「しっくりくる家なんです。私たちも、家具や暮らしの物たちも」。そう話してくれたのは、静岡県から北海道・中札内村へと移住したEさんご夫妻です。
研究者として長年活躍してきたEさん。退職後、「これからは良い環境の中で本を執筆したい」と選んだのが、お子さんの暮らす十勝、そして水野建設(音更町)のカラマツの家でした。
どんな家具とも馴染む、シンプルで飽きのこないデザイン
「日本で最も美しい村」連合にも加盟する中札内村の街並みにマッチした、落ち着きある外観。カラマツ張りの外壁にシャンパンレッドの玄関ドアが映えています。
玄関とLDKの間には仕切りがなくオープンな造りです。来客時など視線が気になる際には、インテリアとしても違和感のない木製のついたてを置いています。
私たちが目指すのは『百年後も価値を失うことのない家』なんです」と担当の水野円さん。
「ですから、設計は老後、そして次世代に受け継がれるところまで見据えて行っています。無駄な仕切りをなくしたオープンな造りは、介護が必要になった時にも暮らしやすく、住み手が変わった際にもアレンジしやすいんです」。
「使い慣れた家具を使い慣れた配置に」とリクエストしたダイニングまわり。夜には、この家のために弟さんから贈られたというデンマークのルイスポールセン社の照明が食卓を照らします。
こちらのビンテージの椅子もデンマークのもの。テーブルはウイスキーの樽でつくられたものです。
Eさん 長年かけて買いそろえた愛着のある家具たちですが、規格やデザインが現代の日本の家に合わず、これまで暮らしたどの家にもしっくりきませんでした。水野さんが家具のサイズやデザインを考慮して空間づくりを行ってくださったおかげで、家具たちもやっと居場所ができました。
本棚の上に飾ってあるのは、ヨーロッパで在外研究をしていた頃の同僚に贈られた人形。スイスのバーゼルという町で開催されるファスナハトというお祭りにちなんだものです。
Eさん 床と天井にカラマツを使った白壁の家は、時代や国を超えて愛される良質なデザイン。子どもの代まで長く使ってもらえそうです。
キッチンの面材には深いブルーを選びました。「シンプルな室内だからこそ、アクセントとして大胆な色を選べた」とEさん。お気に入りの空間となりました。
遠距離の家づくりでも安心。3Dパースを利用してイメージ通りの仕上がりに
リビングの一部には、いずれ寝室にもできるようクローゼットを設けました。浴室からの動線もスムーズで、一階だけで生活が完結できるようになっています。
タンスや本棚など手持ちの家具の収まりは3Dパースで確認。実際に空間に立った時の見え方をチェックしてプランを決めました。
こちらは造作の靴箱とキッチンまわり。
Eさん パースのおかげで、遠距離でも同じイメージを共有できているという安心感がありましたし、打ち合わせもスムーズでした。完成した空間はまさに想像どおり。満足感も高いですね。
パースが役立つのは室内デザインだけではありません。
「敷地の中における住宅の位置や向きなどもパースを見て決めています」と円さん。今回は太陽光パネルを置く可能性があったため、近隣の家の影にかぶらないよう位置を調整しました。
こうしたパースは大工さんや職人さんとも共有し、正確で質の高い施工につなげています。
エアコン1台で快適。床下を利用した冷暖房システム
温暖な地域出身のご夫妻。十勝の厳しい冬に懸念はなかったのでしょうか。
Eさん ヨーロッパの冬を体験して、断熱・気密性能さえ良ければ快適に暮らせると分かっていました。水野さんの家はその点でも安心。この家は気密が良すぎて、レンジフードで換気をするとドアが開きづらくなるほどなんです。真冬の快適さも期待できますね。
冷暖房はエアコン1台で床下土間のコンクリートに蓄熱または蓄冷し、その空気を各部屋に送るというスタイル。2階には床下から空気を押し上げるファンもついています。
ご主人の書斎には、2台のモニターが置ける長い造作デスクをつくりました。
完成までの来訪は2回。遠距離でも築けた信頼関係
Eさんへ家づくりについてのお話を伺います。
Q 水野建設との出会いについて聞かせてください
A 移住を考え始めた頃に雑誌で知りました。カラマツに包まれた家の雰囲気に惹かれ、Webサイトの詳細な施工事例を見て「ここならお任せできそうだ」と。土地探しも、水野さんが自分の目で確かめ、役場へと足を運んでくださってね。メリットだけでなくデメリットも含めて説明していただけたので、納得して購入できました。
Q 遠距離での家づくりに不安はありませんでしたか
A SNSやメールを多用した打ち合わせ・ほぼ毎日更新する工事進捗のレポートは細やかで、遠距離でも安心感がありました。予算内で要望を叶えるためのアイデアも豊富でしたし、階段の安全性や太陽光発電システムの将来的な利用を想定した配管など、すべてにおいて最適な形を提案してくれるなど、信頼の中での家づくりでしたね。移住者のサポートも経験豊富で、助成金の申請などがすべてお任せできたのもありがたかったです。
Q 移住にあたり、蔵書などを整理し「断捨離」されたとか
A 当初はもっと大きな家をと考えていたのですが、実際に水野建設が提唱する「ミニマムスタイル」の提案を受けて、小さな家の魅力に気づきました。スペースが限られるということは、不要なものと必要なものを取捨選択する必要があるということ。その過程で、人生の目的や大切にしたいものが明確になった気がします。
Q 住み心地はいかがですか
A 木材や紙クロス(オガファーザー)など、主に自然素材でできているので空気の質がよく、においに敏感な私たちでも心地よく暮らせています。洗練された空間で愛着のあるものに囲まれ、最高の自宅ですね。
中札内は人々が開放的で、すれ違ったらアイコンタクトを交わすなど、ヨーロッパにも似た雰囲気。ゆったりと暮らしを楽しみたいと思います。
【建築概要】
1階床面積 | 54.65平方メートル(16坪) |
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2階床面積 | 33.95平方メートル(10坪) |
延床面積 | 88.60平方メートル(26坪) |
構造・工法 | 木造軸組工法 |
断熱(基礎) | ビーズ法ポリスチレンフォーム100mm |
断熱(土間) | ビーズ法ポリスチレンフォーム100mm |
断熱(外壁) | 高性能グラスウール105mm(軸間)
高性能グラスウール210mm(付加) |
断熱(内壁) | 高性能グラスウール105mm(浴室、トイレ) |
断熱(屋根) | フェノールフォーム100mm
高性能グラスウール235mm |
断熱(窓) | 樹脂製LOW-EトリプルガラスA15以上 |
外皮平均熱貫流率(UA値) | 0.20 |
換気 | 第一種換気システム |
暖房 | エアコン |
写真 Commercial Photo / Movie SWITCH
2025年10月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。