最寄り駅に近く、緑にも恵まれた環境に建つ札幌市Oさん邸。高性能でデザイン性豊かな家づくりを考えていたOさんご夫妻は、IEZOOMで気になった住宅会社数社を選び、プラン提案でデザイン性がひときわ優れていたというシノザキ建築事務所さんにマイホームを依頼しました。
アメリカ滞在の経験もあるOさんファミリーが希望したゆとりのある空間づくり。太陽光発電と蓄電池、ガス発電機の排熱を暖房に利用する「コレモ」など、災害時にも安心なエネルギー自立住宅への取り組みも詳しく取材しました。
目次
札幌軟石とタイル、道南杉を使った端正な外観
札幌軟石、道南杉、タイル、塗り壁と素材を使い分けたOさん邸。端正なたたずまいで、周囲の環境にも馴染んでいます。SE構法により大胆なオーバーハング(2階の床が1階よりもせり出している)を実現し、玄関前は屋根付きの駐車スペースとして活用しています。道路までのアプローチは暖房の排熱を使ったロードヒーティング。これまで捨てていた熱エネルギーをリサイクルし雪を融かす、とってもエコな装置です。
玄関ドアを開けると、名古屋モザイクのアクセントウォールが迎えてくれます。右側シューズボックス上の壁は珪藻土塗り壁、左側には収納力たっぷりのシューズクロークがあります。内装はシノザキ建築事務所のインテリアコーディネーター、篠崎正子さんが奥さまと相談しながら決めていきました。
適度な距離感でコミュニケーションが弾むLDK
吹き抜けやスキップフロア、中2階のように使える踊り場など、のびやかな広がりを見せるLDK。Oさん邸は建ぺい率などの制限が厳しい風致地区にありますが、その不利な条件を克服しました。自由なプランを実現できたのは、ビル建築のように構造計算をきちんと行って柱や梁、柱脚と基礎を独自の金物で強固につなぐSE構法を採用したからです。広々として、しかも高い耐震性を実現しました。
リビング側からダイニングキッチンを見たところ。スキップフロアで段差をつけています。こちらの床はタイルですが、Oさん邸はコンクリート基礎部分に温水配管を回した床暖房により、穏やかで快適な環境を保っています。
階段は通常の約1.5倍という横幅でゆとりを確保。また、1階に降りていく3段分の踏み板は、ほぼ正方形で何人かが腰掛けることもできます。「リビングのソファやダイニングのチェア、階段など、LDKの中でみんなが思い思いの場所に座ってくつろいでいます。程よい距離感がいいのか、ソファに固まって座っていた頃よりも、家族のおしゃべりが増えましたね」とご主人。
階段の踊り場は、幅が約3.5m、奥行約1.5mもの広さがあります。壁際にカウンターを造作し、フリースペースとして使っています。窓も2ヶ所に設けていて採光も十分。
高性能住宅でも開放感のある窓がお気に入り
高断熱高気密の高性能住宅といえば、性能を優先するあまり四角くて小さな窓が3つぐらい並んだ閉鎖的な家を想像していたというお2人。しかしシノザキ建築事務所さんの設計では、窓の大きさと数の多さに驚きました。
奥さまが話します。「前はマンションの4階に住んでいて、景色の良さがお気に入りでした。ここは隣の建物が近いので内心心配していたのですが、シノザキさんが景色を取り込んだ位置にうまく窓をつくってくださって、うれしかったですね」
キッチンカウンターの造作も、奥さまのお気に入りです。「来客時に、キッチンのゴチャゴチャしたところは見せたくなかったんです」。そこで、シノザキさんと相談の上、ダイニング側からは見えにくい高さのカウンターを造作。前面には収納などを設けました。「朝はお弁当を3つ作るので、カウンターに並べて置けるのが助かっています」。ほかのところでも、シノザキさんは細かいところまでよく聞いてくれて、使いやすいようにデザインをしてくれたそうです。
キッチンの奥からダイニング側を見ると、こんな感じです。収納もたっぷりでスマートにおさまり、動きやすく物も出し入れしやすい。冬場には冷気を保つ断熱食品庫も活躍しています。
写真の1階洗面コーナーは、来客を意識したつくり。2階は完全にファミリーの空間として、独立した洗面室とバスルーム、トイレ、ユーティリティーを設けました。フローリングは主にウォルナットの無垢材を使い、1階でも使っている道産ゼオライトの白い塗り壁や淡いカラーのクロスを合わせています。
エネルギー事情に左右されない安心して暮らせる家を目指した
もともと太陽光発電を採り入れたいと考えていたOさんご夫妻。2018年の北海道胆振東部地震によるブラックアウトの経験もその思いを後押ししたといいます。篠崎社長と多方面から検討した結果、天然ガスを使うエコジョーズ+コレモと、太陽光発電+蓄電池の2つを使った『エネルギー自立型住宅』をプランしました。
コレモはガスで発電するシステム。その際に発生する排熱を暖房に利用します。余った電力はガス会社に売電もできます。ブラックアウトのような停電が起こっても、発電中であれば給湯・暖房や一部の電気機器を使い続けられます。
太陽光発電は2kWh分のパネルを設置。発電した電気は蓄電池に貯め、普段は家の照明や冷蔵庫などに使っています。ブラックアウトなどの非常時も使い続けられます。家のすべての電力をまかなうのではなく、大事なところだけ供給するという考え方で、太陽光パネルの設置数を減らし、設備コストを抑えました。
「設備導入には、イニシャルコスト、ランニングコスト、メンテナンスコストの3つをあわせて考えることが重要です」と語る篠崎社長。シノザキ建築事務所では、30~40年と住み続けた収支のバランスを考え、健康・快適性などを考慮した上で、オーナーさんのメリットになる建材や設備を提案しているといいます。
暖房・給湯に何を使うかについては、研究熱心なご主人の希望や質問に、篠崎社長はシミュレーション計算した結果も伝えながら、なるべくコストのかからないバランスの取れた方法を探っていきました。「ご主人の熱意には私も刺激されましたし、非常に勉強になりました」
ご主人も、「エネルギーの選択、生活動線や空間の使い方など、相談するたびにきっちりとした答えをいただける。そういったやりとりが、理想の家づくりに役立ちました」と、振り返ります。
「IEZOOMの中から選んだほかの会社も不満はなかったのですが、シノザキさんがいちばん素晴らしかった」。その思いはマイホームの完成まで変わらず、「本当の意味での“注文住宅”がつくれました」と誇らしげに語ってくれました。
記者の目
当日はIEZOOMも含めて3社の取材にOさんや篠崎社長がにこやかに対応していました。毎回オーナーさんからお聞きするマイホームに対する満足度も非常に高く、性能、デザイン性、快適性に優れたシノザキ建築事務所の家づくりはますます注目を集めています。
2020年02月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。