Column いえズーム コラム

野は畑。道ばたにはごちそうがいっぱい・札幌市西区/千葉朋子さん

千葉さんが木登りして採った野りんごの実で作ったソースが添えられた自家製ヨーグルト300円


千葉さんが木登りして採った野りんごの実で作ったソースが添えられた自家製ヨーグルト300円

千葉朋子さん。カフェの厨房にて。


千葉朋子さん。カフェの厨房にて。

コーヒー各種380円 ブレンドコーヒー350円 


コーヒー各種380円 ブレンドコーヒー350円 

カフェの店内 ゆくゆくは絵画教室やワークショップなどもここでやりたいと考えている


カフェの店内 ゆくゆくは絵画教室やワークショップなどもここでやりたいと考えている

併設のアンティークショップ オーナーがアメリカやヨーロッパへ買い付けてきたものばかり。アンティークの食器を眺めていると何だか優雅な気分になる。


併設のアンティークショップ オーナーがアメリカやヨーロッパへ買い付けてきたものばかり。アンティークの食器を眺めていると何だか優雅な気分になる。

桑の実の酵母。この酵母でパンを作る。


桑の実の酵母。この酵母でパンを作る。

布作家としても活躍している千葉さん。自宅のソファーには、かぎ編みで作られた大きなカバーが掛けられている。もともと千葉さんのおばあさんが最初に編み始め、そこにお母さん、さらに千葉さんがその周りに編み足して、母子3代にわたり編み継がれて きたもの。自然と親しみ、自分の手で物を作り出すということが親から子へ脈々と受け継がれているのだなと感激した


布作家としても活躍している千葉さん。自宅のソファーには、かぎ編みで作られた大きなカバーが掛けられている。もともと千葉さんのおばあさんが最初に編み始め、そこにお母さん、さらに千葉さんがその周りに編み足して、母子3代にわたり編み継がれて きたもの。自然と親しみ、自分の手で物を作り出すということが親から子へ脈々と受け継がれているのだなと感激した

曾おばあさんが編んだひざ掛け。使い込まれてとても良い風合い


曾おばあさんが編んだひざ掛け。使い込まれてとても良い風合い

山から採って来た山ブドウ。千葉さんが蔓にぶら下がって実を採った。ジャムにな る予定


山から採って来た山ブドウ。千葉さんが蔓にぶら下がって実を採った。ジャムにな る予定

千葉さんの作品。ブローチになっている。一つ一つがとても可愛らしい。


千葉さんの作品。ブローチになっている。一つ一つがとても可愛らしい。

野狩り名人あらわる
 私の友人である布作家の千葉朋子さんは、身近な自然をくらしに取り入れることがとても上手な人。今回はそんな千葉さんの暮らし方を紹介したい。
 千葉さんが切り盛りしているカフェ「minka」に遊びに行ったときのこと・・・・。
「ヨーグルトにかけるためのソースを野りんごで作ってみたの」とりんごのソースのかかったヨーグルトをふる舞ってくれた。「野りんご」とは聞きなれないので尋ねてみると、近所に自生しているりんごの木に実がなっているのを発見した千葉さんが、木によじ登って実を採ったとのこと。ソースになった野りんごは甘酸っぱいとてもいい香りがした。千葉さんは30代の女性。「りんごのためには木登りもするなんて!」と私はとても感心した。さらに、野生のクレソンを近くの野道で偶然見つけ、ペーストを作ったり、桑の実やハマナスの実を採って酵母を作りパンにしてみたり・・・。

始まりは"雑草"っておいしいかも?
 札幌市内に連なる山々と豊かな自然に囲まれた環境で生まれ育った千葉さん。小さい
ころから自然の中で遊んだり家族で山菜採りに行ったりすることが普通の生活だった。実家から少し離れた場所に住む今でも、千葉さんは自然を楽しみながら暮らしている。自宅で小さな畑を作って野菜やハーブを育てるようになった3年ほど前から、雑草にも興味が沸くようになった。自分で畑を耕し野菜を作るようになってから、身近に採れるものへの安心感に気づく。そこで、ふと「<雑草>と呼ばれるような近所の草花も山菜とはまた違っておいしいのかも」と思ったのだ。
それから、北海道の植物事典を片手に道端の草や近くの野山に生えている様々な植物を観察。採った雑草が<食用>と分かると、いろいろな方法で料理して食べてみるようになった。

おいしい雑草!
「今まで食べてきた中のおすすめの植物は何?」と尋ねると、「イタドリの若い茎でジャムを作ったら、とてもおいしいよ」と教えてくれた。
他にもエゾエンゴサクをマヨネーズ和えにしたり、オオウバユリの茎を春にまだ若いうちに採ってグラタンにして食べると、ジャガイモとアスパラがミックスしたような感じでこれもまたおいしかったそう。オオウバユリは葉っぱも草丈も大きく、夏になると黄色い花を付ける植物。そういえば、私の家の近所にも生えている。
いろいろな草花を試してみると時々失敗もあって、食べられてもそれほどおいしくない雑草にもたくさん出会ったという。千葉さんはいろいろチャレンジを繰り返しながら、そうやって野生の「食材」のレシピを増やしてきたのだ。
いろいろな雑草の食べ方の話を聞いているうちに、何だか私も近所の空き地が畑のように思えてきた気がした。

四季折々の楽しみ
 千葉さんに四季の楽しみ方を尋ねてみた。春、夏、秋は山菜採りや畑仕事。秋にはまた河原での焚き火も楽しみの一つで、時にはサツマイモやさんまも一緒に焼いている。冬の楽しみはかまくら作り。子供のころからかまくらを作っていて「大人になると立派なかまくらが作れるようになってうれしい」のだそう。
 ご飯を醸して作った自家製の甘酒もかまくらの中で戴くとまた格別。近々、秋鮭が手に入る予定で、その鮭の皮をなめしてみたいと千葉さんはいう。その皮で何を作ろうか、思いを巡らせる時間もまた楽しそう。

大きな目をクリクリ動かしながら楽しそうにお話ししてくれる千葉さん。小柄な女性なのだけれども自分の楽しみのために時には大胆な思いつきもする。気負わずに、とても自由に暮らしを楽しんでいる人。春になったら私も道端の「雑草」が気になることだろうと思う。

※エピルカでは千葉さん主催「雑草を食する会」(春予定だそうです)に参加したいなと思っています。興味のある方は春にチェックしてみてくださいね。


千葉さん直伝<雑草料理>レシピ
イタドリのジャム
春の若いイタドリの茎を採り、蕗のように皮をむいて重曹で茹でてあく抜きをして、繊維を切るようにしてみじん切り、お砂糖を加えてゆっくり煮る。「イタドリにはもともと酸味があるのでジャムに向いてます」と千葉さん。


プロフィール
千葉朋子(ちば ともこ)さん
札幌市西区在住。中央区にある築60年の住宅を改造したアンティークとカフェのお店minka(ミンカ)でカフェを切り盛りしている。
カフェの仕事の傍ら、野菜を育てたり、雑草を使った料理を考えたり、布や毛糸などの素材を用いて作品を制作。千葉さんの作品は狸小路1丁目にあるnaaar(ナール)というお店(中央区南2条西16丁目1-1第三広和ビル2F)で見ることができる。

カフェ アンティーク ミンカ(minka)
住所/札幌市中央区北2条西13丁目2
電話/011-272-5103
営業時間/12時~20時
定休日/月・木・日曜日 
minkaブログ http://minka.blog-fps.com/


編集者:釣本亜紀子

2010年02月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。