Story 取材記事

薪ストーブやロフトが生活を彩る、空窓階段のある家 札幌市H邸


今回ご紹介するのは、機能とデザインを両立する設計にファンが多いシノザキ建築事務所の住宅です。性能の良い住宅を探す中で同社と出会い、「Natura Vita(ナチュラ ヴィータ)〜空窓階段のある家〜」のプランに魅了されたHさんに、閑静な住宅地に立つ新居を見せていただきました。

住宅性能の勉強をする中で見つけた、シノザキ建築事務所



ご主人 新築のきっかけは、元気いっぱいの3人兄弟が、周囲を気にせずにのびのび暮らせる家を建てたいと思ったことでした。40歳という年齢もあり、建てるからにはしっかりした家を建てようと考え、住宅の基礎や性能について勉強を始めたんです。


外壁に屋久島地杉を使った木の温もりあふれるH邸外観


さまざまな情報を調べる中で「株式会社M’s構造設計」の佐藤さんによる「構造塾Ⓡ」を知り、ホームページ内にあった「家づくり応援・業者マップ」のリストでシノザキ建築事務所を見つけました。

さっそく同社が開催している家づくり相談会「しのカフェ」に参加して話を聞いたことが、今につながるご縁になりました。

「ナチュラ・ヴィータ〜空窓階段のある家〜」のプランに魅了されて



家族構成や、12歳、9歳、5歳という子どもたちの年代をふまえた篠崎社長からの提案で、Hさんご夫婦は「Natura Vita」の家を見に行きました。





家全体が木のぬくもりにあふれ、暖房と生活の楽しみを兼ねる薪ストーブや、息子さんたちが大喜びしそうなロフト&ロフトベットを盛り込んだ家のトータルデザインを目の当たりにして、他社の家では感じることのなかった「この家がいい!」という思いが湧き上がったといいます。



マイホームのプランニングでは、帰宅した子どもたちがリビングを通って2階に行けるように、LDKの中心に階段を移動するなど、Hさん夫婦の希望を盛り込みながらプランをカスタマイズしています。



配膳や片づけがしやすい横並びのキッチン・ダイニング。



奥さまお気に入りのキッチン。



保冷機能の付いた食品庫も完備しています。中でもこだわったのは、フロントパネルが美しいAEG(ドイツ製)のビルトイン食洗機。大容量で、扉が前面に開閉するため、使いやすそうです。



奥さま お気に入りの場所ばかりなのですが、特に楽しみなのは薪ストーブです。また、収納量がほしかったので、個室のロフトクローゼットにはポールを付けていただきました。

勾配天井を生かしたロフトタイプの空中クローゼットや、ロフトにつながる収納を兼ねた空窓階段など、ユニークな空間活用法も同社が得意とするところです。

北海道産シラカバや屋久島地杉など、自然素材をふんだんに採用



H邸には自然素材がふんだんに使われています。木目がつまった屋久島地杉を外壁に貼り、玄関扉は「チャネルオリジナル」のウエスタンレッドシダーを採用、階段ステップの一部には札幌軟石が置かれています。



室内は床にブナ材を用い、造作棚などに用いた道産シラカバ材の質感が洗練された空間を演出しています。また、キッチン収納の天板やエンドパネルを見ると、室内のトーンをまとめるためにシラカバ材で覆うひと手間が加えられていました。



ソファー正面の壁は珪藻土の塗り壁になっており、凹凸が間接照明によってきれいなニュアンスを生んでいます。



座面の固さやカバーの色を選んで作った造作ソファーは、座り心地の良さが絶妙です。

自然色透明ガラスを採用した明るい室内



篠崎社長 吹き抜けの150センチ角の窓をはじめ、H邸のガラスはヨーロッパ製のESクリアガラスを使っています。ブロンズやブルーなどの色が付いていないので、外の景色や植物の緑がそのままの色で見える上、日射取得率も断熱性能も高く、とても良いガラスです。

人が感じる「快適」を大切に、自然のエネルギーを活用し、自然環境を生活に取り込む設計が大きな魅力といえます

特許申請中のラディアント ・サーキュレーション・システムを採用



吹き抜けのシーリングファンも、空気の流れを作るアイテムです。

取材スタッフが新居を訪ねたのは、汗が流れるほど蒸し暑い日でした。家にお邪魔すると、まだエアコンが取り付けられていないにもかかわらず、室温は24℃ほどと、とても快適です。その秘密は、床のガラリに手をかざすと感じるひんやりした風にありました。



シノザキ建築事務所が特許申請中の「ラディアント・サーキュレーション・システム」は、人が感じる快適性を実現するため、空気の流れを家ごとデザインする仕組み。

床下と小屋裏をつなげた風の通り道である「風道(ふうどう)」やシーリングファン、省電力の電動モーターによって家全体に大きな風の流れが作られています(イラスト参照)。これは、室内最上部まで持ち上げた空気を家全体に巡らせる技術で、夏は床下の冷気を、冬は薪ストーブの輻射熱と対流を活用する省エネシステムでもあります。



ロフトに付いたDCモーターファンによって、空気の流れがつくられています。



H邸は、1階と2階のトイレの背面の壁に風道が隠れています。空調は、すべてパネルで管理します。

「ラディアント・サーキュレーション・システム」の詳しい内容は、過去に取材した記事でご覧いただけます。
【前編】自然に優しい冷暖房システムの家
【中編】木の温もりあふれる心地よい空間づくり



【記者の目】

ゆるやかに廊下とつながるロフトベット付きの個室や空窓階段など、「Natura Vita」のプランには、毎日の生活が楽しくなるような仕掛けが盛り込まれていました。

薪ストーブのある土間や、国産イグサの本畳が敷かれた床下収納付きのタタミコーナーも印象的。佇まいの美しさ、暮らしの楽しみ、そして快適な環境と、すべてがデザインされた住宅でした。

カメラ 村川写真事務所
ライター 布施さおり


2022年08月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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