
整理収納の相談で、「家事をラクにしたい」という声をよく耳にします。家事の中でも特に料理・食器洗い・洗濯・ゴミ出しなどは、ほぼ毎日欠かせないものだけに少しでも負担を減らしたいですよね。
今回はその中でも洗濯に焦点を当て、家事のしやすさに直結する“ 洗濯動線の設計” についてお話しします。

洗う・干す・しまうが同じフロアで完結できれば家事負担ほぼゼロ
料理など他の家事に比べて、洗濯は「洗う→干す→取り込む→たたむ→しまう」と工程が多いうえ、屋内外を行き来するために動線も長くなりがち。階段を何度も上り下りするような動線になる間取りだと、毎日かなりの時間と体力を奪われます。
例えば、1階で洗濯機を回し、2階のベランダに干す場合。洗濯物を抱えて階段を昇るだけで、1回あたり2~3分かかるため、1日2回洗濯すると、年間で約40 時間を階段移動に費やすことになります。

洗濯室の隣にファミリークローゼットを配したことで、家事効率は格段にアップ!
一方、洗う・干す・しまうが同じフロアで完結する動線の間取りなら、この負担はほぼゼロ。洗濯機の横に室内干しスペースを設け、そのすぐ隣にファミリークローゼットを配置すれば、動きは最短になります。
近年は共働き世帯の増加で、夜に洗濯する家庭も増えました。天候や時間に左右されない室内干しスペースや、衣類乾燥機の導入も有効です。収納までの動線が短ければ、洗濯物を「たたまず(ハンガーに)掛ける」収納スタイルも採用しやすく、さらに家事がラクに。
洗濯動線をきちんと整えると、毎日の家事負担はぐっと減ります。洗濯は毎日のルーティンだからこそ、動線を最適化した効果は暮らし全体にも波及します。「暮らしやすさ8割アップ」というのは決して大げさではなく、家事の負担を減らす事ができれば、それだけ自分の時間や家族との時間にもゆとりが生まれます。
家づくりの現場では、間取りや収納計画などの優先順位を考える時、洗濯動線が後回しになる場合があるかもしれません。しかし、住まい手の暮らしを長く支えるのは、日々の小さなストレスを減らす設計。次のプランづくりの際には、ぜひ洗濯動線の最短化を条件の一つとしてみてはどうでしょうか。その家は、きっと長く“ 暮らしやすい” と感じてもらえるはずです。
iezoomコラム洗濯物をどこで干す?「ランドリールーム」事例20選にも洗濯動線を考慮した事例をご紹介しています。ぜひ、ご覧ください!
このコラムを書いた人
のんちさん:整理収納アドバイザー1級
2014年に資格取得後、4度の引越しを経て2021年から活動開始。訪問・オンラインでの片付けレッスンを行いつつ、手仕事のコミュニティも主宰。片付けなどに関する100軒以上のお悩みに触れ、サポート実績は300時間以上にのぼる。インスタアカウントでも楽しくためになる発信を続けている。
のんち|片付け×家事シェアの専門家 https://www.instagram.com/nonchi._.kurashi/?locale=ja_JP

※この記事は北海道住宅新聞 2025年9月5日号に掲載されたコラムです
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