Column いえズーム コラム

夏でも涼しい家 10選


「今日も暑いですね」「暑い中ごくろうさま」――。
開口一番、こうしたやり取りが日常的になるほど、北海道でも夏は厳しい暑さに見舞われるようになりました。人々が強い日差しを避け、できるだけ日陰を歩き、汗をぬぐいながら通勤・通学する姿も、今やよく見かける光景です。

夏の暑さといえば、記憶に新しいのが2021年。
気象庁によると、札幌では7月中旬頃から最高気温30℃前後の日が出始め、7月下旬からは18日連続の真夏日(最高気温が30℃以上の日)を記録。1924年(大正13年)の17日連続記録を97年ぶりに上回りました。夜になっても気温があまり下がらず、熱帯夜で寝苦しい夜になった日もありました。
また、IEZOOM編集部がよく取材にうかがう他のエリアの最高気温も、旭川市で37.9℃、帯広市で37.1℃…と、軒並み猛暑日(最高気温が35℃以上の日)になりました。


【出典:tenki.jp 2021/8/7の記事より https://tenki.jp/forecaster/okamoto/2021/08/07/13548.html】


また、厳しい暑さが続く中、熱中症にも気を付けなければなりません。日差しの強い屋外はもちろんですが、実は屋内でも注意が必要です。
札幌市消防局によると、2021年6~8月に熱中症が発生した場所は「住居」が最も多く、実に全体の約半数を占めました。2022年7月末時点でも発生場所の1位は同じく「住居」で、全体の約4割を占めています。この傾向は、全道または全国レベルでも同様です。熱中症の予防には、家の対策が欠かせないことが分かります。


【出典:札幌市消防局 令和3年 熱中症による救急搬送概要より https://www.city.sapporo.jp/shobo/kyukyu/nettyuushou/documents/r3kakutei.pdf】


家の暑さ対策には、さまざまな方法があります。
まず、昔ながらのやり方としては、家にひさしを設ける、よしずやすだれをかける、ゴーヤやヘチマといったツル性植物で作るグリーンカーテンで窓を覆うなどの直射日光を遮る方法が挙げられます。日光の熱がこもってしまった壁やベランダ、地面や庭に水をまき、家を周りから冷やす打ち水という方法もあるでしょう。

一方、室内を手っ取り早く冷やすには、やはりエアコンが一番です。2021年の報道によると、札幌市内の大手家電量販店ではエアコン・扇風機など冷房器具の売り上げが前年の3倍にもなったそう。暑さに耐えきれず家電量販店に走った人、また自宅を新築、リフォームするタイミングでエアコンを付けた家庭も多かったと思います。



ところが、せっかくエアコンを入れたのに、「なんだか効きが悪いな…」という経験はないでしょうか?
こうした現象の一因は、ズバリ家づくりにあるのです。
ポイントは、住宅の高気密・高断熱化。この性能を備えた家は、夏の暑さをしのぐとともに、冬も暖かく快適に過ごすことができます。

そこで今回は、IEZOOM編集部が取材してきた事例の中から「夏でも涼しい家」を集めてみました。時には汗ばむ暑さの中での取材もありましたが、「涼しい家」の中は暑さを忘れるような快適な空間。身を持ってそのすごさを実感しました。
他にも、大型の庇や吹き抜けといった躯体の構造を活かした工夫、地下水や輻射熱を循環させる仕組みを利用した最新設備など、「涼しい家」づくりのヒントやアイデアがたくさんあります。ぜひ参考にしてみてください!

夏でも涼しい家について動画でもご紹介しています、あわせてご覧ください!

夏も冬も、エアコン一台で家中を快適にする魔法瓶のような家 江別市M邸/SANKEI

Mさんはさまざまな住宅会社の家を見学しながら、「北海道で新築する家に、今どき寒い家はない。むしろ、夏の暑さをしのぐ機能が必要」と考えるようになりました。

これまで住んでいたオール電化の賃貸テラスハウスは部屋によって室温にムラがあり、光熱費が大きな負担に。マイホーム建築にあたって重視したのは徹底的にランニングコストを抑えることでした。



SANKEIの手がける『ファース(FAS)の家』は、「エアクララ」という断熱材を使用した高気密・高断熱の家に、健康空気循環システム「AIキット」による空気の流れと、調湿空気清浄剤「ファーストシリカ」による最適な湿度コントロールで、エアコンの冷暖房を効率よく家全体に巡らせる高性能住宅です。

「エアコンでは北海道の寒さに対応できるはずがない」と思っていたご主人が、『ファース(FAS)の家』の構造を目の当たりにして、「断熱性や気密性の高い魔法瓶のような家であれば、エアコンを使ったシステムが成立する」と納得する機会になりました。



ご主人 ランニングコストを抑える希望が強かったので、我が家は外断熱も内断熱も標準より厚めのプランを提案してもらいました。結果、エアコン1台で冬も夏も快適に過ごしています。

暑がりの私は、庭仕事の後に冷たい風でクールダウンするのが大好きで…。リビングには、そのためのエアコンを付けましたが、少し使うだけで快適な室温を保てるので、とても満足しています。

記事はこちら 夏も冬も、エアコン一台で家中を快適にする魔法瓶のような家 江別市 M邸

特許申請中のラディアント・サーキュレーション・システムで夏も快適に 札幌市H邸/シノザキ建築事務所


吹き抜けのシーリングファンも、空気の流れを作るアイテムです。


取材スタッフが新居を訪ねたのは、汗が流れるほど蒸し暑い日でした。家にお邪魔すると、まだエアコンが取り付けられていないにもかかわらず、室温は24℃ほどと、とても快適です。その秘密は、床のガラリに手をかざすと感じるひんやりした風にありました。



シノザキ建築事務所が特許申請中の「ラディアント・サーキュレーション・システム」は、人が感じる快適性を実現するため、空気の流れを家ごとデザインする仕組み。

床下と小屋裏をつなげた風の通り道である「風道(ふうどう)」やシーリングファン、省電力の電動モーターによって家全体に大きな風の流れが作られています(イラスト参照)。これは、室内最上部まで持ち上げた空気を家全体に巡らせる技術で、夏は床下の冷気を、冬は薪ストーブの輻射熱と対流を活用する省エネシステムでもあります。

記事はこちら 薪ストーブやロフトが生活を彩る、空窓階段のある家 札幌市H邸

真夏もエアコンいらずで快適な住まい 網走市S邸/光輝建設



Sさんが2018年に光輝建設で建てたこちらの住宅は、高い性能や暮らしやすさはそのままに、シンプルなデザインで室内・外観をコーディネートした注文住宅のスタンダードシリーズ『4倍断熱の家・Yksi』の家。同居するお父様に快適な老後を過ごしてほしいとの想いがカタチになった住まいです。

完成後の入居は夏真っ盛りの8月でしたが、エアコンを入れなくても1階はすごく快適で、エアコンを付けると逆に寒いくらいだったとか。これは冬に外の寒さを防ぐだけでなく、夏には暑さも防ぐことができる4倍断熱の効果ですね。冬はエアコンの使い方のコツがまだつかめていないため、ちょっともの足りなく感じることがあるそうですが、Sさんは「普通の人だったら全然OKなのでは」と笑って話します。

記事はこちら 真夏もエアコンいらずで快適な住まい 網走市S邸/光輝建設

大型の庇で直射日光を遮り夏場も快適に 江別市H邸/拓友建設



玄関前の大型の庇【R庇】は夏場の直射日光を極力遮り、冬場の積雪から玄関ポーチとリビングの大窓を守る役割を持ちます。庇の出幅は1200mm以上とかなり深いのですが、軒天部分を下見板を使った曲面にすることで、空に向かって解放感があり、かつ構造的な安定性を確保できるデザインとしています。(意匠特許申請中)

一原さん 2階の窓には室内からの眺望を妨げない放射状の短い庇(パラボラ庇)を設置。2種類の庇が外観のアクセントにもなっています。パラボラ庇の設置個所はHさまが3Dモデリングによる日影検討資料を作成されていたので、その検証結果も踏まえながら、設計しました。隣家による日陰が時間によってどこまで影響するか、お施主様ご自身が解析されたというのは私も初めての経験で大変勉強になりました。

記事はこちら 住宅会社選びは性能とデザイン、そして「納得の回答」で 江別市・Hさん

断熱・気密・換気・暖房・冷房を高度に組み合わせ、省エネで、室内環境の「よい家づくり 上士幌町M邸/広岡建設

広岡建設の家づくりは、海外の住宅デザイン、自然素材の活用に加え、住宅の断熱・気密性能と換気・暖房の高性能化による省エネ&室内環境の強化にあります。

断熱は、外壁が230ミリ、屋根は400ミリの高密度ロックウール。木製窓はトリプルガラスにクリプトンガスを封入、窓全体の断熱性能・U値が0.8Wを切る窓全体の断熱性能・U値が0.8Wを切るTRANS(トランス)という超高性能品を採用しています。
換気は、年間通じて地温は10℃前後であることを活かし、基礎下の土中を25メートル「アースチューブ」という配管を通過させるうちに土中の温度で温度調整して冬は暖かく、夏は新鮮で涼しい空気を室内に送り込む方式を採用。



暖房は三菱電機の「エコヌクール」。ヒートポンプ方式で効率良く温水を作り、給気と熱交換させることで暖房します。冷房はリビングにあるピーエスの除湿型冷輻射パネル「HR-C」がエコヌクールで作った冷水を室内のパネルヒーターに通し、除湿しながら周りをじわじわと冷やします。

断熱・気密・換気・暖房・冷房を高度に組み合わせ、省エネで、室内環境もよい家づくりを実現しました。

記事はこちら デザイン・性能に妥協なし 超高性能な欧風住宅/上士幌町M邸 広岡建設

地下水を利用し「自然な涼しさ」を実現する涼房システム 石狩市F邸/シノザキ建築事務所


左/融雪槽の蓋を開けると、中は地下水が噴射されています。冬はこの地下水を使って融雪を行います。右/地下水が入る前の融雪槽。内部は半径120cm・高さ150cmの大容量です。建物の床下へと繋がる不凍液を入れた架橋ポリエチレン管が融雪槽の内側にグルグルと巻き付けられています。


札幌市・近郊には地下水を汲むことができるエリアが結構あります。井戸水で生活していた時代は、こうしたエリアに人が住んでいました。

上下水道が通るようになり、地下水脈があるかどうかは人の暮らしに直接影響しなくなりましたが、篠崎社長はこの自然の恵みに再度着目し、

・夏は冷たい地下水を利用して冷気を生み出す
・冬は外気よりも温度が高くなる地下水を使って融雪(毛利式融雪槽/株式会社 毛利産業)する

という方法で、現代の暮らしにこの自然の恵みを活用した仕組みを作りました。



篠崎社長 涼房システムは、夏に外気温が30度以上の高さでも、家の床下の温度を18~21度前後に保ち、その冷気を活用して自然な涼しさを家中に行き渡らせる仕組みです。

奥さま システムを上手く使いこなせようになるまで、少し時間がかかりましたが、調節できるようになると、夏でも玄関に入った途端、自然な涼しさを感じられるようになりました。念のためクーラーも付けたのですが、ほとんど利用していません。足裏にも優しい冷たさを感じ、とても快適です。

記事はこちら 地下水でエアコン+融雪の快適エコハウス 石狩市F邸

エアコンは寝る前に少し付けるくらいで十分涼しい、気密性の高い住宅 芽室町T邸/水野建設



水野建設は木をふんだんに使う家の雰囲気と「気密・断熱性能が高く、信頼して薪ストーブの施工を任せられるところ」が決め手で選んだというTさん。

猛暑日が続いた夏も「気密性が高いせいか、締め切っている方が涼しいくらいでした。30℃を超える日もエアコンは寝る前に少し付けるくらいで十分涼しかったです」(奥様)と性能の高さを実感しているそうです。

記事はこちら 傾斜を活かしたスキップフロア 林の中の家/芽室町T邸 水野建設

冷暖房の循環にも優れた吹抜けのリビング 東川町M邸/藤井光雄工務店



屋根傾斜を生かした吹き抜けのリビング。キッチン上部には2階フリールームを備えています。取材でお邪魔したのは記録的猛暑だった8月上旬でしたが、2階フリールームに置いた6畳用のエアコン1台で家全体が自然な涼しさでした。

外壁にグラスウール300ミリ、窓にLow-Eトリプルガラスと断熱ブラインドを採用し、快適な温熱環境をつくります。

記事はこちら 自然に寄り添うZEHの家/東川町・藤井光雄工務店

断熱気密性能の高さで冷房なしでも涼しく 青森市浪岡H邸/小野住建



Hさん 驚いたのは夏の涼しさです。青森でも夏は暑い日がありますが、外から帰ってきて家に入ると、家の中は冷房もないのに涼しいんです。暑くないっていうのがいつも嬉しいと感じます。やはり断熱気密の性能が高いというのは素晴らしいと感じます。

記事はこちら 無垢材&高断熱で快適な注文住宅 /青森市浪岡・H邸/小野住建

夏も涼しく快適の高気密高断熱住宅 青森市柏谷邸/森の風工房



冬は当然暖かいだろうと思っていましたが、夏の快適さは予想外でした。断熱性能が高いと夏も涼しくて快適になるというのは驚きでした。

30℃を超える日でも、青森の夜は涼しいので夜間に、2階の共有ホールの高い位置にある小窓を開けて、室内の熱気を屋外に排出し冷たい外気を取り入れます。

日中は日射を遮るためにブラインドを下げておけば、昼間も程よい室温を維持できます。これはすごく快適です。35℃を超える猛暑日については無理せずクーラーを稼働させますが、そういう日は年に10日くらいですね。

記事はこちら 青森市民を寒さと光熱費負担から守る高気密高断熱住宅/青森市・柏谷邸


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2022年07月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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