ご主人が若くてして亡くなり、その後は子どもを育てるため、必死で働いてきたTさん。お子さんたちも立派に成人し、仕事も生活にもゆとりができました。そこで自分の時間を大切にし、孫の顔も間近に見えるマイホームを建てました。
- 玄関ホールとリビング、寝室とリビングはそれぞれ縦格子の引戸で仕切ることができる
仕事優先からゆとりある人生へ
今までTさんは店舗兼自宅に住んでいました。しかし仕事優先のため、事業が拡大すると住居部分を削って店舗部分を拡大したために生活にしわ寄せが。「キッチンがなくなってしまい、自由に料理を作ることができなくなりました」とTさん。さらに、建物が古いので冬の寒さも気になっていました。「今まで頑張ったんだから、自分だけの家を建てさせてね」と子ども達に相談。
土地は、近くに住む娘さん宅の敷地が広いので、その一角に家を建てることにしました。それではどこで家を建てるのか?実は息子さんがシノザキ建築事務所の篠崎廣和社長とテニス仲間で年齢も同じ。気軽に話ができるところから家づくりの話が弾んだようです。
Tさんも「息子が推薦してくれる会社なら大丈夫」と心から信頼し、ほかの会社は検討しなかったと言います。
娘さん、息子さんの協力でマイホーム計画が動き出しました。
木を使い上質な家に
Tさんお一人で住むため、広さは求めていませんでした。むしろ、コンパクトな動線で日常の生活が完結し、落ち着きのある上質な住まいを求めていました。さらに「ログハウスに憧れていた」と話すTさんは、木をふんだんに使った家をイメージしていました。それに応えたのが篠崎さん。
外観は木の羽目板を全面に張ってウッディな雰囲気を作っています。また、高窓のある吹き抜けが外観上のアクセントにもなっています。
打ち合わせは、篠崎さんのプラン提案をTさんが最初から気に入り、スムーズに進みました。写真を見てもおわかりのように、床はブラックチェリーという高級な材料を使った無垢材。表面に薄い板を張った床と違い、表面が汚れや傷がついても磨くことで新品同様の輝きを取り戻します。落ち着いた色調の室内は、家具収納もシノザキ建築事務所が造作し、床と同じ素材を使ったので統一感があります。
コンパクトで広く暮らす工夫
広々と暮らすために、通常の間仕切りは使わず、光が入る天井まで届く縦格子の大型引戸を造作しています。引戸を閉めても開放感たっぷり。それでいて「仕切られる」ことで心理的に落ち着いて寝られます。
実はトイレに間仕切りがなく、洗面所の奥にあります。1人暮らしならではの合理的な造りです。また、平屋建てで吹き抜けを設けるという贅沢な設計も開放感を演出しています。
暖房はイタリア製ペレットストーブ。燃料は、これまで利用が進まず廃材扱いだった道内の間伐材などを原料にした木質ペレットを使います。薪ストーブよりも手軽で温度調節やタイマーも使えるスグレモノです。
断熱は、外壁が高性能グラスウールで160mm相当と国の次世代省エネ基準を上回る性能にしているので、暖房費が安くなりそう。性能を良くしたことで、ペレット燃料も1回補充したら2~3日持つと試算しています。
この家はバリアフリーも意識して作られています。段差が家中ほとんどなく、開放的なプランなので大規模な改修をすることなく長く住めそうです。
Tさんは交友範囲も広く、真っ赤な愛車で友だちと温泉旅行に行くなど、新しい暮らしを楽しんでいる様子でした。
記者の目
1人暮らし、2人暮らしの世帯が過半数を占める時代。上質な材料を選び、性能の良いコンパクトな家に暮らすことは、節電や省エネルギーが必要な時代にもマッチした新しいライフスタイルだと思いました。
2011年10月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。