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円山公園へ住み替え。中古マンションを戸建て感覚で上質リノベ「うつろいの、こばこ」

自然素材を取り入れた家づくりに定評のあるシノザキ建築事務所が、 中古マンションのフルリノベーションを手がけました。 戸建て住宅のポリシーをマンションにも活かしているとのこと。 さっそく見学会に出かけてきました。
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「うつろいの、こばこ」に込められた思い

内装以外は建築当時とほとんど変わらなかった築31年の3LDKマンションをスケルトン状態にし、2LDKに変更するなど、大変身した今回のリノベーション。 シノザキ建築事務所では「うつろいの、こばこ」と名づけています。

「マンションをかわいらしい小箱にたとえて、移り住むときめきを表現してみました。今後は長年住み慣れた一戸建てから、マンションへの住み替えを希望される方が増えてくるのではないでしょうか」

こう話すのは、二級建築士でインテリアコーディネーターの篠崎正子さん。今回のリノベーションも、依頼主と一緒に物件探しから同行し、プランニングを担当しました。

依頼主は40代の女性と80代のお母さまの二人家族。数年前にお父さまが亡くなり、娘さんが仕事に出ている日中はお母さまがおひとりになるため、冬場の除雪や広い家の管理は難しいということで、マンションへの住み替えを希望されたそうです。

「人気エリアで相場が上昇しているため、築30年以上のマンションを見てまわりました。希望通りの立地でも配管の都合などで壁を取りはらって工事できず購入を断念したこともあるなど、物件探しには苦労しました」(篠崎正子さん)。

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水回りと収納がリノベーションのポイント

「リノベーションのポイントは水回りと収納です。奥まった場所で壁を向いていた暗いキッチンを、バルコニーに近い場所に移し、リビングに向き合った明るく開放的な対面キッチンにしました。トイレは広くしてカウンターを造作。また、玄関にはシューズクロゼット、二つある洋室にもそれぞれにウォークインクロゼットを設けました」(篠崎正子さん)

玄関ホールのシューズクロゼットは、注文住宅によく見られるウォークインタイプのたっぷりサイズ。雨具などもすっきり収納できそうです。キッチンは、通常のI型タイプに対面カウンターを職人が造作したもの。収納はほとんどが造作で、上質な空間作りへのこだわりが感じられます。

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戸建てからの住み替えで一番問題になるのは、きっと収納ではないでしょうか。

「これまで使っていた食卓やソファはサイズが合わないので、新しくしました。壁際のカウンターは窓の高さに合わせるため、テーブルの高さや椅子の座面を通常より低くするようオーダーしています。お手持ちのベッドやお仏壇はあらかじめ寸法を図ってきっちりと納まるようスペースを確保しています」

なるほど、何を処分して、何を新居に持っていくか、スペース効率を考えながらプランニングすることが大事なのですね。

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RCマンションに、木造のやさしさを

シノザキ建築事務所らしいこだわりも内装の随所に見られました。

リビングの一番広い壁面は、珪藻土の塗り壁。床材はウォールナット突板の積層材。カウンター台はクルミの3層合板。いずれも表面が厚めの突き板なので無垢材のような質感が味わえます。

玄関の上がり框(がまち)やトイレの手洗いカウンター前にはタイルのアクセントが効いています。落ち着いた色合いの自然素材に囲まれていると、木造住宅にいるような居心地の良さを感じます。

「現在主流の、表面に木目をプリントした新建材は便利で手軽だけれど、時間が経てば色あせてしまいます。マンションでも使い込んでいくうちに味が出てくるような本物の素材を取り入れた家づくりをこれからもご提案したいです」(篠崎正子さん)

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リフォーム前。30年前のキッチン(右)は壁で隔てられて閉塞感があり、トイレ(左)は狭かった

もとは個性のない画一的なマンションでも、自然の素材と職人の造作をたっぷり使ってリノベーションすれば、注文住宅のような居心地のいい空間が可能になる−−。見学会でリアルに体感することができました。

記者の目

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今回のリノベーションでは、ご高齢のお母さまの安全面に配慮した工夫が随所に施されていました。廊下の手すりはもちろん、トイレは広くして引き戸に、お風呂はまたぎの低い浴槽に...。このあたりは当然かもしれませんが、篠崎さんのアイデアが光るのは、たとえばトイレ収納の取っ手部分。よく見るとリスとウサギのかわいいモチーフになっています。女性の二人暮らしだからこそ、こういう小さなアイテムが、暮らしを豊かに彩るポイントしれませんね。

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2017年05月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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