Story 取材記事

夢を育むスキップフロアの隠れ家/江別市Nさん

小さな子供のいる方にとって居住スペースと収納の狭さは切実な問題。集合住宅では騒音も気になります。7歳を頭に5歳、1歳半の3人の男の子を持つNさんもその1人。「息子たちのために広くて快適な家を100年先まで残してあげたい」。そんな思いが詰まったマイホームでの暮らしをのぞいてみました。

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【写真1】N邸外観。住宅、木製の車庫・物置、アプローチのアシンメトリーな配置が絶妙

狭さと収納不足が家づくりのきっかけ

N邸を訪れたのは、今にも雨が降り出しそうな日曜日の午後。厚めの上着が必要な肌寒さでしたが、新しい家の中は暖房なしでも気持ちのいい暖かさでした。3兄弟は無垢フローリングのぬくもりが優しいリビングで仲良く遊んでいたところ。「こんにちはー!」と元気に迎えてくれました。再び遊びに熱中し始めた子供たちを見つめながら、新築を決めた経緯について語るNさん。

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【写真2】リビングとダイニング。コーナーの飾り棚と収納付きカウンター、テーブルは造作

「前に住んでいた2LDKのアパートはとにかく狭かった。子供たちを自由に遊ばせてやれるスペースがないのが可哀想でした」。ワンパク盛りの1番上と真ん中のお子さんは仮面ライダーやスーパー戦隊が大好き。バトルごっこを繰り広げては叱られていたそうです。男の子なら誰もが1度は通る道とはいえ「近所迷惑じゃないかと心配で」とNさん。奥様も「子供から目が離せないので家族の中心を向いた対面式キッチンが欲しかった」といいます。

収納不足も深刻で、増え続けるお子さんの洋服やおもちゃが片付かなくて大変だったとか。「子供の自転車が全部で5台も。下の子が使えると思うと捨てられなくて」と奥様。サーフィン歴10年のNさんのサーフボードも実家に預けたままでした。

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【写真3】アジアン調の1階トイレ。濃いグリーンと花柄のクロスを組み合わせて気品ある雰囲気

資産価値のある広い住まいを

条件に合った中古住宅やアパートが見つからず、最終的に家を建てる道を選んだNさん。「息子3人が成長しても十分な居住空間と収納をどう確保するかを第一に考えました。子供から将来『いらない』と言われないよう、財産として残せる家にしたいと思いましたが、大手ハウスメーカーでは予算が合いませんでした」。

そんな時、ふと目に止まったのがシノザキ建築事務所の完成現場見学会の広告。「知らない会社だけど行ってみようかと。深い色合いのウォルナット材を使った和風住宅に魅力を感じました」。

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【写真4】吹き抜けからスキップフロアーのフリースペースを見下ろしたところ

社長の篠崎廣和さんから1時間ほど家づくりの基本についてレクチャーを受け、丁寧で誠実な説明ぶりに、「この人なら自分が思い描いている家を予算内で実現してくれる」と確信。室内に暖房パネルを設置しなくてよいエナーテック社の電気蓄熱床下暖房システムも決め手の1つだったといいます。

「我が家も床などに無垢のウォルナット材を使いましたが、見に行った完成現場見学会の家とは違うちょっとモダンなデザインにしました」と新居の出来映えに満足そうなNさん。「あきらめていた吹き抜けも実現し、開放感のある家になったと思います。濃い色の木を使うと重い感じになるんじゃないかという心配がありましたが、住んでみて圧迫感を感じません」。

化学物質に弱い奥様の体質を考え、内装の大半は調湿効果や臭いを吸着する作用があるとされる"ゼオライト"の塗り壁。「補修も霧吹きで表面を濡らしてコテでならすだけなので簡単です。少し前に妻が直したばかり。子供がぶつかったりしてまたキズついてしまいましたが、味わいがあっていいですよ」。

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収納スペース側の壁を全面鏡張りにした洗面コーナー。ちょっとしたアイディアで忙しい朝が大助かり

親子の程よい距離感を保つ間取り

インテリアは取材に同席したシノザキ建築事務所・篠崎正子さんがトータルコーディネート。「夢だった」というリビング全体を見渡せる白い対面式キッチンに奥様も納得の表情。下がゴミ箱スペースになった作業台や大きめの食品庫を備え、使い勝手は抜群。

子供たちのスペースも十分確保しました。玄関とつながったオープンなリビングとダイニングは3兄弟が走り回っても余裕の広さです。2階には大小2つの子供部屋。大きい方は後から仕切って使えるように入り口を2ヵ所設けています。

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【写真6】掘りゴタツ式カウンターのあるスキップフロアのフリースペース

面白いのが階段の踊り場を広くしたスキップフロアのフリースペース。目の届く場所で勉強させるために造ったそうですが、この秘密基地のような小空間があることで落ち着いた雰囲気のリビングに遊び心が加わりました。

造作したカウンターは足を伸ばして座れる掘りゴタツ方式。小さな子供なら頭までもぐり込んでしまえて隠れんぼにはもってこいです。イタズラもできそうですが「ソファに座っているお父さんにはわからなくても、キッチンにいるお母さんにはしっかり見えています」と篠崎さん。転落防止柵と目隠しを兼ねた木の格子は階段が出来た後、キッチンから子供の姿が見えているかを確認しながら造り方を決めたそうです。

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【写真7】靴脱ぎベンチを設置した玄関。家族は隣のシューズクロークで靴を脱いで室内へ

収納もタップリ。サーフボードやコートも入るシューズクロークのほか、床下を有効活用した地下室みたいなスペースがあります。入り口の階段から中を見下ろすと結構深そう。「悪いことした子は入れらるとか...」。スタッフの問いかけにNさんと奥様は「いつも隠
れんぼに使っているから怖くないでしょう」と笑います。

同じ素材で統一した木のカーポート付きガレージと物置があるのでNさんのバイクの修理や自転車の置き場所にも困りません。

猛暑でも冷房なしでOK

「新しいおうちはどう?」。1番上のお兄ちゃんに聞いてみましたが、恥ずかしそうにお父さんの影に隠れてしまいました。その頭を優しく撫でながら「もう騒いでも怒られないからいいよね」と微笑むNさん。

「猛暑が続いた今年の夏でしたが、昼間の室内も27~28℃と外気温より低く、冷房がなくても過ごせました。暑い職場から戻った時、建物の断熱性の高さを実感しました」。来年の春はガーデニングに挑戦して緑を増やす予定です。

記者の目

暖かみのある上品なデザインと変化のある空間が魅力のN邸ですが、お忙しいご夫婦が同時に使える洗面所や靴を洗うスペースといった暮らしに便利なアイディアもいっぱい。お子さんが触れないようにパソコン等を埋め込み式配線にしたり、子供室の引き戸をソフトクローズドにするなど安全にも配慮しています。こうした目立たない工夫こそ、子供にとっても大人にとっても居心地のいい家づくりに欠かせないのではないでしょうか。


2012年11月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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