Story 取材記事

自然に寄り添うZEHの家/東川町・藤井光雄工務店


自然素材をふんだんに使った高性能ZEH住宅



大雪山を望み、豊かな田園地帯が広がる東川町。Mさんのお宅は空の広さを感じる静かな分譲地にあります。

自然塗料で焦げ茶色に引き締まった、道産カラマツの縦貼りが目を引きます。北海道らしい大きな勾配屋根には、28枚のパネルが載っています。太陽光発電で家庭で使う電気の全量を生みだすZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、断熱性能UA値(外皮平均熱貫流率)は0.23wを誇ります。発電・消費・売電量が室内モニターにリアルタイムで表示されます。



木の温もりたっぷりの玄関。室内壁はすべて、吸湿性に優れた藤井光雄工務店オリジナルのホタテの塗り材で仕上げました。



玄関土間には大容量の収納が続きます。登山やスキー、ツーリングバイクなどのアウトドア用品のためにつくった収納スペースです。

自然豊かな東川町では、登山やトレッキングはもちろん、水田が続き傾斜の少ない道路を走るサイクリングも人気です。冬にはスキーやクロスカントリーをはじめ、気軽にできるスノーシューなど、アクティビティが充実しています。Mさんご夫妻も1年を通じて、こうしたアウトドアスポーツを楽しんでいます。

冷暖房の循環にも優れた吹抜けのリビング



屋根傾斜を生かした吹き抜けのリビング。キッチン上部には2階フリールームを備えています。取材でお邪魔したのは記録的猛暑だった8月上旬でしたが、2階フリールームに置いた6畳用のエアコン1台で家全体が自然な涼しさでした。

外壁にグラスウール300ミリ、窓にLow-Eトリプルガラスと断熱ブラインドを採用し、快適な温熱環境をつくります。



冬の暖房はリビングのコーナーに配置したペレットストーブ1台です。ストーブの暖気は吹抜けから2階フリールームを通じて家中に広がります。



キッチンはコミュニケーションがとりやすいオープンタイプの対面式。リビングには北海道の自然に惹かれて移住したMさんご夫妻らしく、アウトドアチェアを置いています。



リビングの隅や天井は現しにした梁が良いアクセントになっています。窓の外に広がる田園風景は角地ならではの開放感です。



壁付けの照明は自然光が入るイメージで、窓のすぐ上に配置しています。木製の台にすりガラスを載せた藤井光雄工務店のオリジナルです。

Mさん自らが設計提案した機能的なキッチン



シンプルで機能的な造作キッチン。テラスドアからの眺めもよく、自然光がたっぷり入ります。



Mさんの前職は自動車の設計エンジニアで、キッチンの設計図は自作です。以前住んでいた東川のアパートのキッチンを基準に、動線や使い勝手を考え、細かくサイズ指定がされています。



Mさんの設計図をもとに藤井光雄工務店の大工の手によって唯一無二のキッチンが実現しました。

キッチン側面には炊飯ジャーや食器の乾燥用バスケットが入る収納や、スマートフォンの充電などに便利なコンセントが備わっています。「使わない時はしまいたい」という奥様の希望を反映しました。



カウンターの下には小型の気密食品庫を備えています。断熱・気密性能の高い家では、家の中に寒い空間がないため、野菜や漬物など、低温で保存したいものを置く場所がありません。そのため冬場、外気をとりこむ気密食品庫の設置をおすすめしています。

自然素材の温もりと断熱気密の高さが決め手

Mさんご夫妻と藤井光雄社長に、住み心地や家づくりのこだわりをお聞きします。


2階フリールームは間仕切りを設けずオープンに使用。風通しがよく洗濯物もよく乾く


藤井光雄工務店との出会いは?

ご主人 大好きな北海道に住みたくて、愛知県から移住しました。住宅雑誌で藤井工務店を知り、藤井さんのブログを読むようになりました。道産の自然素材や断熱性能の説明が詳しく、魅力を感じました。

藤井光雄工務店のこだわりは?

藤井光雄社長 景観との調和(ランドスケープ)や住宅自体のメンテナンス性、脱炭素に配慮した北海道らしいスタイルを提案しています。


2階フリールームにある北側向きの吹抜窓。窓台を傾斜させることでより多くの採光が可能に。窓台の厚さが断熱性能の高さを物語っている


当社ではZEHは標準仕様としています。光熱費がかからず、快適かつ省エネで、オーナーにも地球にもメリットがあります。

電気代はどのくらいかかりますか?

ご主人 月に数千円でおさまっています。年間10万円としても、売電収入が予想で16万円になるのでソーラーパネルは10年弱で初期投資が回収できそうです。発電・消費・売電量は室内モニターでリアルタイムに確認できます。

家づくりでの要望は?

ご主人 夫婦2人の暮らしに合うサイズと間取りを希望しました。こだわったのは、設計図を自分で描いてオーダーしたキッチンや洗面化粧台。そのほかは玄関続きのアウトドア収納です。


リビングから直接アクセスできるウォークインクローゼットと寝室


トイレ、洗面室、浴室、脱衣室はキッチン裏に配置


藤井さんは資機材の進歩や普及に合わせて様々な手法を試して、住宅の仕様や施工方法をアップデートされているのも魅力。熱技術面でも安心してお任せできました。

実際の住み心地は?



ご主人 ワークライフバランスは移住前と様変わりし、自然に囲まれ充実した毎日を送っています。もちろん冬の屋外はしびれるほどの寒さですが、室内はペレットストーブ1台でとても快適。ぼくたち本州生まれの人間には、厳冬の北国でこれほどの暖かさを得られるなんて、想像がつかなかったほどです。大変満足しています。

また、今年は暑い夏でしたが、ちょうど良い室温で過ごせています。高い断熱・気密と吹抜を活かした設計の工夫で、1年を通じて快適な住まいになっています。

仕事を終え、田んぼ越しに夕日を眺めながら飲むビールの味は最高ですね。広い庭をどう使うかも、今後の楽しみの1つです。

理想の住まいで叶えた、夫婦の長年の夢

「北海道で暮らしたい」と長年思い続け、実は六年半前から道内に住んでいるMさんご夫婦。美瑛町の移住体験住宅と、東川町のアパート住まいを経て、今の新居にたどり着きました。

自然素材を使った居心地の良い高性能住宅で、夢だった「北海道の田舎暮らし」を叶えたご夫妻の幸福感が静かに伝わってくる取材でした。

記事:松本 浩司・IEZOOM編集部
写真:村川写真事務所


2021年09月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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