この日向かったのは旭川市神居の住宅街。道産カラマツの板壁に赤い三角屋根の素敵なお宅が見えてきました。藤井工務店で新居を建てられたTさんのお宅です。
車2台が余裕で収まるカーポートも建物本体と統一感のある造り。降雪量の多い旭川ですが、雪の重みにもしっかりと耐えられます。
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建物の裏側は南に面しており、こちらにLDKが配置されています。光を遮るものも建っていないので、1・2階とも大きな窓からたっぷり日差しが入ります。春には隣家の大きな桜の花が眺められ、借景の楽しみもあるそうです。
Tさんのお宅は旦那さまのお母様とご夫婦、小学校1年生の息子さん、愛犬2匹が暮らす2世帯住宅。自然素材の魅力を活かした暖かい家に定評のある藤井工務店の家づくりについて、Tさんご夫婦と藤井さんにお話をうかがいます。
家の隅々まで愛着が沸くのは素材へのこだわりがあるから
家づくりに使う材料についてうかがうと「本物にこだわり、できるだけ北海道産の材料を使っています」と藤井さん。外壁には節が抜けない、丈夫で固い道産カラマツを採用。自然素材からできた防腐剤で仕上げており、木の表面が時と共に深い茶色に変化していく様子も、本物の板壁ならではの味わいです。
カーポートを抜けたところに、打ちっぱなしのコンクリートにレトロデザインの外灯が映える玄関ポーチが。まるで昭和の時代にタイムスリップしたかのよう。雰囲気たっぷりな空間に仕上がっています。 デザインはレトロでも、人感センサー付きのLED電球という最新仕様。エコで便利という点では現代的です。
美しい木目が印象的な玄関ドアは、地元旭川の久保木工が制作する北海道産広葉樹を使ったオリジナルですが、原材料の入手が困難となり、施工はTさんのお宅が最後となりました。
「残念ですが貴重な資源を末永く利用するには仕方のないことなのでしょう」(社長ブログより抜粋)と藤井さん。「最後の一枚となる道産木材のオリジナルドアを我が家に付けることができてラッキーでした」とTさんも感慨深い様子です。
床材には道産のナラを使っています。広葉樹のナラは固く傷つきにくいのが特徴です。オイルを染み込ませているので何年もメンテナンスの必要がなく、はだしの足にも優しい感触が魅力です。経年とともに少しずつ色を増し良い風合いになっていきます。艶が無くなったと感じたら、蜜蝋ワックスを塗って潤いを与えるそうです。
壁は道産ホタテの貝殻を原料にした、藤井工務店オリジナルの自然素材塗り壁材「ホタテ壁」です。「室内の空気が良い」とおっしゃるTさん。吸湿性に優れた天然素材の塗壁は湿度調整もしてくれます。傷が付いても塗料を重ね塗りすれば大丈夫。気軽にメンテナンスが可能です。
「どんな暮らし方がしたいか」から始まる家づくり
T邸はご主人のお母様が住んでいたご実家を建て替えた2世帯住宅。現在30代前半のTさんですが、20代の頃から新築戸建てを希望していました。お母様との同居が決まり、老朽化が進み隙間風に悩まされていたご実家の建て替えをすることに。情報誌などを活用して、何社か住宅会社を絞っていきます。そんな折に初めて訪れたオープンハウスが藤井工務店の完成現場でした。
Tさん「その日は他の住宅会社の完成現場も見ましたが、最初に見た藤井さんの建物の印象がとても強かったのを覚えています。「木の感じ」が他とは全く違いました。手摺ひとつをとっても、とても丁寧に作られているのが分かりました。それから薪ストーブがあって、じんわりと体の芯まで温まる感覚も初体験でした」。
建物内外に本物の木をふんだんに使い、家具は専属の大工さんによるオーダーメイド。隅々まで丁寧な仕事ぶりがうかがえます。そうした木の魅力に加え、信頼のおける藤井さんの人柄も依頼の決め手になったといいます。
「実際の家づくりについて要望はありましたか?」
Tさん「藤井工務店さんで家を建てるオーナーさんは、アウトドアやガーデニングなど趣味を持っている方が多いですが、僕はそういった趣味を持っていないので、なるべくシンプルで使いやすい、コンパクトな家を希望しました。同時に断熱性能が高く、ランニングコストのかからない建物であることや、2世代が快適に暮らせる住宅であることも重視していました」。
藤井さん「お客さまには、『どんな風に暮らしたいか』を聞かせてもらい、そこからどんな部屋が必要なのか、暮らし方に合わせた間取りを提案します。提案が違っていたらその都度修正し、形にしていきます。一方で、『間取りの希望は細かく描かないでほしい』と最初にお願いしています。それを描いてしまうと、そこから抜け出せなくなってしまうからです」。
暮らし方に沿った生活動線。柔軟な発想で暮らしやすく楽しい間取りに
そうした打ち合わせを重ね、Tさんご一家ならではの暮らしやすい間取りが実現しています。
LDK横には大型の洗面化粧台(手洗い)があります。右手の引き戸の奥はお母様の個室で、お母様の生活動線を考えた藤井さんの提案でした。「二人立っても大丈夫なように広めに造ってもらいました」とTさん。
手洗いの横にはトイレがあります。お母様が夜トイレに行く際にも最短の移動で済む配置です。上部が階段になっていますが、実際に入ってみると、圧迫感は全くありません。デッドスペースになりがちな階段下が、活きた空間になっています。
ランニングコストがかからない暖かい家づくり
藤井光雄工務店は標準仕様で外壁にグラスウール100mm+200mm=計300mmを、窓にはLow-Eトリプルガラスを採用しています。暖房や冷房のランニングコストが抑えられる、高断熱・高気密住宅です。
そして藤井工務店の家づくりに欠かせないのが薪ストーブやペレットストーブといった木質バイオマスストーブ。CO2を固定する木質バイオマス燃料は、地球環境にも優しい燃料です。Iさん邸では取扱の簡単なペレットストーブを採用しました。ペレット燃料は製材所で発生するおが屑や間伐材などを円筒形の粒状に圧縮したもの。ストーブは山本製作所の操作が簡単な自動着火式を、ペレットは十勝の足寄町で作られる十勝ペレットを使っています。
手洗いとトイレが並ぶホールの上には吹き抜け空間。ストーブで暖められた1階の暖気を2階に循環させる役割を果たす吹き抜け構造は、採光窓からの明るい日差しが差し込み、上下階でも家族がコミュニケーションを取りやすいなどのメリットもあります。
住まいを彩る機能的で美しい造作の数々
木の温もりに包まれた空間の心地よさを感じながら各所を拝見していくと、専属の大工さんによる造作の質の高さに驚かされます。
玄関を入ってすぐの靴収納の上には気密郵便受け。ハンドルを閉めるとパッキンが密着して外気を遮断できるので寒くなりません。
ダイニングテーブルを囲むように造られた小上がり風ベンチは下部が収納になった優れもの。テーブルはご夫婦が東川町の旭川家具メーカー・インテリアNASUで購入したこだわりの品です。「掘りごたつのようにくつろげるリビング兼ダイニングとして空間を有効に使えると思いました」と藤井さん。
キッチンは一般的な壁付け用のI型タイプにカウンター部分を造作して対面式にしました。幅270㎝、奥行90㎝と特に奥行き方向にゆとりを持たせたサイズです。奥様の希望で作業スペースを広くとるため、シンクを左端に配置しています。「配膳や後片付けもスムーズで重宝しています」と奥様も満足なご様子です。
グリルの真下には鍋やまな板などよく使うツール類を収納する引き出しを造作しました。上段は鍋蓋を斜めに差し込んで収納できる構造になっています。
キッチンの背面にはオリジナルの大型食品庫を造作(写真右手)。給気口と温度センサー付きの排気ファンが付いており、外気を採り入れて適度に食品を冷やすことができます。扉は玄関用のパッキンで密閉されているため、冷気は室内に漏れません。夢のような造作キッチンに、思わず感嘆のため息が漏れてしまいました。
2階は三角屋根の形状を活かした空間設計が魅力
2階リビングはフリースペースとして活用中。「横になると三角屋根の高い天井がより高く感じられます。本を読むなど、ゆったりと寛げるお気に入りの空間です」とご主人。漆喰の塗壁に、現しにした構造材が映え、良いアクセントになっています。
隣接する予備室を開放すると、より広いスペースに。
息子さんも走り回ったり、ハンモックに揺られたり、のびのびと過ごしています。予備室には2匹の愛犬のゲージが置かれています。
部屋を案内してくれるよう頼むと、快く応じてくれた息子さん。5畳大の子供室は学習机や衣類のラックも木製で統一し、すっきりとトータルコーディネートされています。
子供室は三角屋根の形状を活かした2.5畳のロフト付き。ベッドスペースとして使っているそうで「ここで寝ているんだよ」と教えてくれました。屋根も通常使われるブローイングよりも断熱性能が50%優れた高密度グラスウール280mmでしっかりと断熱されているので、寒さや暑さの心配もありません。
次に息子さんが案内してくれたのはご夫婦の寝室のウォークインクロゼット。正面に可動棚、両側にハンガーポールが付いており収納力抜群です。ご夫婦の寝室は8畳。子供室同様にベッドスペースとして使っているロフトも付いています。
時を重ねるほど、自然素材の家は色や風合いが深みと味わいを増していく楽しみがあります。終の棲家はこんな家にしたい…新しいものを使っては捨てる時代が終わろうとしている今、環境に配慮した藤井工務店の家づくりに、強い期待と共感を覚えた取材でした。
2019年04月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。