Column いえズーム コラム

1000万円で札幌市内の土地を探す。連載:わが家の落ち着き先04(終)

 
はじめて敷地内に入った。そのときのことが印象に残っていると女房。
はじめて敷地内に入った。そのときのことが印象に残っていると女房。
雪が融けた4月、改めて敷地に入る。
雪が融けた4月、改めて敷地に入る。

決め手は周辺の雰囲気

前回紹介した「ボクが土地選びで気にしていたこと」のうち、残りの1つは「周辺の雰囲気」でした。
周辺の雰囲気は誰でも気になると思います。
4年間暮らした借家は、地下鉄駅から徒歩10分前後のいわゆる市街地で、容積率(どのくらいの大きさが建てられるかという規制)が160%でした。そうすると、69坪の土地に110坪の家が建つのです。ご近所は高齢化が進み、土地を手放したりする方が出てきました。そうすると、決まってアパートになるのです。それが2棟程度ならいいのですが、3棟を超すと、増えてきたアパートが戸建ての住人を追い出すことになってしまうのです。そしていずれ回りがみんなアパートになってしまうことが想像できました。そういう地域には長く住みたくないと思いました。

まわりがアパートだらけになる可能性が低い(容積率が低い)のは、郊外の戸建て住宅地です。そこで気にしていたのは雰囲気が自分たちに合うかどうかでした。山裾エリアで最初に興味を持った64坪と100坪の土地のあたりは、この点でどうもしっくりしませんでした。


土地選びは「縁」だとつくづく思います。縁があるところにけっきょくは落ち着くのです。ボクは途中からそう思うようになっていました。土地選びは見えない糸が必ずあるはずです。

今だけにとらわれるのもいや

さあ、わが家です。設計のNさんが帰ってから夫婦でどういう会話をしたのか、不思議と記憶がありません。
女房に確認すると「敷地を見に行って、みんなで敷地内に入ってウワァ広いって思ってから、ちょっと気持ちが変わった。こんな広い土地は、当時住んでいた地域では手に入らないなと。広さは魅力だった」
そんな話でした。ただ、ボクがすごく気に入っていたので、『気持ちを切り替えよう』と長女と話したそうです。


ボクは、2人が納得さえしてくれれば新しい地域で楽しく暮らすことができると信じていました。土地選びは、少なくても20数年の夫婦の生活拠点を決めることです。子どもの転校がないことなど短期的なことももちろん大切ですが、それ以外の大切なことも総合的に考えたいと思いました。

ボクは人生の大きな節目でもう一度引っ越してもいいと思っています。だから、いまの家も20数年後は売却して違うところに住むかもしれないことを、当初から頭に置いていましたし、設計のNさんにも伝えました。子供たちは10数年で出ていくのであまり気にしていません。まあ先のことはわかりませんが、今だけにとらわれるのもいやなのです。


土地は最終的に予算額ぴったりで契約しました。ただ、擁壁工事でその後お金がかかりましたが・・・。

土地探しを振り返る

わが家のすみかを探す旅について、参考になればと思い書いてみました。
反省を含めて改めて振り返ってみると、


  1. 1.予 算:1,000万円という額は、市街地で探すには少なく、郊外ならまあまあというレベルでした。市街地なら土地予算を1,300~1,500万円まで引き上げるか、計画全体を見直すかが必要でした。この状況は2016年時点でもあまり変わっていません。ただ、郊外の土地はおおむね値下がりしたため、探しやすくなっています。

  2. 2.地 域:多くの方と同じように、わが家も当時住んでいた学区・地域で探し始めました。手がかりが地元にしかないのですから当然だと思います。でもそれだけでなく、車や徒歩で気になる地域を歩いてみるといいと思います。「何となくいいな」と思うエリアは、自分にとって落ちつくはずです。

  3. 3.広 さ:何とも言えません。狭い土地の良さ、というのもあるし、広い土地の豊かさもあります。これもけっきょくは落ちつくかどうかだと思います。ボクの体験から、70坪前後あれば、十分なゆとりがあります。

  4. 4.探す方法:住宅会社に探してもらう、あるいは持っている土地を紹介してもらう。不動産屋さんに頼んでおく。インターネットで調べる。情報誌を調べる。どれかひとつではなくすべての方法で探すのがいいと思います。ただ、現実には土地調べにそんなに時間がとれないでしょう。大切なのは、興味がある土地は現地を見てみることだと思います。

  5. 5.最後に:5年以上も土地探しを続けている友人がいます。これだけの期間探せばある意味プロです(笑)。希望の条件が難しいこともありますが、「建築条件付」という土地の売り方に疑問を感じているそうです。

  6. 建築条件付とはある会社で家を建てることを条件に土地を販売する方法です。裏返せば、建築会社を選べないわけです。この方式は買い手側の自由選択が制限される問題は確かにありますが、土地なし客が多い現状と、土地を売ろうと住宅会社に持ち込めば即現金化できるという売り主側のメリットもあり、土地供給側にとってはいい仕組みでもあるようです。

  7. ただ、「建築条件」をはずしてくれる場合があるようです。もちろんその友人から聞いた話です。

おわり
第1回から読む

2009年09月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。