Story 取材記事

耐震等級3のオフグリットな2棟 札幌・シノザキ建築事務所【工事現場編】


奥に位置する親世帯


断熱・気密に優れた高性能な建物に、自然素材をふんだんに採用した居心地の良さで人気の札幌・シノザキ建築事務所。近年はエコで省エネな空気循環システム「ラディアント・サーキュレーション・システム」の標準化によって、室内の温熱環境も更によくなっています。

ラディアント・サーキュレーション・システムの詳細記事はこちら

8月下旬、今度は高耐震を叶える「SE構法」を採用した工事が進行中と聞き、早速現場を訪れました。現場を見学しながら、篠崎社長にお話をうかがいます。

高耐震・SE構法の採用で耐震等級3を実現



現場では、道路面から入って奥に位置する施工面積63坪の親世帯(H邸)、手前に位置する45坪の子世帯(M邸)が同時進行で進んでいます。



順に親世帯(H邸)と子世帯(M邸)完成予想パース


取材当時は奥の親世帯の棟上げが終わり、子世帯の基礎工事が進行中で、親世帯の屋根下地の合板や間柱を組む段階に入っていました。

接合部が強靭だから地震に強い


SE構法で指定された特殊金物


SE 構法」は、柱や梁に、強度検査をクリアし、精密にプレカットされた集成材を使い、一定の耐震基準を満たした特殊な金物で剛接合していくことで、強度の高い構造を造ります。



一般の木造在来工法では、柱と梁をつなげる部分に「ほぞ」と呼ばれる穴加工をしますが、その穴が強度不足につながるという指摘もあります。



SE構法では「ほぞ」穴を開けることなく、頑丈なボルトやドリフトピンといった特殊金物で強固に接合するため、「連続した揺れ」にも強いという結果が出ています。

柱が基礎に直結することで「引き抜き」に強い



大地震による揺れによって最も壊れやすいのが柱と基礎の連結部分。地震によって柱ごと引き抜かれてしまうのです。



SE構法の「柱脚金物」は、基礎と柱を直接連結することで、引き抜き耐力が大きく向上しています。


基礎と柱を直接連結できる「柱脚金物」


このような工程を経て、構造計算を行い、耐震性を確認。耐震等級3という、耐震等級の中で最も高い性能を持つ建物が完成します。

高い構造性能だから大開口・大空間が可能に

SE構法で構造性能を高めることによって、従来の木造軸組では安全性の懸念によって叶わなかったような、大きな開口部や吹き抜けなどのダイナミックなプランが可能になります。



H邸ではリビングに大きな吹抜をプラン。現在は2階の作業中のため、仮に2階床を板張りしています。



リビング続きにはオープン・テラスを設ける予定。角に柱の無いオーバーハングの枠組みも、SE構法なら安心です。

どちらの住宅もリビング・ダイニングがすっぽり吹抜けて、上下階一面大開口の窓からは日射しがたっぷり入り、仕切りのない広々とした大空間になる予定です。

国が認定する「長期優良住宅」の対象になる



耐震等級3を得ることによって、長期優良住宅の対象になるため、税金や住宅ローンの優遇を受けることもできます。

太陽光発電と蓄電でオフグリットな暮らしを


H邸の屋根には太陽光パネルを積む予定


篠崎社長 Hさま邸では12.96kW相当・32枚の太陽光パネルを積載して自家発電を行います。余剰電力を10kWの蓄電池に備え、夜間の消費電力に充てます。屋根のこう配が大きいのは、雪を落として冬でも発電を可能にするためです。


ラディアント・サーキュレーション・システムの仕組み


2020 年からは、小屋裏に設置したDCモーターのわずかな電力を使って、熱や冷気を家中に循環させるラディアント・サーキュレーション・システム(特許申請中)を開発し、標準化しました。

現在はこのように、カーボンニュートラル(脱二酸化炭素)で低コストな暮らしを実現させるため、創エネとオフグリッドの家を規格化する仕組みづくりに取り組んでいます。

時代の変化を把握しながらこだわりを追求した家づくりを



篠崎社長 地震ばかりでなく、豪雨による土砂災害が頻繁に起こる昨今、それに耐えうる性能が、住宅づくりの必須条件です。コロナや、ロシアのウクライナ侵攻といった世界情勢の大きな変化で、木材供給にも大変な影響が及んでいます。



住宅建築においては、やむなく木製から金属・合成樹脂製の部材に変更する動きもありますが、日本人にとって木造住宅へのこだわりは変わらないと感じています。

弊社では年に2棟ほどのペースでSE構法を採用し、長期優良住宅の認定を受け、長く住み継ぐことを考えた、間取り変更にも対応力が高い構造での家づくりを推進しています。

シノザキさんの家づくりは、究極のエコと省エネを追求し、オフグリットまで到達しつつあります。そして今回ご紹介したSE構法は、厳密にプレカットされた材料を用いるため、工事では小さな誤差も許されないということ。心地よく美しい建物は、直営の大工さんたちの腕の良さに支えられているということも、改めて感じた取材でした。

さて、親子別棟で建設中のこちらの現場は、完成後に再取材をさせていただく予定です。続編では、完成したお宅の様子をお伝えします。どうぞお楽しみに!


2022年09月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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