Oさんは東京生まれの東京育ち。バイオテクノロジーの分野で長年研究職や教職に携わり、63歳になった現在も、大学の医学部での実験をサポートしています。
都内に住まいを構えていますが、2024年11月、北海道苫小牧市に念願のセカンドハウスを実現しました。設計・施工を担当したのは札幌のシノザキ建築事務所です。Oさんがシノザキ建築事務所を選んだ決め手は以下のようなポイントでした。
・高断熱・高気密の住宅性能の高さ
・環境負荷の掛からないエコ住宅を建てている
・断熱材(現在はシュタイコ社の木質繊維・吹込み断熱材を採用)から自然素材にこだわるポリシー
・自然の仕組みを活用した独自の冷暖房システム(ラディアント・サキュレーション・システム 特許第7287683号)
完成した住宅を拝見しながら、Oさんとシノザキ建築事務所代表の篠崎社長に家づくりについての詳しいお話をうかがいます。
苫小牧市はこんな街!
苫小牧市は太平洋に面した北海道最大の港湾都市です。王子製紙などの工場がある工業の街でもあり、ホッキ貝の漁獲量日本一を誇る漁業の街でもあります。市内には公共施設や病院、大型ショッピングセンターなど生活インフラが充実。JRや国道も通っており、新千歳空港へ車で30分、札幌までは電車で50分という好アクセスで、とても暮らしやすい街です。
一方で樽前山(ウフイヌプリ)を望み、湧水が流れる美々川や白鳥の中継地・ウトナイ湖があるなど、豊かな自然がすぐ近くに広がっています。移住地としても人気があり、移住+就業で移住支援金が最大105万円支給されるなど、市のサポートも充実。雪の日が少なく、気候が良いことも住みやすさにつながっています。
それでは新居を拝見していきましょう。
風合い豊かな自然素材でつくられた「本物の住まい」
太平洋の明るい青空の下、丘の上の住宅街を進んだ先にOさんの新居を発見しました。外壁には屋久島地杉の板張りを採用。ソーラーパネルを搭載した三角屋根の平屋建てです。
2区画を購入し、一方に住宅を、もう一方には庭をつくる予定なのだそう。写真は庭区画から撮影したもの。ウッドデッキ下の勾配に積んだ石垣も良い雰囲気です。
玄関に入ると右手にOさんの書斎、左手にLDKが続きます。
壁一面に本棚を造作したOさんの書斎。テーブルやカウンターなど使い勝手良く構成されています。窓の向こうには雑木林が広がっています。
吹上天井になった開放感あふれるリビング。大きな開口部からたっぷりと陽射しが注ぎます。窓の向こうに庭が見える配置です。
床材や造作のテレビボードなど、素材は全てクルミの木を使っています。シノザキ建築事務所らしい、本物志向のハイセンスで心地よいインテリア計画が光ります。
玄関の横に位置するキッチンはクリナップ製のL字型です。150cm幅の造作カウンターは、天板に天然水晶が主成分の人造石を採用したこだわりの一台。家電収納も完備しており、カウンターを中心に使いやすい回遊動線になっています。
奥さまと娘さんの家族三人が揃うときは、ここで料理を作るのも楽しみ。すぐ横にダイニングテーブルを配しており、ダイニングが家族団らんの場所になります。
窓際には作業カウンターをプラン。ちょっとした書き物やティータイムなどにも便利です。
薪ストーブを活用したエコで省エネな暮らし・設置には耐震性にも配慮
換気や暖房についても調べたというOさん。シノザキ建築事務所が特許を持つ、自然の力を活用した換気・冷暖房システム(ラディアント・サーキュレーション・システム)も依頼の決め手になりました。暖房時には薪ストーブの輻射熱を活用します。
Oさん シノザキさんの住宅は耐震等級3の高耐震ですが、いくら建物の耐震性が高くても、中のものが倒れてしまったら元も子もありません。200kgもある薪ストーブが万が一地震で倒れたらと、篠崎さんに相談したところ、丁寧に調べ直してくれました。
結果、煙突が屋根を貫く形で設置する薪ストーブは固定が難しいため、細い脚を滑らせる形で揺れを逃す方法が最適だと分かり、タイルを床に敷いて対応しています。
玄関横から家の裏にかけては、屋根付きの薪棚を備えました。今冬使う薪がびっしりとストックされています。写真左手前に見えるのは換気システムの吸気パイプ。ここから外の新鮮な空気を床下に取り込んでいます。
引き戸付の収納に納められた蓄電池はしっかりと床に固定。また内部壁にはモーターファンが付いており、引き戸上部の壁に設けた通気ガラリから室内の空気を採り込み、ここから吸い込んで珪藻土が敷き詰められた床下に放出しています。
一方、外から取り込んだ新鮮な空気は、床下を通じて、室内床に設けたガラリを通って室内に行き渡ります。勝手口上部には寒冷地用エアコンも付けていて、夏は冷風を、春と秋は補助暖房として温風を送り出すことも可能です。
Oさんにお聞きします
苫小牧を2拠点生活の地に選んだ理由はなんですか?
Oさん 少年期のボーイスカウトから始まり、カナダのカヌー・キャンプに参加したりと、昔からキャンプや魚釣りなどアウトドア全般が好きでした。東京近郊でもやっていましたが、どこへ出かけても人が多く、費用も掛かります。
北海道に娘が進学し、四季を通じて訪れる機会が増え、こちらのスケールの大きさを実感しました。仕事がひと段落したら、北海道でアウトドアを楽しみながら暮らしたいという想いが強くなりました。
拠点をどこにしようか。北見や網走から南下し、道東なども巡りましたが、付近を大自然に囲まれた立地がアウトドア拠点としても理想的で、都市機能も備えており、新千歳空港や札幌へのアクセスが良い苫小牧市を選びました。バス路線があり、公共の交通機関での移動も可能です。
シノザキ建築事務所との出会いは?
Oさん 当初は中古住宅も検討しましたが、古い物件が多く、断熱性能が圧倒的に足りていないと感じました。断熱について調べるうちに、北欧やドイツなどの家づくりを知りました。北国の気候風土に対応した住宅性能を求めるなら、道内の住宅会社に頼みたいと思い、依頼先を検討し始めました。
一方で環境負荷の掛からない家づくりを求めた時に、木質繊維断熱材(ウッドファイバー・現在は発売停止)を知りました。採用している会社が道内ではシノザキ建築事務所さんだけだったことから、問い合わせたのがきっかけでした。
実際の家づくりの感想は?
Oさん 家づくりは一生に1度か2度の大きな買い物で、皆はじめは分からない事ばかりです。篠崎社長は全ての工程において、こちらの疑問を解消し、丁寧に説明してくださいました。そのお陰で、完成した住まいは全く違和感がなく、どの空間もイメージ通り。感謝と共に、とても満足しています。
今後は新居を拠点に本格的なデュアルライフを実践予定
研究者ならではの視点で探求したOさんの住宅会社探し。そしてそのお眼鏡にかなったシノザキ建築事務所の高品質なこだわりの家づくり。
Oさんは「世代を超えて長く使っていける家には愛着が湧くし費用を掛ける意味がある。手入れをしながら大切にしていきたい。今後は月の半分を東京で、半分を苫小牧・ウフイヌプリの家で過ごしながら四季を通じてアウトドアを楽しみたい」とも話してくれました。
カメラ 村川写真事務所
記事 iezoom松下綾
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