北海道では、長年ダクト式第3種換気システムが新築住宅で広く使われてきました。一方で最近は「第1種(熱交換)換気システムがいい」と選ぶ人もいます。どちらがいいのでしょうか?
ダクト式第3種換気システムを採用する上で感じる不安や疑問を5つまとめ、住宅専門紙・北海道住宅新聞の編集部に回答してもらいました。
目次
※Q4、Q5は次回記事で掲載します
Q1. 「第3種換気システムは冬寒い」って本当?
A1.本当ですが、寒さ感を軽減する方法があります
ポイントはイスやソファのそばに給気口を配置しないよう、換気経路を設計します。第3種換気システムは、外気を給気口からそのまま採り入れるので、冬は冷たい空気が部屋に直に入ってくるからです。
冬、給気口からの冷気が気になることも
給気口の設置場所を人が集まるところからなるべく離す設計が必要です。離れていれば、室内の暖かい空気と混ざり合って気にならなくなります。しかし、どうしても近くに設置しなければならないこともあります。
そんな場合の解決策を紹介します。
スクウェアフローで冬の給気口からの冷気感を防ぐ
例えば日本住環境(株)では「スクウェアフロー」という給気口を開発しました。最大の特長は、外気を吹き出す方向を自由に変えられることです。冬は底冷えがしにくいよう真上に外気を吹き出すことができます。同社が赤外線カメラで撮影した画像を見てみましょう。
青い色で表示されている冷たい外気が上方向に広がっています。スクウェアフローを使うことで新鮮な外気が体に直接当たらず、室内の暖かい空気と混ざり合って気にならなくなります。
https://iezoom.jp/entry-1258.html(札幌・白田建築事務所様)
このほか、一般的な手法として採り入れた外気をダクト配管でいったん地中に埋め、地中熱で予熱してから室内に採り入れる「アースチューブ」もあります。
iezoomにもいろいろな事例が掲載されています。
Q2. 第1種換気と第3種換気はトータルコストでどっちが安いの?
A2.第3種換気の方が若干有利です
ご参考 第1種換気(熱交換換気)と第3種換気の違い
【熱交換換気or第3種換気】住宅の換気システム、どっちを選べばいい?
トータルではダクト式第3種換気が少し優れていると思います。ダクト式第1種熱交換換気は、その特長である熱回収効果で必要な暖房エネルギーが減り、暖房費を削減できます。しかし、どれくらい暖房費を削減できるかは、熱交換効率だけではわかりません。カタログに書かれた熱交換効率は、もっとも良い結果となる条件で測った値です。
また、フィルターの目詰まりやダクトの汚れなどによって換気システムの運転効率が落ち、消費電力が増えるリスクがあります。このフィルターの目詰まりやダクトの汚れは、ダクト式第3種換気よりも頻度が高くなることが研究機関による実験で確かめられています。
ダクト式第1種と第3種のコスト比較は、おおよそ次のようになります。☆がおおいほど「高い」という意味です。
換気に必要な電気代は、排気のみ強制ファンが必要な第3種よりも給気と排気の両方に強制ファンが必要な第1種の方が高くなります。
暖房費は第1種の方が安くなりますが、換気の電気代が増える分を差し引くと、年間数万円程度にとどまります。フィルター交換費用は、第1種の方が交換頻度が増えるため高くなります。本体やダクトの清掃費用ですが、第1種の場合は給気用のダクトが汚れると新鮮なはずの外気が汚染されてしまうので、ダクト汚れのチェックが欠かせず、清掃頻度も高くなります。このほか、初期費用(施工費も含めた額)も第1種の方が高くなります。
コスパを考えるには、「ライフサイクルコスト」を比較することが重要
Q3. 換気システムの掃除が面倒です。第3種換気のメンテナンスはラクですか?
A3.お掃除頻度が低く、メンテナンスそのものもラクです
ダクト式第3種換気のお手入れは比較的ラクな機種が多いです。中でも日本住環境が発売するルフロ400は、「工具なしで分解掃除できる」のが大きな魅力です。メーカーのホームページに排気ファンを取り外す具体的な手順が載っています。
1.電源を切る
2.本体の蓋(カバー)を回して外す
3.羽根(排気ファン)の固定ナットを手で回して外す
4.羽根(排気ファン)をパカッと外して引き抜く
大きな力も必要なく外せるのは嬉しい配慮です。
この排気ファンのお掃除は年に1度でいいそうです。
最後に室内にある給気口フィルター清掃があります。こちらは、給気口を開けて中のフィルターの汚れ具合を確認し、掃除機でホコリを吸い取る程度で大丈夫です。
専門紙「北海道住宅新聞」に掲載された換気システムのメンテナンスに関する記事
換気システムのメンテナンスについて、北海道住宅新聞2018年1月5日号の記事を紹介します。高知工科大学准教授(当時)の田島昌樹氏が換気システムの清掃性について講演した内容です。
田島氏の研究では、同じ第3種換気でもダクトレスタイプは入居後1年半清掃しなかった場合、風量が約半分に低下していましたが、ダクト式第3種換気は2年間清掃していなかったにもかかわらず風量低下は25%にとどまりました。これはファンが大きくて強力なため、汚れが付きづらく、また多少の汚れやホコリが付いても性能が落ちにくいからです。
ダクト式第1種熱交換換気は、1年掃除を怠っただけで風量が約半分に低下しました。以上から、ダクト式第3種換気は長期間性能を維持しやすい換気システムとして評価されています。
一方で田島氏は、お手入れしやすい位置換気システム本体を設置するなどの配慮が必要だと言います。壁に露出させて設置するなど、フィルター清掃やファンの清掃を考えた設計をハウスメーカーに求めています。日本住環境では、メンテナンスのしやすさと清掃性のバランスを考えた床埋め込み型のルフロ400も発売しています。
ご参考 床置き型ルフロ400の情報
この記事は連載コラム「住宅用24時間換気システムを考える」の第11回です。
「住宅用24時間換気を考える」シリーズ
24時間換気を住宅に設置することが法律で義務づけられていますが、「どこにありますか?」と住んでいる人に聞いても、「えーっ?どこにあるんだっけ」となることも。それぐらい、わたしたちは24時間換気のことを意識せずに生活しています。ところが、コロナ渦をきっかけに、24時間換気の果たす大切な役割がクローズアップされてきました。
そこで、住宅用24時間換気システムの開発・販売を長年行っている日本住環境(株)の協力で、24時間換気の役割から北海道に適した換気システムの選び方、メンテナンスなどをわかりやすくまとめ、連載記事としてお届けしています。
シリーズ「住宅用24時間換気を考える」
第10回 工夫次第で冬も寒くない!?「第3種換気システム」を調べてみた
第9回 北海道でも人気上昇中!夏も冬も快適な全館空調ってどう?
第8回 理想の換気システム~建材メーカーがダクト式第3種換気を推す理由
第7回 空気の汚れが見える!CO2モニターをリビングに置こう!~24時間換気を使いこなす~
第6回 24時間換気のメンテ問題を解消する取り組み 林基哉教授に聞く(2)
第5回 新型コロナの感染拡大防止に役立つ24時間換気 林基哉教授に聞く(1)
第4回 10年以上使い続ける24時間換気システム。掃除のしやすさが超重要!
第3回 電気代が高い! 24時間換気システムを止めたら節約になる?
第2回 住宅の空気をきれいに~24時間換気を「性能・メンテ・価格」で比較~
第1回 【熱交換換気or第3種換気】住宅の換気システム、どっちを選べばいい?
2026年10月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。