配がありませんから」と全幅の信頼を寄せていらっしゃいます。奥さまのお父さまも、篠崎社長から家づくりについて説明をしてもらい、「こちらの話を聞いてくれそうだな」と好感を持ったといいます。建築に関しては知識のあるお父さま、完成したマイホームを見たときはそのレベルに驚いたとか。



「建て替え前はどこも寒かったのですが、今日、こうして中に入ってみるととても暖かいので、この先安心して暮らせそうです。それに、建て替える前はなぜか、川に面した方向に窓がなかったのですが、シノザキさんが建てた家は、ちょうど良い位置に窓があるので川や木々、反対側にある山々の景色を眺められるのがうれしいですね」と奥さま。「我が家にある桜の木も、これまで家の中からは見えなかったんですけれども、今年は窓からお花を楽しめます」と、うれしそうに話してくださいました。

Yさんも、単身赴任先から帰ってきたときは、読書やお昼寝をしてくつろいでいるそうです。「どうしても忙しいので、家で仕事をするときもありますけどね」と苦笑も。 それでも、Yさんご夫妻もお父さまも、春にはベランダから自宅の畑に出入りしてトマトやナス、ピーマンなどの作物を作るのを楽しみにしているそうです。「春先には、ナツツバキやカエデも植える予定なんですよ」と、ほがらかに話してくださいました。

記者の目



篠崎社長は、構造計算やさまざまな規制をクリアする必要がある3階建てにあえてチャレンジしてYさんの要望を叶えました。高級注文住宅メーカーで約1000軒以上の設計をしてきた篠崎社長の経験が、限られた予算の中でも見事に生かされていると思いました。

気になっている人は、まずシノザキ建築事務所さんに問い合わせてみてはいかがでしょうか。事務所は、同社でよく使われる木材を少しずつ使って室内を仕上げているので、モデルルームのように見学することもできます。「しのカフェ」などのイベントでは、個別に予約して相談できるので、ゆっくりと家づくりのお話が聞けると思います。


2018年03月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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